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氷雲しょういち
氷雲しょういち
novelistID. 39642
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黒子のメモリ 奇跡のブログ

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 プロフィールの画像には、こないだ撮ったプリクラを載せる。
 そして、記念すべき一記事目は、プロフィールに書ききれない7人分の質問の答えを書く。
「えっと、まず、趣味はなんっスか?」
「バスケ」「おは朝」「お菓子」「人間観察」「恋バナ」
「自慢できることはなんっスか?」
「型なし(フォームレス)シュート」「3P」「お菓子に詳しい」「消えます」「可愛さ」
「家に帰ってまずすることはなんっスか?」
「寝る」「勉強」「お菓子漁り」「着替えます」「作戦づくり」
というふうに、三者三様の答えを黄瀬が記す。
「ところで、赤司には聞いたのか?」
「聞いたっスよ。昨日の電話で。一応、メールで記事送ってこられたんで、指示通りに打つっス」
「テーマは、『一日一戦、全戦全勝』か。あいつらしいな」
 そういう流れで記事を作り、とりあえず、この日中に、全員のテーマの記事を一つずつは更新しておいた。
 黄瀬の記事では有名な歌手の踊りをまねた黄瀬の動画、青峰の記事では体育館で桃井が撮ったフォームレスシュートの動画を流し、緑間の記事では、「今日のラッキーアイテム」を発表しての幸運を写真に収め、紫原は気に入ったお菓子の写真を載せて「じょーほー待ってマース」と記す。赤司は今までの戦歴を載せて挑戦者募集をかけ、桃井は自分と好きな人との恋愛小説だ。
 そして、好きなように更新していった。

 1週間後、赤司への挑戦は殺到し、アクセス数はうなぎ上り。一気にそのサイトの5位にまで上った。
 さらに1週間すると、ファンが食いついて黄瀬のアクセス数が上がり、青峰の型のない(フォームレス)シュートに「すんげーーー!!」「かっけぇーーー!!」「っぱねぇーーー!!」というコメントが来た。
 その調子で緑間には勉強の相談、桃井には恋愛相談、紫原にはオタクが来た。
 そして、創設者である黒子はというと……
「よ、四ッスか?!!俺らでも一日最低70アクセスはある中、なんで黒子っちだけ4が最高なんすか?!」
「コメントも、一件もないのだよ……」
「すごくヘボーい」
「いうなぁぁぁっス!!」
「テツ、ドンマイだな」
「大丈夫です。4人は見てくれてるんでしょ。それで十分です」
「ポジティブなテツくん、かっこいい!!」
 ということで、アクセス数は、赤司、青峰、黄瀬、緑間、桃井と紫原、そして黒子の順で多い。
 このブログはいつもバスケのあとの話題になった。
「青峰っち、あのシュート絶対ありえないっス!」
「できてんだからしょうがねぇだろ」
「俺のシュートはどうなのだよ、黄瀬」
「緑間っちのシュートもすごいっスよ。あんな高いの、俺も打ちたいっス。でも、あのブログは……」
「お菓子の情報入ったー、ってメール来た」
「ああ、コメント着信のメールっスね」
「次の話、どうしよっかなぁ」
「みなさん、ブログすごいですね」
「そいや、こないだの呟き、あれ絶対テツだろ」
「ああ、『きょうのシュートは1回入りました。100回くらいやったんですが』ってのっスよね」
「あ、じゃあ、『俺は100発100中だぜ』ってのは青峰君ですか?」
「そうだよ」
 ”なう”だけは、それぞれ違う名前で登録しているのである。
 話題は、なうのフォロワーの話になり、やはりここでも、黒子のフォロワーが一番少なかった。

 さて、ブログ開始して5か月経った頃、青峰の更新率が上がった。練習に来なくなったのだ。
 『また会いたいっス。早く来い!』、『黄瀬ばかりでなく俺とも1on1しろ。俺が絶対勝つのだよ』、『お菓子おごってー』というメッセはみなあの7人中の3人である。
 優しい黒子と幼馴染の桃井、主将の赤司は電話で、であった。
 そして赤司を除くみんなは一週間後にコンビニ前で集まることになった。
 また、赤司により、黒子だけが半強制的に、「部活はいい。先に行け」と言われた。
 学校の放課後、青峰と一緒にみんなより先に青峰と合流した。
 青峰は二人分のアイスを買い、「ほらよ」とアイスを渡し、「少し、歩きましょうか」と青峰を誘った。袋を開けながら、黒子は重い口を開く。
「青峰君、最近練習休むことが増えましたね」
 それに青峰は暗い顔で答え、
「あー、いんだよ。練習したら上手くなっちまうだろ。……頑張ったら頑張った分だけバスケがつまんなってくんだよ」
そっぽを向く。
「それにオレがほしいもんはもう……」
と青峰は呟いて歩道橋に差し掛かった。
「バスケなんて、とどのつまりゲームだろ。これからは試合もテキトーに流して、」
「それはダメです」
 黒子は青峰の言葉を止めた。彼の背中に自分のアイスを突っ込むことで。
 もちろん青峰はたまらず、「んなぁっ~~!??アイスっ!!?」と叫ぶ。
 黒子は青峰を見据え続けた。
「ボクはいつもみんなについていくので精一杯です。正直、青峰君の感覚は分かりません。……けど」
 青峰は少し恨めしい顔で1段上にいる黒子を見上げる。 
「もしどんなに手加減されたり手を抜かれたりするのは、ボクが相手だったら、絶対してほしくないです」
 青峰はハッとした顔をし、二人は階段を下りた。
「それに……青峰君よりすごい人なんて、すぐ現れますよ」
 青峰は笑いながら、「……っはは。このやろっ」と突っ込む。
 だが最後は笑顔で、
「そーだな」
「そうです」
二人の拳をコツンッと当てた。
 その後の帝光バスケ部の集まりでは、
「なんっすか、ちゃんと来てくれっスよ、青峰っち」
「おうおう、明日から、ちゃんと行ってやるよ。またやろーぜ、1on1」
「望むところっス」
「だから、俺はどうするのだよ!」
「してやるよ」
「峰ちん、前に言ったようにお菓子おごってよぉ」
「え、あれ、マジだったのかよ!?」
「マジだよ。お菓子ごとは絶対だよ。僕にとって」
「僕と割り勘しましょう、青峰君」
「ダメなのだよ、黒子。これは奴への罰だ。だろ、紫原」
「いやぁ別にもらえるなら、誰からでもいいよー」
 後から、遅れて桃井も来る。
「じゃあ、テツ君のおかげで青峰君行ってくれるの!!」
「まぁ、そーだな」
「スゴいっス、黒子っち!」
「テツくーん!!!!」
と、桃井が黒子に抱きつき、そこからはいつものバカ話が花を咲いた。
 そして、ふと黄瀬が言う。
「それにしても、俺らってすごいッスよねぇ。前まで自分だけスゲーって思ってて、別にほかの奴とかどーでも良かったっスけど」
「っんだよ、黄瀬ぇ、いきなり」
「まぁ、青峰っちは俺が抜くっスけど、緑間っち、紫原っち、赤司っち、……黒子っちも」
「僕より黄瀬君もスゴいですよ」
「でも、青峰っちもさらにすごくなったし、ホント、こんなメンバー集まれるとか、奇跡っスよね。――あ、いっそブログ名も『奇跡の部ログ』にするのどうっスか?」
「いいね!」
 ……ということで、ブログ名が変わり、後に桃井を除く彼ら6人は『キセキの世代』と評される。
 案外、この黄瀬の言葉がきっかけだったのかもしれない……。
 6人が完全覚醒した後、ブログのことはいつの間にか忘れられてしまった。それでも1週間に3回は更新していた黒子以外は。

・・・

 時は現在に戻る。