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金銀花

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「あぁ…… 泣いたし、お前と話せたし、なんかすっきりした」

「そうですか。良かった……」

 ほっとしていると、助三郎は千之助に近づいて言った。

「それにな、夢がひとつ叶った」

「何のです?」

 すると、助三郎は千之助の肩に手をまわし、笑い掛けた。

「弟と風呂に入る夢だ。……あ、いかん。お前平気なのか? 俺の裸見ても触られても」

「別に何ともないです」

 助三郎は今までしっかり見れなかった弟の姿を眺めた。
それは、どこからどう見ても男だった。

「前より結構筋肉ついたな」

「そうですか? でももっと鍛えますよ。格之進兄上が目標です!」

 助三郎は弟に向かい真剣に言った。

「……絶対あいつの前で身体の事言うなよ」

「なんでです?」

「あいつ、自分の身体嫌ってるんだ。嫌なことあったからな…… お前は根も男になったが、格之進の根は女だ。わかるだろ?」

「はい。気をつけます」

 しかし、ふざけるのが好きな助三郎。ニヤリとして言った。

「……だがな、あれぐらいになればモテモテ間違いない」

「兄上。私は香代にさえ持てれば言うことありません!」

「ハハハ。俺は早苗だ! ……いかん。逆上せてきた。もう上がろう」

 風呂に長く浸かりすぎたせいで、助三郎は危なくなってきていた。
しかし、それを千之助は止めた。

「まだ駄目です」

「なんで?」

「背中、流させてください」


 助三郎は、それからも弟と楽しい風呂の時間を過ごした。
 そして部屋に戻ると、酒盛りになった。
弟と初めて飲む酒。こんなに美味かったかと思うくらい楽しくうれしい酒の席だった。
 程よく酒がまわったころ、助三郎は弟の名を呼んだ。

「千之助!」

 呼ばれた千之助は感無量だった。

「はい! やっと呼んでくれた。やっとだ……」

「お前は俺の弟だ!」

「はい!」

「人前では『兄上』はダメかも知れんが、俺はお前の兄貴だ。いいな?」

「はい。兄上!」

「お前とこうして飲めるのも、早苗のおかげだ! そこで、あれに贈り物をしたいと思う!」

「何をですか?」

「早苗にも馬を一頭! どうだ?」

「良いですね! 義姉上喜びますよ」

「驚かせよう! 明日格さんを馬屋に引っ張ってくぞ!」

「はい!」

 千之助は酒に弱い体質まで父や兄に似ていたらしい。
二人で飲んで騒いだあと、仲良く布団も敷かずに寝てしまった。

作品名:金銀花 作家名:喜世