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とある魔術の絶対重力‐ブラックホール-

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第01章 幻想御手 ‐持たざる者の欲する力-



第01話 ビリビリビリビリ言ってんじゃないわよー!



「は―――――――――――――――っ・・・」
「おい当麻、俺の真横で世界の終わりのような溜息をつくなよ」
そう、今日7月16日は『|能力測定《システムスキャン》』の日だった。そのため午前中で測定の終了した俺こと|神無月有真《かんなづきゆうま》は、クラスメイトの上条当麻と第7学区にある学校から帰宅ならぬ帰寮している最中だった。
 ここ、学園都市は超能力開発を行う街だ。学園都市はあらゆる教育機関・研究機関の集合体であり学校の授業として超能力の開発を行っている。学園都市の人口の約8割は学生で日々自身の能力の向上に努めている。そして学生の能力レベルを測定する行事こそが|能力測定《システムスキャン》だ。学生は定期的に|能力測定《システムスキャン》を受けることが義務付けられており、その|能力測定《システムスキャン》の日というのが今日だった。あと4日で夏休みという時期にあるこの|検査《イベント》は結果の優れない学生にとっては悪夢のような行事だ。そして、その悪夢の直撃を受けた人物こそ俺の隣で沈んでいる|上条当麻《かみじょうとうま》だった。
「溜息にでもしないと消化できないんです! そりゃあ、毎度のことながら|無能力者《レベル0》だってことも|能力測定《システムスキャン》受ける前から分かってはいたことさ、ああ、分かっていたさ、でもそのせいで補習させられるのは納得がいかないんです!」
当麻の迫力に押されて若干たじろいでしまう。
「・・・あ、そうだ、今朝学校行くときになんか新しいクレープ屋が始まるって言うチラシもらったんだ。 補習前の景気づけに奢ってやるから元気出せって」
「マジですか!? 今月の食費の入った財布を落として無くしてしまった|私《わたくし》上条当麻にクレープを奢ってくれると!?」
「俺の知らない内にまたそんな不幸に遭っていたのか・・・というか奢るって言った瞬間に目をキラキラさせて土下座を敢行するな、なんだ一人大名行列か! ええい、止めろー! 周りの視線が俺に突き刺さるー!!」



 『常盤台中学』
二三〇万人もの学生を抱え東京都の三分の一の広さを誇る超能力開発機関『|学園都市《がくえんとし》』の中でも五本の指に入ると言われる名門の中学校だ。同時に世界有数のお嬢様学校もある。名門の名は伊達ではなく入学は困難だ。その理由の一つは在学条件の一つに『|強能力者《レベル3》以上』という区切りがあることだろう。どんなに財産があろうともこの基準をクリアできなければ入学することはかなわない。某国の王族の娘をあさり不合格にし、国際問題に発展しそうになったこともあるほどだ。逆に能力があれば入学することはできるのだ。また、常盤台中学は総生徒数二〇〇人以下という少人数制を採っていることも入学を難しくしている。しかしこの基準のおかげもあり現在では『|超能力者《レベル5》』を二人、『|大能力者《レベル4》』を四七人も抱えるに至っている。才能あるものを集めその交流によってさらに才能を伸ばすこと、そして少人数制を使い一人一人を集中的に教育できるので高い能力を育てられること、それが名門の名を守っているのだろう。
 常盤台中学には女子寮がある。校舎から走って20分ほどの距離にあり、常盤台の生徒はここからバスに乗り学校まで移動する。朝このバスに乗り遅れると全力で20分もの間走り続けなければ学校に間に合わない。走って20分の距離ともなるとかなりの距離だがこれでも学校の敷地内である。常盤台中学は隣接する4つのお嬢様学校と土地を共有し合うことで『|学舎の園《まなびやのその》』と呼ばれる普通高校の約15倍もの面積の共用地帯を作り出している。
 そんな常盤台中学女子寮の食堂の一角で学園都市に7人しかいない|超能力者《レベル5》の一人第三位の|御坂美琴《みさかみこと》は食後の紅茶を飲みながら午後の予定を考えていた。
(あ~『|能力測定《システムスキャン》』も午前中で終わっちゃったし、午後はどうしよう。漫画は昨日立ち読みしてきたし)
今日は7月16日の木曜日、美琴は毎週月曜日と水曜日が漫画の立ち読みの日と決まっていてちょうど昨日コンビニで漫画を読んできてしまったばかりだった。いくらお嬢様学校の生徒といえども実態はこんなものである。典型的な絵に描いたお嬢様というのは逆に珍しいくらいだった。美琴が午後の予定を静かに考えていると食堂の誰よりも大きな声が彼女の思考を分断した。
「おーーーーーーーねーーーーーーーさーーーーーーーまーーーーーーー」
美琴が声の方を振り返ると予想通りツインテールの後輩が勢いよく走ってこちらに向かってくる。そう、このツインールの少女は|白井黒子《しらいくろこ》、美琴を尊敬してやまない美琴のれっきとした後輩である。まあ、尊敬では済まないレベルで美琴を慕っているのだが。
「どうしたのよ、黒子。 そんな必死な形相で走ってきて」
「どうしたのよ、黒子。 ではありませんわ、お姉さま。 そんなこと言っている場合ではありませんの。 あー、悔しいったらありませんわ。 どこの馬の骨とも知れない輩の分際でーーー!」
「ちょっと、アンタは何をそんなに悔しがっているのよ」
「う~、お姉さまが、お姉さまの学園都市第三位の座がどこの馬の骨とも知れない輩に奪われたんですの! これが悔しがらずにいられましょうか」
黒子の大声が響き渡り食堂内は一瞬シンとなった。そして、次の瞬間には、
「ねえ、今の聞いた? 御坂様が第三位の座を奪われたって話――――」
と、食堂はその話題でもちきりになった。今の一瞬だけで学校全体の噂になるのが目に見えた美琴は頭を抱えた。そんな美琴の様子には気が付かない白井は自分の思いのたけをひたすらに語る。
「もう、黒子は悔しくて、悔しくて、それに聞いた話ではお姉さまの第三位を奪って輩は今まで|超能力者《レベル5》ですらなかったそうですのよ。そんなどこの馬の骨とも分からない輩にお姉さまのポジションをとられたかと思うと、キーーーー、いらいらしますの! というわけでお姉さま今から真相を確かめに行きますのよ」
そういって白井は美琴の腕をつかむ。
「ちょっと黒子、行くってどこに行くつもりよ」
「わたくしの在籍する『|風紀委員《ジャッジメント》』の第177支部ですわ。 あそこからなら『|書庫《バンク》』にアクセスできますから」
そう言って白井は美琴の腕を取ってズンズン進んでいく。
腕を引っ張られズルズルと引きずられるようについて行く美琴だが内心では、
(私を超えて第三位になった能力者か、ちょっと戦ってみたいかも)
などと考えていた。そんな美琴の心情を読み取ったのか白井は、
「お姉さま、いま新しい第三位が誰かはっきりしたら戦ってみたいとか考えていたでしょう。 だめですのよ、権限を持たない一般人が無闇に能力を使うと色々なところから睨まれますの。 それでなくともお姉さまは|超能力者《レベル5》、ただでさえ目立つというのにお姉さまと新しい第三位の|超能力者《レベル5》同士で戦ったりしたらどうなると思っていますの?」
「わ、分かってるわよ、そのくらい。私だってそのくらいの分別はあるわよ」