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気まぐれ天使の異世界記録

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1話 少年時代 1週目

「うぅ……寒い………」


 肌を刺すような寒さで目が覚める。
 ボロボロの床に布一枚敷いた所に寝そべった状態のままガラスがあったであろう窓を通して外を見ると雪が積もっていた。なるほど、道理でいつもより寒く感じるのか。


「ふぁぁ……、…くしゅん!……本当に寒いな…」


 取り敢えずは朝食でも食べに行くか。


 オレは廃屋のビルの6階から"飛び降りた"。





  ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆





 あ、忘れてた。皆さん始めまして、砂野 莢(すなの さや)です。

 さっきから廃屋とか飛び降りるとか言ってるけどオレは別に幽霊とか自縛霊とかじゃないからね。非科学的な存在というのは認めるけど。

 えーっと、簡単に自己紹介します。そろそろホームレス歴が2年目になる後天性色素欠乏症な元・異世界の高校2年生、現・小学校低学年(?)というツッコミ所満載なプロフィールを持つ砂野 莢です、改めてドゾよろしくです。


 どうですか?見事にツッコミ所満載でしょう?具体的には4箇所ほど。

 まぁ1箇所ずつ順を追って説明するので分からないという事は無いので安心して下さい。


 まず、今までのオレの人生全部に関わってきた後天性色素欠乏症の事から話します。


 ―――後天性色素欠乏症。大まかに言えばアルビノの事ですね。

 よくあるアルビノの正式名称は先天性白皮症と言い、場所によっては先天性色素欠乏症や白子と呼ばれています。
 アルビノは生まれつき全身から色素が無くて身体の色が真っ白で普通の人と比べて様々な障害があるのが特徴です。


 オレから言わせればアルビノの最も障害になる事と言ったら、ズバリ人間関係だ。
 この体質のせいで高校生になる前まではゴミのような人生をオレは望まずして送っていた。というか今思うとよくあの頃自殺しなかったな、オレ。



 話を戻してオレは後天性のアルビノだ。人間で後天性のアルビノというのは大変珍しいらしい。そしてそのどれもが次第に全身の色が抜け落ちてしまう物だったらしい。


 しかしオレのは本当に例外で突然色素が"流れ落ちた"。

 さてここから急に異世界云々のファンタジーな話になるのだが……、その理由になんと神様が関係していた。



 実はオレ、この世界の人間じゃないんだ。なんとも腹の立つ神様達の事情によって前にいた世界とは似て異なるこの世界に跳ばされた別世界の人なんだ。



 ――――――――あ~、はい。オレから距離を取らないでくださーい、俺は真面目に話ししてるんです。その態度は若干嫌な思い出を刺激するからやめてー。




 肌寒い冬の夜空の下を独りで歩く。



 いやぁ、憂いの無くなった高校生活の2回目の春を堪能しながら帰宅したら白い服着た男が堂々とオレのベッドで寝ていて起こしたその瞬間に多分オレの運命が狂ったんだと思う。その男が目を覚ました瞬間にオレの部屋が男とオレ以外何も無い真っ白な空間に居た。いきなり「私は神だ」とか言いながら起き上がったのは滅茶苦茶ドン引きした。


 と、まぁその男は本当に神様で、そん時に話された説明の内容は以下の事だった。

 ・現在神々の勢力は2つに別れて、『世界』には基本無干渉の勢力ととにかく干渉して全ての『世界』に動きを求める勢力があること。

 ・動きを求める勢力が『力の盤』を破壊して、その破片の一つがオレに混ざってアルビノになったこと。

 ・その『力の盤』を欠片でも持っていると神様達に狙われるからオレの魂と融合させて分からなくした後にオレを別の世界に跳ばすこと。

 ・もし神様関係で危険な状況になったら少しでも時間を稼いで逃げること、多分オレを助けてやれるからと。多分ってなんだよ。


 他にもなんか色々言われた筈だけどとにかくパニック状態であまり覚えてないや。



 んで、跳ばされた場所があの廃屋となっているビルだったから去年ぐらいからそこに寝泊りしている。



 ん?小学校低学年(?)か?そんなもんこの世界に来たら見た目そのくらいに若返っていたんだよバカヤロー。



 と、これで大体オレ自身と状況を理解してくれたかな?






 なんとなく商店街の大通りを歩く。
 別に特に理由なんて無い。ただなんとなく、人寂しくなったからこの通りを歩きたくなっただけだ。


 今の今まで歩き続けていたから商店街の中心にある大きな噴水の脇のベンチで休憩する。
 ふと何気なく周りの点々と明かりに照らされた道を歩く人達を眺める。

 今、オレの周りの人々は皆目的の位置に向かって歩いている。


 その人達は皆笑っている。この街は前の世界と比べてやけに笑顔が多い。その中で笑っていないのは―――――オレだけだ。



 周囲の人から一度目を離して暗く曇った空を仰ぎ見る。

 ―――正直このままじゃいけないのは分かっている。

 しかし分かってはいても何をどう行動を起こせばいいかが分からない。
 いや、それとも独りで死ぬのを待つ為だけにこのまま何もせずに生きていくのか。

 あー、やっぱまだ死にたくは無いな。いつまでこんな生活を続ければいいのか、だな。
 あの時ですら行動を起こせたのに今はその土台すら無いからどうしようも無い。


 暇を持て余して考える事が無くなった時はいつもこんな事を考えてしまう。他にも向こうの世界の友人(といっても高校で出来て数える程しかいなかったけど)とかこっちじゃそろそろ1年が経過するけど向こうの世界も同じ時間を―――――。


「だぁーー!!暗い!今のオレ、暗すぎる!!……今更うじうじ悩んでも仕方ないだろう…!」


 この1年間で長くなった髪をワシャワシャと掻き毟り暗くなった"俺"の思考を切り替える。


 オレはオレ。前の"俺"とは違う今を生きるオレだ。―――……なんてね。


「とにかく夕飯でも食べるかぁ…。あー、肉食いてぇよ肉」


 オレはまた夜の商店街を歩き出した。






  ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆





 ホームレスってどうやって飯食ってるか知ってる?

 ニュースとかで報道されるような根が真面目なホームレスはどんな窮地になっても空き缶拾いとかしてコツコツ金貯めてはやりくりしているんだろう。
 しかし真面目じゃない根が悪い奴は楽して何でも手に入れるんだろう。―――例えば、オレみたいに万引きとか。

 携帯食料とドリンクゼリーをカメラと店員に見つけられないように限界までポケットに詰めていく。もう1年間もしているのだ。イヤでも慣れてしまう。

 1年間もこんな事してるのかって?ホームレスチルドレンのお財布事情の異常さを舐めちゃいかんよ。住所無しでも出来る超低給料の1日バイトすら見た目子供だから出来ないし。

 じゃあ大人しく空き缶でも拾えば良いという話になるのだがそれは無理。一応これでも最初は拾おうとしたんだけどね……。
 この街、治安良すぎて空き缶どころかゴミ一つも落ちていないんだ。