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氷雲しょういち
氷雲しょういち
novelistID. 39642
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黒子のメモリ 青峰のリレー

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中2の6月、主将である赤司の下、バスケ部員は体育館に集まった。
「みんな、集まったな。青峰が、いないか。黒子はいるな」
「はい」
「じゃあ、いまから体育祭の1競技、球技部対抗リレーについて話す。手っ取り早く、参加選手の五人を呼ぶから、前に来い」
 部員たちはざわめき、赤司の「まず、」という一声でシンッと静まった。
「まず、紫原、緑間、黄瀬、」
とここまでは大方の予想通りだ。
 彼ら三人はレギュラーであり、赤司のお気に入りだからだ。
 そして、残り二人のうち、片方は予想を大きく外れた。
「あとは黒子、そして、いまいないが、青峰。この五人がやれ」
 そう赤司が言い終わったところで、荒っぽく体育館のドアが開いた。そこから現れたのは、
「はぁぁぁ、遅れちまった。すまねぇ、赤司」
「青峰、ずいぶん長い説教だったな」
「あの榊の授業で居眠りなどしたからなのだよ」
「そりゃ、長いッスね」
「峰ちん、おバカだー」
「紫原くん、言い過ぎです」
「すまねぇ、って。で、今日は、なんか話し合いか?」
「ああ。体育祭のな」
 赤司が事を説明し、全員の前で詳細を話した。
 なんでも、球技部対抗リレーでは、走者が三人、パス要員が二人いるのだ。
 そして、パス要員は走者たちの間でパスをして、走る代わりとする。
 配置はというと、紫原、緑間、黄瀬、黒子、アンカーが青峰だ。
 そこですかさず、緑間が文句を言った。
「冗談じゃない!元々パスのシックスマンの黒子やスピードが一番の青峰はともかく、なぜ俺がパスで、黄瀬や紫原が走者なのだよ!」
「紫原はパスが苦手だ。かつ、脚や反射神経からスターターで十分だ。黄瀬は、パスもランも悪くない。それに、黄瀬と代われば、お前が黒子に渡すことになるだろう」
「ぐっ……」
「緑間くん、バカですか」
「なっ、なんだと、黒子!」
「緑間くんのほうが黄瀬くんよりパスが上手いから選ばれたのだと思えばいいじゃないですか。僕は上手いと思いますから」
「く、黒子に言われるまでもない。しっかり決めてやるのだよ」
 そのとき、皆が心の中で黒子を称えたのは言うまでもない。

 さて、体育祭本番。
 普通の競技もするすると終え、(緑間のラッキーアイテム・金の延べ棒が重すぎて緑間の走りが遅かったこと、黄瀬への声援がでかすぎてピストルの音をかき消したこと、黒子のゴールを誰も見届ける者がいなかったことなどは置いといて)無事に進行していった。
 次は球技部対抗リレーである。
 5人は列に並んだ。
「んだよ、もうかよ。まだ寝ててぇのに」
「いつまで寝るつもりなのだよ!さっきの競技も無断で休みおって!」
「緑間っち、いくらリレーで遅かったからって、そうかっかしないでほしいっス」
「怒ってなどないのだよ!」
「ってか、その金の延べ棒、どっから持ってきたんスか?」
「うちからなのだよ!」
「嫌みっスか?!!」
「ってゆーか、ミドチン最下位だったね。ププーッ」
「うるさいのだよ、紫原!!」
「紫原君、並びましょう。ップ」
「お前も笑うな、黒子ーーー!!!」
 バスケ部だけが(良くも悪くも)賑やかである。
 ほかの、ラグビー、バレー、卓球、野球、バトミントン、サッカーの順で並ぶ。バスケは、卓球と野球の間である。
 そして審判の生徒会委員が、「バスケ部、全員並んでください」と言う。
 そしてやはり黒子が「並んでます」と手を上げ、バスケ部以外が驚愕した。
 まあ、いつものことだ。
 紫原がラインに立ち、ほか4人は定位置に散る。
 男女混合で横一列に並び、審判の一発で一斉に駆け出す。
 紫原は持ち前の超がつく反射神経で、最初に(めんどくさがりのため、軽めの)ダッシュを始め、悠々と一位を勝ち取る。
 周りはあまりの(あんなデケーのになんつうスピード!!!)という驚きからの唖然とした表情を浮かべた。
 ちなみに、いつも走らない紫原が走ったのは、赤司から「同じ学年でお前に勝てるやつなどいない。一位をとれ。びびるなよ」と二重の縛りをしていたからだ。
 さて、紫原は金の延べ棒(ラッキーアイテム)を足下に置いた緑間の前に来ると、ボールを手渡した。ただし、独自のウィングスパンにより、人並み以上の距離から。
「なんでそんな遠くから渡すのだよ」
「走るの、めんどくなったから」
 これに緑間は頭に青筋を浮かべ、紫原を頭の中から亡き者にして、「緑間っちー!」と呼ぶ黄瀬の方を向く。
 その刹那、黄瀬の頭の上に、小さめなフラフープが飛んだ。
「来いっス」
という黄瀬の声を聞いてか聞かずか、緑間のボールを持ち直した。左手を添え、右手をボールの下に置き、高らかに両手を上げた。
 その体制を見て、バスケ部全員が「へ……?」と固まり、次の緑間の動作で黄瀬が叫んだ。
 なぜなら、緑間はパスするのではなく、撃った(シュートした)のだから。
「緑間っちーーーーーーー!!!なんでシュートしてんスか?!!!!!!」
「む……あ、ま、間違えたのだよ!!」
「なんでパスすべきところでシュートするんスか!!!」
「だから、間違えたのだよ!!!」
「それは聞いたっス!!!!ってか、なんでよりによって、滞空時間のだだ長い、長距離3Pので撃ってんスか!!!?アホスか?緑間っち、アホっスか?!!!!」
「だから、謝っただろうが!!!!」
「いつっスか!!!?ってか、これ、取れるんスか?超危ねぇ予感しかしねえっス」
「大丈夫なのだよ。速度はおそらく、加速する(イグナイト)パスと同等だ」
「上からの時点で力の差が激しく出るっスよね?!!」
 (このあたりですでに、ラグビー、卓球、野球、サッカーに抜かされている)
「よく分かったなぁ。確かに、力とはおおざっぱに言えば重さ×スピード。だが、重力で加速し続ける俺のシュートに比べ、イグナイトパスは、」
「どーでもいいし、すでに頭痛いっスわ!!」
「ふん、この程度もできんのか、バカめ」
「今、緑間っちに一番言われたくない台詞っスよ!!!!!」
 そのあたりでようやくボールが地に着き、激しいバウンドをした。
 そして、二回目に地に着く前に黄瀬はボールをとり、駆けだした。
 持ち前の運動神経と、赤司により青峰と走力対決を幾度もし、上がったスピードでなんとか野球と卓球部を抜かす。
 ちなみに、抜かす最中も周りから甲高い黄色い声援が響いた。
 いちいち手を振る黄瀬である。
見兼ねた青峰が、
「黄瀬、てめえ、とっととボール持ってこい!!」
と叫び、ようやく黄瀬が着いた。
黒子を見ると、見せられない怒り顔で立っていた。
「なに手、振ってるんですか。早く来てほしかったです」
それを見た黄瀬は怯み、
「はうっ、ごめんっス、黒子っち」
「ください」
黄瀬は言われるがままにボールを放ると、黒子はサイクロンパスと名付けられた、超速回転パスを青峰に向けた。
 ボールは一直線に青峰に伸び、パス要員らしいラグビーの選手を軽々抜かして青峰がキャッチした。
「頼みます、青峰くん」
「おぅ、任せろ、テツ」
 青峰はニッと口元だけで笑って、前を向き、本気で走った。
 すぐにラグビー部の選手と横にならんだ。
 ラグビー部の選手も驚きを隠せないでいる、が、ここで敵は思わぬ行動を取る。