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ブレイズ-G-サイファー
ブレイズ-G-サイファー
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東方南十字星 the SouthernCross Wars一

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第一戦:四人組


8月17日 PM5:12 東京。

この時期は夕方でも残暑が激しい。

無事東京駅についた四人は、目的地である羽田空港までタクシーで移動する。

今ではリニアモーターカーなどで楽に行けるだろうが、四人は出来るだけ金を使わず、ゆっくり運転手
も交えて話をするほうがいいのである。が、それと同時に、警戒を怠らないためでもある。

近年、世界的にテロや紛争が多発しており、高速道路や高速鉄道、一般路線でも爆破テロが相次いでいる。

それは平和な日本も例外ではない。事実、羽田も紛争、テロの被害者だ。

幼い頃に爆弾テロで両親を亡くし、住居にしていた孤児院ですら空爆されてしまった。
犯行グループは大方逮捕したものの、世界中でまだまだ混乱が続いている以上、そのような集団は増え続けていると言わざるを得ない。

その紛争やテロなどを撲滅すべく設立された組織が、地球防衛軍・EDF(Earth Defence Force)なのだが、現在は細かいところまでは目が行き届いていないのが現状である。

スタントレーサーであると同時に傭兵部隊(厳密には遊撃隊)である彼らも、伊達に戦ってはいない。

「向こう着いたらなんか食おうぜ?オレ腹減ってきたんやけども」

「また食べるんですか?さっき僕らの弁当半分がっついてたのに」

「我慢しろ。ちゃんと夕食とっといたから車の整備とか済ましてからな」

「整備はおめぇの担当やろ?オレは疲れたから早く食って寝たいんや・・・・」

「お前がよけいなことに首突っ込むからそういうことになるんだ。いくら万引き一人に体力使いすぎだ。
たいがいのことは警察に任せろといつも言ってるだろう」

井野村が言った万引きとは、数時間前、空堀商店街でおきた上町中学校生徒のやったことで、土産を購入していた吉本がいち早く察知し、大阪市の中央区中を一時間近く駆けずりまわっていた。

「しゃあないやろ?オレの地元で万引きなんざ起こったら大阪だけやのうて、大阪人であるオレの恥でもあるんや。おんどれは自分の故郷が万引きばっかしなんちゅうことになったらどないする!?指くわえて黙って見とるなんぞでけへんやろ!?」

「いちいち構う事もないし指くわえるほどのことでもない。少しぐらいの事は警察に任せておけば十分だ」

「なんやと!おのれ地元の景気が悪くなってもええちゅうんか!!」

「たかが万引きごときで景気が悪くなるんだったら、バブル崩壊レベルの時には簡単に世界が滅ぶな無論大阪も(ww)」

「ああ!!?おのれついに言うたな!!後でおぼえとれや!!!」

タクシーの中だというのにつまらない事で喧嘩を始める吉本と井野村。それを見てあきれる岡島と羽田。

「・・・・すみませんね、本当・・・・うちのバカが」

「いえいえ。それにしても、本当ににぎやかな人たちですねぇ」

「こっちは騒がしくて困りますよ・・・・ねぇ?岡島さん」

運転手と話している羽田は助手席に座っているため、後ろを向き声をかける。

「ええ。全くで――――イで・・・!?」

いつのまにか井野村と吉本で上半身のみの取っ組み合いが始まっていた。

当然押しているのは吉本。対抗する井野村は防御体制に入っており、しばらくやられっぱなしである。

が、ついにキレたのか井野村も吉本を前後屈のような形に押さえつけてにかかっている。

岡島はその乱闘の巻き添えをくらいまくっている。

「はいはい終わり!あんたらいい歳してなにくだらない事で喧嘩してんですか!吉本さんはいちいち剥きにならない!井野村さんはもう少ししゃべり方に気をつける!いいですね!?」

「・・・・すまない。取り乱しすぎた」

「そりゃまぁ・・・・悪ぃ」

「それ俺に向けてくんね・・・?痛かったんだけど・・・・」

羽田が叱りつけると、二人は素直に謝る。岡島は鼻を押さえており、赤い液体が流れている。

「ティッシュなら横にありますよ」

「あ、ありがとうございます」

ティッシュを鼻に詰めながら岡島が運転手に礼を言う。

「で・・・・何の話でしたっけ?」

「弁当がどうとかで始まったんじゃなかったか?」

「あっ、そーやった!オレ腹減ってるんやった。おっちゃん、ちと急いでくれや」

「は~い」

「「「・・・・・・。」」」

このように、どうでもいい話一つですぐ変な方向へとんでいくのも彼らのクオリティ。

タクシーのエンジン音が高鳴り、徐々にスピードを上げていった。










PM7:36ホテルJALシティ羽田東京

3階12号室、そこが井野村たち四人にあてがわれた部屋である。

そのなかで、昼間の彼らとはまるで別人のように話し合いをしている。

「んでもって、このE-12コーナーのとこはすぐS字カーブだから、直線的にすべりこんだら、
後でE-14の左フェンスに激突、ここは井野村が一番得意分野だけども――――」

仕切っているのは岡島。昼間の巻き添えによる鼻のダメージは相当なものだったようで、いまだティッシュはまだ詰めている。

「ふぁ~~・・・・もう寝るか?」

岡島が言う。

「そうだな。明日に備えて早く寝るとするか」

井野村が賛成し、

「んじゃ、おやすみ~」

吉本が寝転ぶ。


―――――――だが次の瞬間、吉本が寝転びはじめベッドに横たわるまさにその瞬間に、井野村、岡島、吉本、羽田・・・。

8月17日 PM7:52分。彼らは、地面へ吸い込まれるように一瞬で消えた。










「なぁぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――――――!!!!」

「うわぁぁぁ――――――――――!!!!」

「ッ・・・・・・・!!!」

この状況で黙り込んでいる井野村は相当なタフである。というか、異常だ。

「ねぇ!!なんか目みたいなのあっだ!!なんか目みたいなのあっだ!!!」

涙声の羽田が必死に叫ぶ。

あたりは目、目、目・・・・・・・普通のひとなら叫ばずとも、気分は悪くなるだろう。

とはいっても、現在は絶賛落下中である。叫んでしまうのも無理ないかもしれない。

四人、特に三人は、そのまま絶叫しつつ落ちていった。










「ぐぇ・・・・!!」

走馬灯のようなものを見ながら吉本が中途半端に不時着する。

「ギャ・・・!!」「ぐぉぁぁ・・・・!!!」

起き上がろうとしたとたん、岡島が背中に墜落。

おかげで吉本は腰を痛めた。

だが岡島が起き上がるよりも早く、吉本が腰をさするよりもずっとはやく、

「うぉ!「「ぎぁぁぁぁぁ・・・!!!!」」・・・・・あっ」

羽田が二人を踏み台にし着地。

そのとき羽田はひどいことに、大丈夫かと聞くより、よく助かったなという事しか思ってなかった。

最後に井野村が、まるで高い所から落ちてきた猫のように華麗に着地する。

「・・・・ここは・・・?」

「それよりオレたち何とかしてくんね・・・・?」

「重い・・・・!」

「オレのほうが重いぞバカが・・・・!!」

吉本は背中を打った衝撃で口から血を吐いている。

「・・・・ん?なぁ、俺達、ホテルにいたんだよな?」

岡島が今の地点が字自分たちがいた宿舎、あるいは近辺でないことに気がつく。