雪割草
「早苗、強いの。あっぱれじゃ。」
「あれ?もう、終わったか。」
力入れてないでしょ!?
と助三郎に言おうと、彼の様子をうかがうと、自分のこぶしに息を当てて、さすっていた。
「どうした?」
「痛って…。骨が折れるかと思った…。」
「わぁ、助さん手が真っ赤ですよ!」
ドンという音は助三郎の手が盛大に台に当たった時の音だった。
本当に赤くなっていた。
「助さん弱いわね。まさか手加減したの?」
「してない!全力で行ったのに、負けた。」
「へ?あれで全力だったのか?」
全く手ごたえを感じなかった。
「お前は?」
「わき腹がちょっと痛かったから、全開じゃないな。」
そういったとたん、助三郎は情けない表情になった。
「…ダメだな俺。努力が足りない。柔術やらんとダメだな。」
「そうじゃ、やっとわかったか?お前さんいくら得意と言っても剣術ばかりじゃいかんぞ。早苗も、もう少し剣術の腕をあげなさい。良いな?」
勝負を見ていた光圀からそれぞれに助言が与えられた。
「わかりました。稽古ちゃんとします。格さん、治ったら相手してくれないか?」
「じゃあ、俺も、剣術頼む。」
「早く傷を治してくれよ。」
「あぁ。頑張る。」
笑顔で答えた。