俺だったらさ。
菊と分かれて部屋から出たとたんに浮かれ顔で歩いてくるアーサーと出会った
あーあ、嫌なヤツに会っちゃった。
でもいつもどおりの明るい声音で話しかける
「あれ?アーサー来てたの?遅かったね。菊が待ってるよ」
「なんでお前がそんな事知ってんだ?」
「だってさっきまで菊と一緒にいたからね」
「なっ・・・!!」
どんどんイライラしてきたから声が冷たくなっていく
誤解すればいい。菊のこと傷つけちゃえばいい。そしたら俺が攫ってく口実ができるから。
「可愛かったなぁ、やっぱ菊って女の子みたい」
「お前ッ!」
「嫌だなぁ。男の嫉妬は見苦しいって知ってる?紳士が聞いてあきれるよね?」
甲高い声で嗤えば翠の瞳に怒りを浮かばせてこちらを殺意いっぱいに睨みつけてくる
「気を付けた方がいいよ。狙ってるのは俺だけじゃないから」
「知っている」
「アーサーは何を捨ててまで菊を守り切れるの?」
「ああ、勿論だ。ヘタレパスタに心配されるまでもなく」
「少しでも菊が幸せじゃなさそうだったら覚悟しててね?誰にも文句は言わせないよ」
「そっちこそあんま菊の情にうったえんなよ。アイツが優しすぎる事しってんだろ?」
へぇ、意外と気づいてんじゃん。見せかけ紳士のくせして
「全てを捨てても、俺は二度とアイツにあんな顔させねぇ。お前の出る幕なんてねぇから帰りやがれ」
「・・・その言葉、絶対に忘れないよ?」
「永遠に覚えてやがれ」
だからこいつは嫌いなんだ。カッコつけて見栄はって、中はただの海賊のくせして
コイツは菊にふさわしくない。こんなヤツなんて、
「じゃあ、せいぜい海賊のボロがでないようにしとこうね。俺からの忠告だよ」
軽く一瞥して立ち去る
菊の目が覚めるのはいつだろう。それまで俺は菊の隣に居てあげないと。
ああ、早くその瞬間が来ればいいのに