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とある魔術の絶対重力‐ブラックホール-

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若干取り繕ったような美琴を白井がジト目で見るが、あきらめたようにつぶやいた。
「分かっているならいいんですの、でもお姉さま町の不良にからまれたときも能力で対処せず私たちを待ってくださいね」
そうなのだ、美琴は町でからまれることが多々ある。そんなときも基本的に|風紀委員《ジャッジメント》を待たずに自分で何とかしてしまう。常盤台はお嬢様学校で有名なので金目当てで近づいてくる男も多い。しかし、常盤台のお嬢様たちがみな|強能力者《レベル3》以上であることも覚えておくべきだろう。何も知らずに近づけばあっという間にボコボコにされるのは目に見えている。確かにお嬢様ということもあり男に慣れていない者もいるが、美琴のようにあしらうのに慣れている者もいるのだ。
「う~ん。 今度から少しは待つようにするわ」
白井はその今度が永遠に来ないような気がして溜息をつき、あきらめた。



周りの視線から逃げてきた神無月は再び歩く速度を落としていた。
そんな神無月に上条は問いかけた。
「それで、そのクレープ屋ってどこにあるんだ?」
「ん? ああ、第7学区ふれあいひろばって書いてあるからすぐ近くだな」
「そうか、良かったー」
当麻は何か素晴らしく安心した顔をしている。
「何をそんな安心した顔で喜んでるんだ?」
と神無月が上条に問いかけると上条は『そんなことも知らないのか!?』といった顔になった。
「今日は木曜日だぞ!? スーパーでお肉のタイムセールがあるから間に合うか気になったに決まってるだろ!」
「知らねえよそんなこと! 確かに安売りしてたら嬉しいけど、そんな曜日ごとの安売り品まで把握してねえよ!」
「くー、ブルジョワめ。 貧乏学生の|懐《ふところ》具合をなめんな! ん、待てよ・・・今日は俺だけじゃなく神無月もいるんだからセール品が2倍買えるんじゃないか!? お一人様一パックのお肉が2パック買える! ふ、ふふ、ふふふふふ」
「・・・」
クレープを奢るだけじゃなく、|食材漁り《ショッピング》にも付き合わされるのかと神無月は一人溜息をついた。



「ここがわたくしの所属する第177支部ですわ」
食堂を出た二人はバスと徒歩を駆使して風紀委員|《ジャッジメント》の第177支部まで来ていた。白井の能力は『|空間移動《テレポート》』で美琴と共にここまで移動することも可能だが、学園都市では緊急時と授業以外での能力の使用は基本的に禁止されているので結果としてバスと徒歩という移動手段になったのだった。
「へー、アンタの仕事場ってこんなところなんだ。 今まで来たことなかったから少し新鮮」
美琴が支部内を見回す。室内は、企業のオフィスのような雰囲気で、壁際には落し物を保管するラックやプリンターなどが置かれている。大きめの棚には過去の事件の記録などを保管しているのか広辞苑よりも分厚いファイルがいくつも並んでいる。また、荷物も多いようで段ボール箱の壁ができている。ほかには、休憩用のソファと作業用デスクがいくつか置かれていた。美琴が室内を物珍しそうに見ていると知らない少女の声が美琴の隣にいた白井にかけられた。
「あれ、白井さん? それにそちらの人は誰ですか?」
大きな棚に隠れて見えなかった奥の作業用デスクの前の椅子に腰かけていた少女が白井に話しかけた。黒髪のショートヘアのほんわかというか飴を転がすような甘ったるい声の少女で、髪飾りが特徴的な少女だった。彼女の髪飾りは造花で遠目に見ると花瓶を頭に乗っけているのではないかと思うほどの数があった。その少女の隣には長い黒髪に白梅を模した髪留めを付けた少女がいた。どちらも同じ学校の制服を着ている。
「ああ、初春いましたの。 お姉さま、こちら柵川中学1年の初春飾利さんですの」
「初春飾利です。よろしくお願いします」
初春は美琴が白井と同じ常盤台中学の制服を着ていることに気が付いたあたりから緊張しているようだった。
「えっと、初春そちらは?」
白井は初春と一緒にいたもう一人の少女の方を見る。
「あたしですか? あたしは初春のクラスメイトの佐天涙子です。 初春の親友やってます」
二人の名前を聞くと今度は自分がと美琴が名乗る。
「初春さんに佐天さんか、私は常盤台中学2年の御坂美琴よろしくね」
美琴は名乗るのと同時にニコッと笑った。すると初春がすぐに食いついた。
「え! もしかして|超能力者《レベル5》の第三位|超電磁砲《レールガン》のあの御坂さんですか!」
ものすごい食いつきように美琴は少したじろいだ。そして初春の問いには白井がすぐさま答える。
「そうですの、常盤台中学のエース|超電磁砲《レールガン》の御坂美琴といえばお姉さまのことですわ」
うわー本物だーと初春と佐天はテンションを上げている。そこで初春ははたと気が付いた。
「そういえば、白井さんも御坂さんもどうして今日はここに? 白井さん今日はお仕事の日じゃないですよね。 緊急な事件も起こっていないですし」
白井は初春の言葉にはっとした顔になると叫んだ。
「何をいっていますの、緊急に決まっていますわ! お姉さまが第三位ではなくなったとの噂がありましたのよ。 だからわたくしたちはその真偽を確かめに来たんですのよ!」
「え、ホントですか白井さん!? そういうことなら私も手伝いますよ」
「お願いしますわ、初春。 その手のことはあなたの方がわたくしよりずっと速いですから」
ハイというが早いか初春はコンピュータのキーボードをすごい勢いで叩き始めた。|書庫《バンク》にアクセスしているのだろう。少しの間四人がコンピュータのディスプレイに注目しとても静かになった。そして初春のキーボードを叩くカタカタという音だけが響く。
「ありました美坂さんのデータ。 あ、ホントみたいです、確かに第四位になっています」
確かに画面に移された美琴のデータには第四位と書かれていた。
「初春、お姉さまの上に現れた現在の第三位も調べてもらえます?」
「大丈夫です、そっちも調べてあります」
初春がエンターキーを押すともう一人のデータが画面に出力された。
(名前:|神無月有真《かんなづきゆうま》 レベル:|超能力者《レベル5》 順位:第三位 能力:|絶対重力《ブラックホール》 へえ、こいつが新しい第三位ってわけね。おもしろいじゃない、どこかで出会ったら戦ってみたいわね)
美琴がそう考えていると佐天は能力に疑問を抱いた。
「|絶対重力《ブラックホール》? どんな能力なんでしょうねこれ。 御坂さん分かります?」
「う~ん、私も聞いたことない能力名ね。 黒子分かる?」
「わたくしも聞いたことがありませんわね。 初春は分かります?」
「ちょっと待ってください、それも今調べます」
初春がカタカタとキーボードを叩くとそれらしい記述が見つかった。
「未知素粒子制御系の能力の一つで重力を制御する能力、だそうです。 でも、これ以上は何も書かれていません」
「重力か、今までに見たことのない能力ね。 ねえ、こいつの写真ってないの? 私のデータには写真が載ってたのに。」
「このデータ更新されたのが今日の午前中みたいで写真までは載ってないみたいです。 でも普通なら昔の写真くらい載せると思うんですけど」