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氷雲しょういち
氷雲しょういち
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黒子のメモリ 奇跡のブログ

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帝光中学バスケットボール部。部員数は100を超え、全中3連覇を誇る超強豪校。
 その輝かしい歴史の中で「最強」と称される、無敗を誇った5人。赤司、青峰、紫原、緑間、黄瀬。彼らのマネージャー・桃井。
 そして、もう一人……彼ら6人が一目置いていた選手がもう一人……
「黒子ーー!いねぇかーー、黒子ーー!」
「います」
「うおぅ、お、おう……いればいいんだ。いれば」
 ここは誠凛高校バスケ部。部長である日向は、今日も”特殊”な青髪の小さな選手・黒子テツヤを探していた。今見つかったが。
 こういうことは彼らにとって日常茶飯事である。
「じゃあ、今日はもう上がるぞーー」
という日向の声とともに部員は散らばってコートを片付け、更衣室へ入っていく。
「あれ?なんでパソコンが?」
「どうしたん、伊月。って、ああ、そいつはスカウディングしてたやつだよ。今度の対戦相手」
「ああ、光谷だっけ。――あ、パソコンで見て、パッと速攻!」
 ダジャレ好きの伊月がいつものギャグを言い、部員全員を閉口させる。
 伊月は日向に黙って殴られ、他は黙々と着替えを続けた。
 いつの間にか着替えが終わった黒子はパソコンをいじっていた。
「おいっ、なに遊んでんだよ、黒子」
と誠凛のエース・火神が画面を覗く。
 画面には、『奇跡の部ログ』というブログが表示されていた。
「なんだ、それ?」
「これ、僕らが書いてたブログです」
「僕らってまさか……」
「はい、帝光中の黄瀬君たちが書いてたやつです」
「ってこたぁ、『キセキの世代』か?!!」
 黒子がうなづく。それとほぼ同時に、そこにいた部員全員が画面に食いついた。
 『キセキの世代』とは、帝光中学の中でも無敗を誇った、10年に一人である最強の5人のことである。
 全ての技をコピーする黄瀬、長距離3Pを確実に決める緑間、無限のスタイルを持つ青峰、長身の壁と化す紫原、それをまとめる主将・赤司。そして、この黒子もその中で混じりレギュラーでいた経歴がある。彼特有の影の薄さでパスの中継役を担う。
 よく忘れられる黒子を除いた彼ら5人はバスケ界でもっとも注目され、高校はいっせいに取り合いとなった。
 そして彼ら5人を勝ち取ったのは、海常、秀徳、桐皇、陽泉、洛山。
 バスケ界ではいまだに注目の的であり、この誠凛は彼らに対抗しうる数少ないところである。
 実際、海常には火神と黒子のチームプレーでまぐれ勝ち、秀徳には火神の覚醒で勝った。
 桐皇にこそ負け、陽泉と洛山はまだ戦っていないが、誠凛を注目しているものは少なくない。
 彼らも日本一を目指し、彼らを意識していた。だからこそ、彼ら全員が食いついたのである。
「ブログとかやるんだな。意外。ってか、結構ふつ―じゃね?」
「なに言ってんだ、コガ。キセキの世代だぞ。ふつ―なわけねぇだろ」
「でも、黒子、これってログインできる?」
「できますよ。でも、もう1年半くらい更新してないですし、アクセス解析とかは多分できません」
「まぁ、ちょっとは見れるんじゃね?」
「じゃあ、ちょっと……」
 ここで黒子は、想起する。このブログを立ち上げた、若き7人のことを。

・・・

「へぇ、黒子っち、ブログなんてやってんスか」
「はい。アクセス数は細々ですけど」
「今度見せろよ、テツ」
「いいですよ、青峰君」
 ここは、帝光中行きつけのコンビニである。
 いつものように、黒子、青峰、黄瀬、緑間、紫原、桃井が一緒に来ていた。
 黒子達3人は会計を済ませ、のんびりアイスを食べている。ソーダ味だ。
「やっと会計終わったぁ。ムッ君、買いすぎだよぉ」
「だって、新作のお菓子がこんなにあるなんて思わなかったんだもん」
「理由になってないのだよ。せめて、俺たちの後に払え」
「えー、めんどくさーい」
 大量のお菓子を抱えた紫原、怒り顔の緑間、呆れ顔の桃井も出てきた。
「おせぇぞ、お前ら」
「紫原が遅かったのだよ。俺たちが文句を言われる筋合いはないわ、バカめ」
「これなら、紫原っち以外の6人分を先に一気に買えばよかったっスね」
「ごめんっていってるじゃーん」
「テツくーん、お待たせぇ」
「大丈夫ですよ、桃井さん」
 一行は歩きながら、黒子のブログを話題にした。
「へぇ、いまどきそんなことできるんッスね、ブログって」
「Youtubeとかも投稿できるからな。当たり前なのだよ」
「で、何書いてんだよ、テツは」
「いえ、今日の日記です」
「あ、あたしも書いたことある。だいたいアクセス数は1日に100くらいだったかな。テツ君は?」
「1日最高は3です」
「少なっ、っス」
「なんか、黒ちんかわいそー」
「ただ、書きたいことを精いっぱい書いてるだけなんで、今は認められなくても、いいですよ」
 惚れ惚れとした顔の桃井と対照的に、ほかのメンバーは呆れを通り越した尊敬を顔に浮かべた。
「じゃあ、いっそ、俺らでブログやらねぇっスか?赤司っちも混ぜて」
「赤司がそんなことをやるとは思わんのだよ」
「でも、赤ちんなら、勝負の申し込みとか呼ばせたらー?」
「ああ、いいっスね!」
「じゃあ、俺はバスケの動画でも出すか」
「私もやるーーー!!」
「じゃあ、オレと黒子っち、赤司っち、青峰っち、桃井っち……紫原っちは?」
「お菓子の情報集めてみる」
「じゃあ、決定、っと」
「むっ、俺は誘わんのか、黄瀬?!」
「え、やるんス……じゃなくて、華やかにしてほしいんで、やってほしいっス!(緑間っち、めんどっ)」
「やってやってもいいのだよ」
「じゃあ、頼むっス(って、軽――!)」
 一行は盛り上がり、解散直前までブログの話であった。

 翌日、黄瀬と青峰、緑間の教室にて。
「どうっスか、これ」
「へぇ、よくできてんじゃねぇか、黄瀬」
「タイトルはどうするのだよ?」
「『帝光中バスケ部ログ』ってどうスか?」
「まぁ、悪くないのだよ」
「いいじゃないですか」
「よっしゃー、……って、うぉ、黒子っち、いつからそこに?!」
「休み時間の初めからです」
「桃井っちは?」
「さつきは、どーせすぐ来るよ。にしても、うまくできたなぁ、黄瀬」
「黒子っちのブログを改造したんス。ほかの、有名人の知り合いのブログをマネて」
「あ、いたぁ、テツ君たち!ムッ君もつれてきたよぉ」
「うるせぇよ、さつき。で……なにすんだ?」
「テーマの編集で、オレたちの7つのテーマでそれぞれ書いていくんっス。ただし、こっからが大切っスよ。一つのブログで作っていくから、パスワードとかはみんなに教えるけど、ほかの人の記事は絶対編集しないこと」
「おっけ」
「いいのだよ」
「うん」
「わかったー」
「いいですよ」
「ってか、勝手に黒子っちのブログいじっちゃったけど、よかったっスか?」
「聞くのが遅いのだよ!!」
「良いですよ。みんなでブログを盛り上げてください」
「んじゃ、テーマ書いていくっスよ」
 黄瀬が軽やかにキーボードを打って、全員のテーマを書いていった。
 青峰は『俺のシュート、見やがれ!』、緑間は『ラッキーアイテムと行く旅』、桃井は『桃色days』、紫原は『お菓子じょーほーきょく』、黒子は『黒子の日記』、黄瀬は『Dancing by Ryota』。