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氷雲しょういち
氷雲しょういち
novelistID. 39642
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第1Q 僕は影、私はライト

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1-相田リコ
「じゃあ、5対5の、ミニゲームやろっか」
雨でロードワークができず、余った時間で1年対2年をやることになった。ちょうど、明日で仮入部最後だし。
とりあえず、土田くんも含めた二年五人と、一年は、
「嫌っすよ、こいつ入れるの!」
誰を選手5人にするかを揉めていた。正確に言うと、
「いや、一応帝光だったし、なぁ」
「まぁ、黒子は貧弱そうっちゃ貧弱そうだが」
「いや、こいつはよえー!昨日、1on1したら、死ぬほど弱かったんだよ!」
黒子を入れるかどうかを揉めていた。
明らかに才能あふれる火神くん、特殊であれ一応帝光の紺野さんは出すようで、残りをじゃんけんらしい。まぁ、全員で15人いるから、倍率3倍。仕方ないだろう。
で、3人目に黒子を入れるかを議論していたが、当の黒子が、
「いいですよ、僕、見てます」
「けっ、行こうぜ、紺野。あと、そこ3人」
火神はじゃんけんを終えた3人に声をかけ、整列に行く。
少し考え顔の紺野さんに黒子くんが声をかける。
「僕は大丈夫です。紺野さんは、大丈夫ですか?スターターで」
「まぁ、今日までの練習は見てたし、あいつらを見てたぶん、多少は行けるだろうけど。やばくなったら代わらせて」
「はい、無理はしないでくださいね」
「ありがと。ホクロくんも、まぁ、がんば!」
「名前間違えないでください」
黒子くんの最後の言葉を聞いてるかは分からないが、とりあえず、5人ずつそろった。
さて、開戦だ。
「ミニゲームだから、計2Q。20分間ね。じゃあ、行くわよ」
ボールを上げ、ほぼ同時に笛を吹く。
――さぁ、ルーキーたちはどこまでやれるかな。

2-黒子テツヤ
「なぁ、聞いたか、今の2年、1年だけで決勝リーグまで行ったんだってよ!」
「マジかよ、強すぎだろ!!」
噂には聞いていた。そして、実際彼らは強かった。
1年は、火神くんがダンクをし、紺野さんもなんとかパスを繋ぎながら前進。
2年は、日向主将の3P、伊月先輩のボール回しでお互い接戦だった。いや、わずかに1年が押している。
そして、予想通り、
「あ、火神に二人マークついた」
水戸部先輩と土田先輩が火神くんをマークし、火神くんの次に上手な紺野さんにパスが渡る。
開始3分。そろそろ、紺野さんが動き出す。
「じゃあ、バカ神くん、始めるよ」
「はっ?てめっ、今まで本気じゃなかったとか、言うんじゃねぇだろうな!!」
「違う違う。動きを追いやすくするために、目を慣らしてたの。こうしないと、危ないし、結構重要だから」
紺野さんはクスクスッと笑い、ハーフコートに移った場面で、突然スティールをした。
パスをしていた伊月先輩、小金井先輩が驚く。
「「なっ!」」
紺野さんはすかさず走り、速攻を仕掛ける。だが、やはり短距離専門のためか、すぐに日向先輩に追いつかれた。
「さすかっ!」
立ちふさがった日向先輩を見て、言った。
「じゃ、開始」
スルンッ。
紺野さんは、静かにかつ流れるように日向先輩の右脇をすり抜け、ゴール下に来る。
次は、土田先輩が止めようとした。しかし、
クルァンッ。
無音の高速ターンで土田先輩の真ん前をスライドし、ゴールの真上から、レイアップをかました。
「速いっ、いや、そうじゃない。みんながついていけない速度じゃないはず……」
相田先輩は動揺している。無理もない。
「紺野さんは、抜くときにフェイクを使ったり、ターンが速すぎるのではありません」
「えっ?」
「紺野さんは、昔、バレエをやっていたんです」
「バレエ?!!いや、でも、それであんな動き……」
「中2までバレエをやっていて、できた柔軟な身体、ターンやペネレイトでの鮮やかな身のこなし。それが、『キセキ』の誰にもできない。女子だからこそ、紺野さんだからこそできた動きなんです。また、足音もないため、相手に、背後に迫っていることを気づかせないから、スティールも得意。それが、試合時にも選ばれた理由の一つです」
紺野さんは、またスティールをし、今度は水戸部先輩が立ちふさがった。
すかさず、目の前に着いてから、右手を華麗にひねり、斜め後ろにいた、火神くんにパスをした。
「うおぅ!?」
パスされた火神も驚きつつも、なんとかダンクを成功させた。
いま、1年が5点勝っている。
「そして、もう一つは、」
ボールは伊月先輩。
「伊月、くれ!」
日向先輩の声で、伊月先輩はパスする。
日向先輩の前に、紺野さんが来た。打点の高めな日向の3Pでは、普通、紺野さんの身長では届かない。
「くらえ!」
日向先輩が撃つ寸前、いや、ジャンプの寸前、
バシンッ!!!
紺野さんは、右腕を放物線上に回転させ、指で、放る直前のボールを弾いた。
「届く、だと?!!」
日向先輩は驚愕を隠せないでいた。
「もう一つは、彼女の反射神経です」
「でも、そんなの、男子でも、ましてや『キセキの世代』にはゴロゴロいるでしょ」
「いえ、正確に言うと、『死ぬかもしれない』『当たることが怖い』という感覚です。彼女は、背骨当たりを幼少時代に切っており、また、元々病弱で何度か骨折経験もあるので、接触すること自体を苦手とします。その分、動きの反応は男子以上で、走り以外の身のこなしの素早さだけなら、彼らと遜色ありません。避けること、逃げることを最優先に置いたバスケをするんです。だから、高速ターンや緩やかなペネレイトで避けたり、無理と判断すれば、ギリギリでパスを出します。もちろん、それらの動きを見るため、普通は第1Qは絶対出ません。スピードや、最低限の動きを見計らってから出場するのが常でした。今回は練習だけなので、正直いつもよりキレはない方ですが」
「それでも、……こんなにできるだけで、十分すごいわよ」
22-30。1年が、8点勝っている。
とうとう、水戸部先輩のセンターで、他四人が二人ずつ紺野さんと火神くんにマークがついた。
「こりゃ、賭だが、もう行かせん!!」
第1Qは、残り1分で、二年は逆転した。36-34。
「あと最後に、大きい才能が一つ」
相田先輩が耳だけを傾ける。
「なんなの?」
「彼女は、左耳がやや難聴気味です。音だけしか聞こえない」
「へ?どういうこと?」
「声が聞こえないんです。左側で小声で言われると、何を言われているか分からない。一応、右で常に聞くようにしてます。しかし、代わりに、左耳の場所による場所の把握はすごいです」
紺野さんは、左斜め後ろにいた火神くんにパスをした。
そして、紺野さんが少し横に走ってまた声をかけた。
「バカ神くん!!」
火神くんは、自分の横からボールを弾こうとする水戸部先輩を見た。
なんとか、紺野さんに戻す。
「そして、紺野さんのシュートは、」
紺野さんは、前に出していた右足を後ろに回し、左足で地面を蹴った。そして、フェイダワェイ、いや、それよりも身体を仰け反り、
「2m以上の人でないと、ほとんど触れません」
かなり高弾道のシュートを撃った。土田先輩の即座のマークも間に合わず、ボールは、ゴールに音もなく通り抜けた。
「嘘、だろ……」
ヴィーーーーーー!!!
ここでブザーが鳴る。40-40。同点で、第1Qは終了した。
「うおぉ、すげー?!あの二年相手に同点?!!!」
一度、それぞれ3分の休憩。