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氷雲しょういち
氷雲しょういち
novelistID. 39642
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第1Q 僕は影、私はライト

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「ごめん、ホクロくん、さすがに疲れたわ。足もきついし、悪いけど、代わってもらっていい?」
「大丈夫です。久々なのに、1Q丸々出ただけ、すごいですよ。お疲れ様です」
「ん。ありがとっ」
汗だくの紺野さんは、無理矢理笑顔を作り、言った。火神くんたちは少し不安げな顔だが、まぁ、気にしない。次は、僕の番だ。

3―紺野舞
「大丈夫?」
相田先輩が横から私の顔を覗く。
「大丈夫、と思います。やっぱ、女子としての、弱点ですね。体力が持たないんで、帝光ではいつも、1Q~2Q。約15分だけ行くんです。ちょうど、こんな風に、ホクロくんと入れ替わり、くらいで」
おそらく持病の喘息のせいだろう。息継ぎが多い。
「それに、私の場合、瞬間的な加速度が半端ないんで、疲労はただでさえ速い。むしろ、久々に実践やったと思えば、まだ保ったほうです」
保冷剤を首に当て、深呼吸をする。自然な行きを心がければ、直に喘息は止む。少しきついが、待つしかない。
「まぁ、しっかり休んでなさい。――じゃあ、みんな、第2Q。ラスト10分行くわよ」
みんなが位置につく。ホクロくんも行き、まずは、二年ボールだ。
ヴィーーーーーー。
「じゃあ、がんばれ、黒子くん」
私はそう小声で言い、試合は、始まった。
試合は、やはり主力に見られるバカ神くんがボールを持ち、すぐにダンク。だが、それは最初だけだった。
私がいなくなった分、彼へのマークは厳しくなった。最初のダンク以降、ボールを触らせてももらえないまま、3分が過ぎた。
他の一年がようやく1発レイアップを決めた以外、うちはボロボロにやられた。現在、44-60。16点差で負けている。
ちなみに、黒子くんは、
パシンッ!
「な、またあいつだ!!」
「スティール!!」
黒子くんは、3回ほどスティールされ、そのたびに二年がシュートする。
点差は開くばかりだ。
「やべぇ、やっぱ強ぇ……」
「無理だったんだよ、もうオレ、いいや……」
一年たちが愚痴を漏らす。それくらい圧倒していたが、バカ神くんはその一年の襟をつかみ、
「あ?!!何あきらめてんだ!!!まだ、試合は終わったわけじゃねぇだろ!!!」
と威嚇する。相手の一年は震え上がった。
そこへ、
「暴力はやめてください」
と、バカ神くんが膝かっくんされた。黒子くんによって。
バカ神くんはブチ切れ、なんか叫び始める。
「そいや、いたわねぇ、黒子くん。私も見失いかけてたわ。って、あれ?いつからだっけ?」
点差は開く一方。だけど、
「そろそろ、始まる」
黒子くんたちが走り始める。隣の男子に、なにかをボソッと言い、ゴール付近へ。
男子からパスされ、それを、
フワッ。
すぐに上へ投げ上げ、いつの間にか、ゴール下にいる1年にパスがわたっていた。
「えっ、あっ」
ゴール下の男子は、動揺しながらも、ゴール下から撃った。
直後、その場にいた者全員が驚愕した。
「えっ、ちょっ、今、いつの間に?!!」
「ってか、どうやってパス渡った?!!」
「わかんねえ!見逃した!!」
驚くみなを諫め、さらにゲームが進むが、1年のパスが途中で曲がったり、回転したりして、4人にわたっていき、急速に点差が縮まり始めた。
「どうなってんだ、いったい?!!気づくとパスが通って決まってる?!!」
横で驚いている相田先輩に、私は言った。
「ミスディレクション。手品とかで使われる、人の視線を誘導するテクニックです」
「じゃあ、黒子くん以外の4人とボールに意識を誘導させ、元から以上にカゲを薄めた、いや、自分以外を見るように仕向けてる、ってこと?」
「そうです。そして、そのカゲの薄さを利用して、ボールに触れる時間を極端に短くして、パスの中継役となる。それが、彼の、黒子くんのバスケです」
そう、黒子くんこそ、『キセキの世代の、幻のシックスマン』。
二年が黒子くんのパスに目を奪われている隙に、バカ神くんがとうとうシュートを撃った。
76-77。ようやく、1点差だ。
「ったく、どっちか片方でもシンデーのに、二人同時だと、ヤバい……」
そして、二年のパスを黒子くんがカットして、ゴール下へ彼が走る。
そしてレイアップを……
ゴガンッ
外した。みんな、もはや引き気味である。
そこへ、後ろからバカ神くんが走ってきて、
「だから弱ぇやつはムカツくんだよ!!ちゃんと決めろ!!!!」
バカ神くんの逆転のダンクで、ちょうどブザービーター。78-77。一点差とはいえ、一年が勝利した。
先輩たちは苦笑し、「味方なら頼もしい限りだよ、お前ら」と、私たち3人を見て言った。
私とホクロくん、バカ神は口元を緩めた。

さて、いつものハンバーガー店である。
あえて言うと、私はバカ神くんと遅れて入った。すでにホクロくんが座っていたのに気づかずに定位置に腰を下ろす。
「なんでまたいんだよ、黒子」
「僕が先に座っていましたし、ここのバニラシェイク好きなんです」
「そういや、あんがい甘党というか、結構食べてたね、そういうの」
「………………」
バカ神くんは目を細め、黙った。かと思いきや、いきなり黒子にバーガーの一つを放る。
「ほらよ。それ一個分はお前のこと認めてやる」
「ありがとうございます」
「私は?」
私が催促すると、バカ神くんはちょっと考えて、三つ投げた。
「こんくらいか」
「えー、バカ神くん、10個はほしい!」
「当てつけですか、紺野さん」
「うん、正解!」
「別にいいけど。こいつの10倍くらいってのは本当だし」
「やった、ありがとう、バカ神くん!」
「お、おう」
「なに若干デレてるんですか」
「デレてねぇよ。ってか、紺野、なんでそんなあだ名なままなんだよ?!」
「紺野さんは、一度つけたあだ名は試合が開始し、終わるまでの間以外は変えません。僕も、ホクロ、ですし」
「そーゆーこと。あー、おいしい」
「………………」
バカ神くんはいろいろ含んだ目をして私たちを見て、しばらく黙って残りを食べた。
店を3人一緒に出る。
「なぁ、『キセキの世代』ってのは、どんぐれー強ぇんだ?」
「すごく強いです」
「半端ないよね。強豪である帝光の中でも、一人一人がずば抜けてる」
「じゃあ、今オレがやったらどうなる?」
「瞬殺されます」
「とりあえず、ズタボロ、かな」
「他の表現ないのかよ」
「死にます」
「絶命!」
「いや、同じじゃね?!」
ホクロくんは、少し頭をうつむかせ言った。
「ただでさえ天才である5人がそれぞれ違う強豪校へ行きました。まず確実に、5つのどれかが頂点になるでしょう」
バカ神くんは、ハハハッと笑い、言った。
「いいねぇ、そういうの。おもしれぇ。……決めた。そいつら全員ぶっ倒す!」
「……無理だと思います」
「ってか、うん、絶対無理」
「てめぇら!!」
「潜在能力なら分かりません。でも、今の完成度では、彼らの足下にも及びません」
「今の君一人じゃ、無理よ」
「僕も」「私も」
「「決めました」」
「僕は影、」「私はライト」
「影は、光が強いほど濃くなる」
「ライトは、一瞬の輝きで光をさらに強調する」
「僕は、君の影となり、」「私が一瞬間の光を放ち、さらに光を強くする。そして、」
「君を」「あなたを」
「「日本一にする」のを見守らせてもらうわ」