二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

雪割草

INDEX|128ページ/206ページ|

次のページ前のページ
 

いきなり突き飛ばされた助三郎は茫然としていた。

「無傷だったか…。良かった…。」

送り出す前に何となく嫌な予感がしてたけど、それが当たった。
でも、よかった。
怪我しなかった。

しかし、ほっとした途端、ズキッと脇腹に激痛が走った。

「くっ…。」

なんか、痛い。なんだろ?

「お前のおかげだ。刺されなくて済んだ。」

「…そうか。」

助三郎の笑顔が目に入った。
うれしかったが、脇腹がどんどん痛くなり、頭がボーッとしはじめた。
視界もぼやけてきた。

何かわかんないけど、助三郎さま、わたしに話してる。
聞き取れなかった。
しかし、一言だけ、なぜかはっきりと耳に届いた。

『早苗…。』

あ、わたしの本当の名前、やっとわたしに向かって呼んでくれた。
嬉しい…。

視界が晴れた。
目の前には、助三郎がいた。

あ…わたしの大好きな、助三郎さま。

言っちゃおう。
どうせ今日言うつもりだったし。
今言おう。


「…きだ…お前が。」

「え?」

「…の、命より大変な…。」

なんで声がでないの?
しかも低いの?
なんで男みたいな話方なの?

わたし女なのに。

言えないなら、行動で…。
触れたい。
この人が生きてることを確かめたい。

あれ?
なんで?
…手が上がらない。
すぐ目の前にいるのに…。

やっぱり痛い…。
全身痛い…。



目に見えておかしくなってきた早苗の様子に助三郎が気づいた。

「…ご隠居、様子が変です!」

「どうした?…これはいかん!!弥七、医者を!」

「え?あ!格さん、大丈夫か!?」


なんで?わたし早苗よ。
さっきみたいに、早苗って呼んで。

「…助三郎、さま。」

「え?」

なんで驚いた眼で見るの?
笑顔見せて。
ねぇ…

うっ…
くらくらする…。
立ってられない…。
もう、ダメ…。

「しっかりしろ!格之…」






意識が途切れた。


作品名:雪割草 作家名:喜世