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新生勇者戦記 ブレイヴ・サーガ・ディザスター 第48話

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  第48話 「発足、ブレイヴ・フォース」


  ファイバードは澪をコックピットに乗せてシェルターを捜していた。そこへ入る緊急通信。無論、ファイバードに緊急通信が出来る者は現状的にエクスカイザー以外いない。

  通信の内容はこの間に急遽入った冴島達からの言伝であった。

  エクスカイザー 『つい先程、警視庁からの言伝を受けた!!私も同じ警察として彼らに協力している身なんでね・・・内容は私とファイバードに直接招集がかかったということだ!!』

  ファイバード 『警視庁・・・ひょっとして冴島さんからですか?!』

  エクスカイザー 『そうだ!!この状況下に陥ってしまった以上、宇宙と地球の勇者達で立ち上がることが最大の得策と判断したからだそうだ!!私も、勇と向かう。場所は府中市の市民サッカー場と第二球場だ!!』

  ファイバード 『府中市の市民サッカー場・・・了解です!!澪ちゃん!!これから最寄のシェルターに行く!!誰も知ってる人がいなくて不安だろうケド、向こうはもっと危険なはずだ!!」

  澪 「うん・・・。」

  被災場所から近いゆえに、やむを得ない。澪も心半ば心細い気分となった。更にその半ばは勇士朗が言いかけていたことが気になって仕方がない。

  そんな澪にファイバードはせめてもの支えとして、コックピットの右サイドのハッチからファイバードの顔をしたブレスレットを出した。

  澪 「え?!これは・・・なに?」

  ファイバード 『要人護衛用の小型ロボット・リスターだ。宇宙警察機構のシロモノだよ。普段はブレスレットになっているんだけど、いざというときは変形して闘ってくれるんだ。悪人程度なら余裕で蹴散らしてくれる。もしもの為のボディーガードってところかな。』

  澪 「へぇー・・・こんな小さいのに力があるんだ・・・。」

  澪はそっとリスターを手に取り、裏表に反しては何度か不思議そうに見ると、それをカバンのチャック部分に閉まった。

  澪 「・・・腕に付けるのはちょっと恥ずかしいから、閉まっておくよ!」

  その後、ファイアージェットは最寄のシェルター付近に着陸した。キャノピーが開き、澪がファイアージェットを降りる。ジェネレーターの駆動音が周囲に響き渡る中、ファイバードは一時の別れを告げた。

  ファイバード 『それじゃ・・・行ってくる!!』

  澪 「待って!!」

  ファイバード 『え・・・?!』

  澪の一言の叫びがファイバードを引き止める。言いかけた言葉を聞きたかったのだ。

  澪 「あの時・・・さっき言いかけたコト・・・言ってくれない?やっぱりすごく気になるから・・・・。」

  澪自身も勇士朗が言いかけていたことは直感的に気づいていた。だが、やはり本人の口からその想いを聞かされるまではどうしてももどかしかった。

  勇士朗としてはやはり、普段の自分として気持ちを伝えたかった。

  ファイバード 『・・・ごめん・・・今は言えないよ。ファイバードとしてではなく、火鳥勇士朗として言いたいんだ・・・戻ったら話すよ・・・。』

  澪 「・・・うん・・・わかった・・・必ず戻ってきてね!!」

  ファイバード 『ああ、約束する!!行って来るよ!!!』

  ファイアージェットは機体を上昇させて暮れ行く空へ溶け込んでいく。そしてある程度のところまで上昇すると、ギュゴっと加速して飛び立った。澪はファイアージェットの機体が見えなくなるまで見送った。

  澪 (勇士朗君・・・もし、私への告白なら・・・私・・・答えは出てるから・・・)




  通達を終えたエクスカイザーは、3体のC‐05にフレーミング・ノヴァの火球を撃ち放った。

  エクスカイザー 『フレーミング・ノヴァ!!!』

    ギュドォゴォ、ギュドォゴォオオ、ギュドォゴォオオッッ!!!

    ドォドォドォゴォオオオンッッ!!!

  面前に立ちはだかっていた3体を吹き飛ばすと、ダグオンチームに事を通達する。ダグテクターには宇宙警察機構関係者からの通信機能も備わっているのだ。各員が闘いながら返答する。

  エクスカイザー 『私はこれから勇と共に東京方面へ向かう!!後は君たちに任せたぞ!!』

  ダグオンチーム一同 「了解!!」

  エクスカイザーはダグオンチームに事を任せ、エクスGTモードへと変形した。変形と同時に元の車両の大きさへと戻った。

  そして再び勇の許へとやってきたエクスカイザー。勇の目にエクスGTモードへと変形したエクスカイザーが映った。それが勇には「いくぞ」のサインとして伝わった。

  出撃の時。勇は背中に隠れる和にぽつりと言う。

  勇 「・・・俺、行ってくるぜ・・・。」

  和 「え?!」

  憂 「勇兄ちゃん、行くってどこへ・・・??」

  勇 「なーに寝ぼけてんだ、東京へヤツラをぶちのめしに行くんだよ。向こうの方がもっとひどい・・・絶対に俺や勇士朗の力が必要なはずだ・・・。」

  和 「勇さん・・・。」

  勇は和に振り返った。いっそこのまま告ってしまいたい所であるが、状況的にとても告白できるタイミングではない。更に言えば告ったことで彼女の受験勉強に支障をきたしてしまうことを何よりも恐れた。

  勇はその代わりに一つの約束を提示する。

  勇 「この一件が終わったら、どっか遊びに行こうぜ。受験生にゃあ、ちっとは気分転換も必要だろうからな!!どう・・・?」

  和 「ええ?!いいんですか?!勇さん!!」

  勇 「ああ!和ちゃんさえよけりゃな!あ〜・・・もちろん唯達も連れてな!」

  二人のやり取りの背後で唯達はこしょこしょとしていた。特に律が盛り上がっている。

  律 (うっは〜!!半ば告白じゃね?!!あんたの従兄もやるねー!!)

  唯 (し〜!!今イイトコだよ!!)

  律 (・・・・ダジャレ??)

  梓 (憂の従兄のお兄さん、結構積極的なんだ・・・。)

  憂 (勇兄ちゃんも和ちゃんも頑張れ〜!)

  和本人には、思っても見ない事だった。和は満面の笑みを込めて返答した。

  和 「じゃあ・・・お言葉に甘えさせてもらって・・・その前に必ず戻ってきてくださいね!私、待ってますから!」

  勇 「オーライっ!!」

  勇はサムスアップサインをしながら駆け出し、エクスGTに乗り込んだ。強気なまでに不敵な表情を浮かべてローギヤーにシフトを入れ込む。

    ヴォン、ヴォン、ヴォヴォヴォヴォゴオオオオオオオッ!!

  勇 「っしゃああ!!いくぜ、エクスカイザーッ!!!」

  何度も空ぶかしした直後に、エクスGTはロケットスタートで発進した。

  和 (・・・今は受験生だからって・・・ふふふっ♪まさか勇さんから誘ってくれるだなんて!!)

  心の中でいつになくはしゃぎたい気分になる和。この状況下にあるにもかかわらず、彼女の乙女心が躍動する。




  府中市の市民サッカー場と第二市民球場。既に警視庁の部隊やヘリ、Jトランスポーターが展開していた。レイバーズがハッチから降り、上体を起こしている。