気まぐれ天使の異世界記録
その時はあの廃屋のビル6階から普通に階段を降りていたら、階段が崩れて穴が開いてたところに落ちて全身潰れたんだよ。
あの時はもう脳がヤられたのか痛みすら感じなかったし。でも例によって後に痛いと感じるだけで死ぬことも後遺症も無く生き返ったんだけど。
いやもう、ただ只管恐かったね。何が何だか色々有り過ぎてどうしていいか分からなかったもん。
無事、ではないけどあの後何事も無く廃屋に着いた。
……6階まで行くのはもうダルいから1階の部屋の真ん中で飯食ってサッサと寝よう。
「うぇ、血塗れでグチャグチャだ…」
折角トラックに轢かれてまでゲットしたのにポケットに入ってたもの全部潰れて血で浸っている。
「ぉぇぇ、やっぱり不味い…」
でも吐き出すような事はしない。食べ物は大事にしないといけないから。
血塗れのそれらを食べ終わって、明日からの行動を考える。
そういえば今日、あの警察官に顔と姿見られたんだよなー…。
普通ならば暫く会わないでいたら忘れてくれるだろうけど、オレはアルビノだから第一印象は色濃いだろうし2~3mの塀を跳び乗ったという有り得ない演出までしてしまっているから2日3日じゃ忘れてくれないだろう。
「あ~~~、何であんな事したんだろう……オレのバカヤロー…」
後悔先立たずとはこの事也。出来る事なら過去の自分を殴りたい。
取り敢えず暫くはあの辺りには近づかないようにして、なるべく散歩はしないようにしよう。
―――最悪、どうしようも無くなったらこの街を出て行く事も考えよう。
「お?漸く治り始めてきたか…。―――ぁ…」
そこまで考えると急速に全身の激痛が退いていく。それと同時に凄まじい眠気が襲ってくる。
前の時にもこれくらいの怪我が一気に治り始めるのと同時に抗えない眠気が襲ってきた。つまり、既知の感覚だ。
オレはそのまま眠気に従い、深い眠りについた―――。
作品名:気まぐれ天使の異世界記録 作家名:んややさ