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第十五章「ルビーの涙」
一行は散々探し回ったあげく、ロザリーヒルの村を見つけた。
地形が複雑なので、簡単には見つけられなかったのである。
中に入ると人間がほとんどいない。
ロザリーヒルは魔物と、ホビットと、動物の村であった。
まず目についたのは、教会と三つの店を営む人間の老人であった。
店の中を忙しそうにくるくる回っている。
商魂たくましい老人のようである。
村のホビットに聞くと最近ここへやって来て、商売を始めたようである。
次に別なホビットに話し掛ける。
なんとこの村にはエルフのロザリーがいるという。
やっぱりここがイムルで見た夢の場所なのねと、ソフィアは思った。
そのホビットによると、ロザリーが流す涙はルビーになるそうである。
このため欲にかられた人間たちが虐待し、ロザリーにルビーの涙を流させていたとのこと。
ソフィアたちは人間たちの愚行を聞かされ、胸が痛んだ。
ふと見ると、魔物のイエティが泣いている。
どうやらかわいそうなロザリーの境遇を嘆いているらしい。
恐る恐る話し掛けると、ロザリーが人間にいじめられているところを、ピサロが救ったようである。
一同は顔を見合わせた。
奥に入ると戦士風の人間がいた。
彼はルビーの涙を流すエルフを探しているという。
そしてそのエルフを捕まえ、大金持ちになろうと思っているらしい。
さすがにソフィアは怒りがわいてきた。
さて一行は村の奥にある塔の前に来た。
イムルの夢で見たあの塔である。
近くにいる子供が、夜になると塔の窓からきれいな女性が顔を出すと教えてくれた。
いよいよ一行は塔の中に入ってみる。
中は教会であった。
なんと動物が人間の言葉を話している。
ピサロが彼らに進化の秘法を使った結果らしい。
動物たちはピサロに感謝しているが、はたして本当にこれが彼らにとって幸せなのか、ソフィアには疑わしかった。
教会にシスターがいたので話を聞こうとしたが、ここはホビットと動物の教会であるため、立ち去るように言われてしまった。
しかしもうこれ以上部屋が見つからない。
一行はもう一度イムルの夢を思い返してみた。
そして夢の中でピサロは、塔の前で笛を吹いていたことを思い出した。
そういえば、サントハイム城で笛を手に入れた覚えがある。
一行は持ち物を探してみた。
見つけたのはあやかしの笛であった。
早速塔の前で吹いてみる。
なんと床にあった隠し階段が開いた。
四人は階段の入り口に入り、塔を上って行く。
最上階につくと、奥の部屋を守るように魔物が立ちはだかっていた。
ピサロからロザリーの警護を任されたピサロナイトである。
ソフィアはピサロナイトと戦うのをためらった。
だが戦闘は避けられなかった。
ピサロナイトはいきなり静寂の玉を使い、ソフィアたちの呪文を封じ込めた。
だがパーティーにライアンとアリーナがいたことが幸いした。
二人は競うようにピサロナイトを攻撃する。
しかしピサロナイトもアイスコンドルを呼んで応戦する。
アイスコンドルも凍える吹雪を吐く強敵である。
ソフィアたちはアイスコンドルを倒しながら、ピサロナイトにダメージを与えて行った。
ついにピサロナイトを倒した。
奥の部屋に入ると、ロザリーとスライムがいた。
まずスライムの話を聞いてみる。
エンドール南西にある王家の墓に変化の杖があるという。
それを使えば魔物の城に入り込めるとのこと。
後で必要になるであろうその情報を、ソフィアは心に刻み込んだ。
そしていよいよロザリーと対面する。
ロザリーはソフィアたちに話した。
ピサロが操る魔物たちによって、世界が滅ぼされようとしている。
またピサロはデスピサロと名を変え、進化の秘法で恐ろしい存在になろうとしており、このままでは罪を重ねるだけであると。
その後ロザリーの口から発せられたのは悲痛な願いであった。
デスピサロの野望を止めて欲しい。
たとえそれが彼の命を奪うことになっても……
ロザリーはルビーの涙を流した。
ソフィアはルビーの涙を手に入れた!
しかしルビーの涙は音もなく崩れ去った…
ソフィアたちはやりきれない思いでロザリーと別れた。
デスピサロを倒すことはソフィアたちにとって大きな目的である。
しかし一行には、それがロザリーにとって幸せなことであるとは思えなかった。
そしてこれからロザリーを待ち受ける不幸のことなど思い及ぶはずもなかった。