雪割草
そんなこんなで数日後、ひとつ情報が入ってきた。
それは城の中の小夜から、家老である父の岸田にもたらされた。
小夜の密書によると、危ない事件が急激に増えた。
対処に手間がかかるので味方が一人でいいから欲しい。というものだった。
岸田はわざわざ光圀の元にたちより、相談した。
「誰か適任はおりませんでしょうか?配下の者の娘をつけても敵に内通している可能性がございます。」
敵が誰かわからない。それが一番厄介だった。
しかし光圀はすぐに適任者を思いついた。
「そうですな。…由紀はおらんか?」
「はい。ここに。」
すぐに由紀がやってきた。
「聞いておったか?」
「はい。」
「御家老、この娘はさる大名の屋敷で女中をしておりました。この者に任せてもよろしいですかな?」
「それは心強い。ありがとうございます。さっそく、娘に連絡いたします。」
由紀の本領発揮の時が来た。