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氷雲しょういち
氷雲しょういち
novelistID. 39642
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緑間のアタル

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帝光中バスケ部で、全中3連覇を果たした10年に一人の逸材5人はキセキの世代と呼ばれていた。
 何本もの長距離3Pシュートを放る、NO.1シューターと評される緑間真太郎もその一人である。
 彼の信条は、『人智を尽くして天命を待つ』であり、毎日シューティングを欠かさず、バッシュは右から結び、おは朝の占いに従ったラッキーアイテムを持ち歩いている。
 そして今日もいつものおは朝を見ているのである。
『では、一位と最下位は同時に発表するよ!今日の第一位は牡牛座!……』
 ここで自分の最下位を予想した。なぜなら、まだ発表されていないのは自分の蟹座だけだからだ。
 お吸い物を飲み、テレビを見る。
 別に最下位であることは初めてではないし、平気である。なぜなら、おは朝の示すラッキーアイテムで補正しているのだから。
『今日の最下位は、ざんねーん、蟹座!今日はおとなしくしておきましょう。まずラッキーアイテムは木刀!』
 次にご飯を平らげ、木刀の在処を思案しつつ、お茶に手をかける。そこで、
『そして今日は、いろんなものが当たるよー!丸いものには特に注意ー!』
と来たので、さすがの緑間もお茶を吹き出した。
「な、なんなのだよ、それは!!!」
 緑間も驚く今までにも例の少ない、あり得ない占い結果であった。
 こうして、木刀を持ち、バックに手をかけ、家をあとにした。
 はてさて、緑間にとって大変な1日の始まりである。

 緑間はまずバスケ部の朝練に向かった。
 ボロボロで。
 黄瀬が緑間を見つけ、やはり驚愕した。
「な、何があったんスか、緑間っち!」
「……うるさい、黙れ」
 そのうちに、青峰、黒子、紫原もやってきた。
「んだよ、ボロボロじゃねぇか」
「ミドチン、ダサーイ」
「制服がすごく汚れてますけど……転けたりでもしたんですか?」
「青峰、紫原、お前らも黙れ。そうなのだよ、黒子」
 緑間はメガネを少しあげ、話始めた。
「まず、家に出たら何かの拍子で死んだらしいカラスが頭に落ちてきて、駅前の公園から子供が蹴ったサッカーボールが右脇腹を直撃し、同じタイミングで左の車線から来た車によって昨日の雨水をかけられ、それで滑って前に転けたのだよ。……って、なに笑ってる、貴様らぁ!!」
 一同、大爆笑である。
 そこへやってきたのは、
「ミドリーン」
 バスケ部のマネージャー・桃井さつきである。
 どうやら緑間の話を聞き付けたのか、タオルを持っている。
 そして、緑間を前にして、桃井は転けた。見事に。
 というのも、緑間が濡れたまま歩いたため、滑りやすかったのだ。
 当の緑間はちゃんとタオルをキャッチしている。
「すまないな、桃井」
とまずは眼鏡を拭き始めた。
 合間で青峰が桃井に声をかける。
「そのすげーパンツのは勝負もんかよ、さつき」
と。
 先程転けた際、青峰にパンツを晒していたのだ。辛うじて愛しの黒子には見えなかったが。
 だが、桃井は顔を真っ赤にして、
「大ちゃんのド変態ー!!」
と回し蹴りを放った。
 刹那、青峰は持ち前の運動神経(センス)でこれを避け、桃井の脚は、
「グフッ」
と、華麗に緑間の顔に直撃したのだった。
 固まった桃井、眼鏡を吹き飛ばした緑間を尻目に、黄瀬・青峰はまたも大爆笑。
 黒子は憐れなる視線を送った。

 さて、授業を終え、ただいま昼食。
「なぜだ。なぜなのだよ……なぜ俺ばかり指名されるのだよ」
 弁当を広げ、目の前にいる青峰は「そんなもん、テキトーだろよ」、桃井は「当てやすかったんじゃない」と答える。
 実際今日の授業中、指名されまくった緑間に、数学の教師・伊勢は、
『やっぱ、緑間はスッと正解書いてくれるから楽だわ』
と言っていた。
「それでも、全ての授業で最低2回は当たるとはどう言うことなのだよ!!」
「すごいね、おは朝」
と桃井も苦笑するばかりだ。
 その教室に黄瀬がやってきた。
「桃井っちー、これあげるっス」
と渡したのは宝くじである。
 青峰は怪訝な顔で喜瀬に問う。
「どうしたんだよ、これ」
「なんか、手紙に間違って入れてたっぽくて」
「ねーだろ」
「しかも、名無しのラブレターだし」
「死ね」
「プリはあったから、誰かは分かるんスけど」
「バカだろ、そいつ」
「もし下手に当てたら、お返しできないかもしれないスから」
「もらえよ」
「ということで、一番あげても害がなくて、当てたらいいな、と思う桃井っちにあげるっス」
「どういうことだよ」
 青峰のツッコミはとりあえずスルーし、桃井は考えた。
「いっそ、ミドリンにあげたら?当たる日、らしいし」
「名案っス、桃井っち!!」
 黄瀬は緑間に渡すと、「当たったら、連絡くれっスよ」と行って帰っていった。
 入れ替わりに、黒子が入ってくる。なぜか新聞を持っている。
 「桃井さん」と黒子が呼ぶと、桃井は肩を大きく跳ねて「な、なに?!て、て、て、テツくん」としどろもどろである。
 黒子は気づくことなく続ける。
「赤司くんから、今日部活やるか聞いてます?」
 桃井は頭を軽く振って、「何も聞いてないよ」と答えた。
「そうですか」と言って、黒子は新聞を広げた。
「今日、このあたりで雷警報がでてるので」
 そういって、新聞を桃井の前の机におき、指差した。
 思わず顔を近付けられて、慌てる桃井をよそに、青峰が、
「テツ、それ、今日の新聞か?」
と問う。
 「はい」と黒子が答えるや否や、「貸してくれ」と新聞をかっさらい、下を見ながらめくる。
 桃井は黒子が離れ、ホッとして、でも少し残念そうな表情を浮かべたが、ここにいる男子三人にはわかるまい。
「どうしたんですか、青峰くん」
「いま、黄瀬から宝くじを押し付けられてよ。もし、今日が抽選日なら、な、と思ってな」
「そんなうまい話、あるわけなかろう、バカめ」
「うっせぇよ……あ、あった。えっと、番号は、と」
と、今度はくじをかっさらう。
 「あ、待て、青峰!!」とくじを掴み、抵抗しようと試みるも、あえなくくじを掴めず、終わった。
 青峰は新聞とくじを見比べ、目を見開いた。
「これは……!!!?」
 青峰は黒子を見て、ゆっくり言った。
「当たったぜ、一等。2億だ」
 皆目を見開き、くじと新聞を見て、驚愕した。
 たしかに当たっている。そして、抽選日も今日で合っていたのだ。
 「よしっ」とガッツポーズを取った緑間の横から、――お茶が飛んできた。
 教室にいた男子がふざけてお茶を取り、もみくちゃになって、ペットボトルごと投げ飛ばされたのであった。
 それにいち早く気づいた青峰は、素早く緑間の腰にあった木刀を持ち、お茶を打ち飛ばした。
 上に。
 お茶は見事に緑間の頭の上に降り注ぎ、やはりくじは見るに耐えない紙切れになってしまった。
 緑間は声にならない叫び声を上げ、後から青峰に、「なぜ俺のラッキーアイテムを俺から離したのだよ!?」と激しく文句を垂れたのであった。

 さて、時は進んで放課後である。
 今日の緑間にとって一番恐怖する時間である。
 それは、今日の占いの『丸いものに特に注意ー!』と言われている。今まで散々な目にあったが――この放課後の体育館、バスケ部の部室はまさにボールに囲まれた場。
作品名:緑間のアタル 作家名:氷雲しょういち