俺だったらさ。
「ねぇ、菊は俺と付き合う気はないの?」
彼の微笑みは薄暗い部屋には全く似合わない可愛らしいもので、そして非常に残酷だった
「あ、の、フェリシアーノ君?」
「菊は俺の事好き?」
「ええ、もちろん」
「でも菊の『好き』と俺の『好き』は同じかなぁ?」
「・・・そうじゃないんですか」
天使みたいな顔で放つ言葉の一つひとつが鋭い刃となって私の肉を裂く
これだからこの子は性質が悪い。彼のお兄さんの方がよっぽど純粋だ。
・・・いや、ロヴィーノ君もそれはそれで残酷な子だ
「ねぇ、菊。俺ならもっと君を幸せにしてあげられるんだよ?」
「言っていることがよく分からないんですが」
「嘘つき。空気読めるんでしょ?」
そっちこそ普段は空気なんて読まないくせに
「君が誰の事が好きかなんて知ってるよ。俺
「・・・ごめんなさいフェリシアーノ君。私は、わたしは」
それでも私は心の底から――――はアモーレに敏感だからね」
「ええ、そうでしょうね」
「だから分かるんだ。アイツは菊を幸せになんてできないよ。他の奴らだって、」
「それは、」
「菊は知ってるでしょ?俺、ずっと菊が好きだったんだ。初めて見たときからずっと、ずーっと」
「・・・」
「だから俺はずっと菊の味方してた。俺達は一回も戦ってないんだよ。一回も俺の国民と菊の国民は刃を交えてないんだよ。ずっと仲良くしてたでしょ?」
「フェリシアーノ、く、ん」
「ルートとかフランシス兄ちゃんとかイヴァンとかが無理やりな事言った時も俺だけが菊の味方だった」
あいつらなんかじゃなく、俺が。
「俺なら菊をずっと幸せにできる。ずっと一緒にいられる。ねぇ菊・・・」
「ッッ―――」
「菊のこと玩具にしか思ってないアイツより、兄とか言って大きい顔してるアイツより、可愛いかわいいって言ってるくせに全然手を出さないアイツより、欲しいって我儘言アイツより、何より―――」
「菊の事好きで好きでたまらないくせに菊のこと傷つけたアイツなんかよりも、俺を選んでよ」
明るい茶色の瞳が私を切なそうに見つめる
その裏にある薄黒い憎悪をかくして涙がうっすらと浮かんでいる
私は彼を更に泣かせなければいけない
ごめんなさい、でも
「・・・ごめんなさいフェリシアーノ君。私は、わたしは」
それでも私は心の底から――――
「やっぱり無理だよね。菊ってけっこー頑固でしつこいし」
彼は場違いなくらい明るく笑った
「あーあ、もっと早くに手に入れておけばよかったのかな・・・ねぇ、そしたら菊は俺の物になった?」
「・・・どうでしょうか」
「俺はあきらめないよ。アイツがまた菊を傷つけたら今度こそ攫ってく。まだヘタレって思われてる内に」
「もうみなさん気づいているんじゃないでしょうか?」
「大丈夫だよ。俺、ヴェネチアのお祭りの時みたいに仮面かぶってるから」
仮面、たしかに正しい表現だろう
ヘタレで明るくて女好きで楽天家で、
それでいて冷酷で執念深くて酷くしつこい。
薄ら笑いを浮かべて彼は私をギュッとハグすると額に軽く口づけて部屋を出た
ヘナヘナとその場に座り込む
私は正しかったのか?いや、誰もそんなこと言えないだろう
私と彼の関係を善悪なんて言う単純な表現で表すことなんて
彼の微笑みは薄暗い部屋には全く似合わない可愛らしいもので、そして非常に残酷だった
「あ、の、フェリシアーノ君?」
「菊は俺の事好き?」
「ええ、もちろん」
「でも菊の『好き』と俺の『好き』は同じかなぁ?」
「・・・そうじゃないんですか」
天使みたいな顔で放つ言葉の一つひとつが鋭い刃となって私の肉を裂く
これだからこの子は性質が悪い。彼のお兄さんの方がよっぽど純粋だ。
・・・いや、ロヴィーノ君もそれはそれで残酷な子だ
「ねぇ、菊。俺ならもっと君を幸せにしてあげられるんだよ?」
「言っていることがよく分からないんですが」
「嘘つき。空気読めるんでしょ?」
そっちこそ普段は空気なんて読まないくせに
「君が誰の事が好きかなんて知ってるよ。俺
「・・・ごめんなさいフェリシアーノ君。私は、わたしは」
それでも私は心の底から――――はアモーレに敏感だからね」
「ええ、そうでしょうね」
「だから分かるんだ。アイツは菊を幸せになんてできないよ。他の奴らだって、」
「それは、」
「菊は知ってるでしょ?俺、ずっと菊が好きだったんだ。初めて見たときからずっと、ずーっと」
「・・・」
「だから俺はずっと菊の味方してた。俺達は一回も戦ってないんだよ。一回も俺の国民と菊の国民は刃を交えてないんだよ。ずっと仲良くしてたでしょ?」
「フェリシアーノ、く、ん」
「ルートとかフランシス兄ちゃんとかイヴァンとかが無理やりな事言った時も俺だけが菊の味方だった」
あいつらなんかじゃなく、俺が。
「俺なら菊をずっと幸せにできる。ずっと一緒にいられる。ねぇ菊・・・」
「ッッ―――」
「菊のこと玩具にしか思ってないアイツより、兄とか言って大きい顔してるアイツより、可愛いかわいいって言ってるくせに全然手を出さないアイツより、欲しいって我儘言アイツより、何より―――」
「菊の事好きで好きでたまらないくせに菊のこと傷つけたアイツなんかよりも、俺を選んでよ」
明るい茶色の瞳が私を切なそうに見つめる
その裏にある薄黒い憎悪をかくして涙がうっすらと浮かんでいる
私は彼を更に泣かせなければいけない
ごめんなさい、でも
「・・・ごめんなさいフェリシアーノ君。私は、わたしは」
それでも私は心の底から――――
「やっぱり無理だよね。菊ってけっこー頑固でしつこいし」
彼は場違いなくらい明るく笑った
「あーあ、もっと早くに手に入れておけばよかったのかな・・・ねぇ、そしたら菊は俺の物になった?」
「・・・どうでしょうか」
「俺はあきらめないよ。アイツがまた菊を傷つけたら今度こそ攫ってく。まだヘタレって思われてる内に」
「もうみなさん気づいているんじゃないでしょうか?」
「大丈夫だよ。俺、ヴェネチアのお祭りの時みたいに仮面かぶってるから」
仮面、たしかに正しい表現だろう
ヘタレで明るくて女好きで楽天家で、
それでいて冷酷で執念深くて酷くしつこい。
薄ら笑いを浮かべて彼は私をギュッとハグすると額に軽く口づけて部屋を出た
ヘナヘナとその場に座り込む
私は正しかったのか?いや、誰もそんなこと言えないだろう
私と彼の関係を善悪なんて言う単純な表現で表すことなんて