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Fate/Zero ~MAKAISENKI~

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バーサーカーを討ち取ると宣言したが、これはかなり手古摺りそうだ。
ランサーがそう思っていると…

『ランサー!!後ろだ!!』

「なっ!!」

ケイネスがランサーに叫ぶ。




ランサーが後ろを向くと、先程弾き飛ばしたはずの虚構剣が飛来してきた。
すぐさまそれを弾き飛ばす。
高いところにいたケイネスだから気づけた事態だ。
気づけなければ傷を負っていた。

「くっ!!」

「やはり、気づいたか」

弾き飛ばされた虚構剣はそのままシンギへと飛来し、その手の中に納まった。
これは名のある魔戒騎士なら誰もが使える術である。
武器が手を離れても遠隔操作で自由自在に動かすことができるのだ。

「何ともまた面妖な術を…」

「これぐらいで驚いていては俺が戦ってきた者達に会えば太刀打ちできんぞ?」

「成る程、相当な強者と戦ってきたと見る。それ程の相手と手合わせできるとは…」

これでランサーが警戒すべき事がまた増えてしまった。
弓と宣言したからには遠距離攻撃もできるということ、迂闊に距離を離しすぎると危険。
持ち主の手を離れてもなお、動きを見せる武器、油断すると背後から一刺しという事態にもなる。
剣と弓の複合した奇特な戦い方。
そして破魔の赤薔薇(ゲイ・ジャルグ)が通らぬ鎧。
どれをとっても厄介な相手だ。
――おもしろい
知らずの内にランサーに笑みが浮かんでいた。
確かに相手は強者だ、だが、それをすべて打ち破れればと思うと武者震いがしてくる。

「如何に面妖な術を使ってきても、すべてこの俺が打ち払ってみせる。いくぞ!シンギ!」

「意気込むのはいいがまだ俺は……ぐっ!?」

突如、シンギがうめき声を上げた。
ランサーはそれを怪訝そうに見ている。


殺せ喰らえ潰せ斬れ壊せ…
自分の中から黒い感情が湧き上がってくる。
これは心を闇に堕とさぬまま暗黒騎士になってしまった弊害。
これまでも稀に起こってきたことなのだ。
召喚されてからの5日の間にも1度だけこの症状が出た。
その時は持ち前の強靭な精神で耐え切ったが、今は違う。
戦いの最中にこれが起こったとき、自分では抑えきれないのだ。

「雄々々々々々々々々々々々々!!」

雄叫びを上げランサーに切りかかる。
これまでの技を主とした戦い方ではなく、完全に力任せの戦い方。
この衝動が起きる時は決まってこのような荒々しい戦い方になる。
理性は保てるのだが、体がうまく言うことを利かないのだ。
ホラーとの戦いの時もこのような戦い方になり、何度か死に掛けたことがある。

「ぐっ!?」

ランサーのほうもいきなり戦い方がガラリと変わったことに戸惑いを隠しきれない。
だが、今までよりも隙が大きすぎる分戦いやすくはあるのだが…

「くっ!いったい如何したというのだ!?」

ランサーの問いにも答えぬまま剣と弓を振り回す。
一一マズイ、このままでは
シンギはそう思わずに入られなかった。
このままで戦えば自分が負ける。
かと言って生き残るために烈火炎装を使えばセイバーやライダーのマスターが危うい。
それほどまでに烈火炎装は強力なのだ。
自分がこの衝動を抑えきれれば万時解決なのだが、現実はそうもいかない。
シンギはこの衝動が自然に収まるまで戦い続けなければならなかった。

一一一一一
一一一
一一


「うむぅ、このままではまずいな」

今まで完全に蚊帳の外にいたライダーが呟いた。

「何がまずいんだよ」

「いやぁな、このままではバーサーカーが倒されてしまうと思ってなぁ」

またしてもライダーの突拍子の無い発言に対しウェイバーは頭が痛くなってきていた。

「何言ってんだよ!これは聖杯戦争だぞ!バーサーカーが倒されたほうがいいに決まっているじゃないか!」
 
「何を言うか、余はまだバーサーカーに問いかけをしておらんのだぞ。それにあれほどの強さだぞ?死なすには実に惜しいではないか。今は少し様子がおかしいようだが…」

戦場をみるとまったく見当違いな方向へ剣を振るっているシンギ。
さすがに様子がおかしいことに気づいたのかセイバーが(シンギを止める)手助けを申し出ている。
ランサーもこの状況は思わしくないのかそれを受諾している。
すると、ライダーが名案を思いついたかのように手の平をこぶしで叩いた。

「よし、坊主突っ込むぞ」

「うぇぇぇぇええええええ!!」

「いくぞ!AAAAALaLaLaLaei!!!」

「ライダアアアァァァァァァ!!」

ウェイバーが涙を流しながら悲痛な叫びを上げる。
ライダーは気にも留めず戦車(チャリオット)でセイバー、ランサー、シンギが死闘を演じる舞台へと乗り上げた。

「「「!?」」」

即座に全員が飛び上がり戦車(チャリオット)を回避する。
暴走はしていてもこの程度はシンギにも出来るようだ。
だが、巻き込まれそうになったセイバーとランサーが手助けするなら一声掛けろと言わんばかりに睨んでいる。

「いきなり何をする!!ライダー!!」

「おお、一声ぐらい掛けるべきだったか。スマン、スマン」

がははと笑うライダーはセイバーの怒りなどどこ吹く風。
それよりも、己の興味の対象であるシンギに顔を向ける。

「…何のつもりだ。ライダー」

「なぁに、お主に問うのを忘れておってな。」

「問いだと?」

シンギはライダーの破天荒な行動を見ていないので、意味がわからず兜の中で怪訝な顔をしている。
疑問を向けるシンギにライダーは笑みを浮かびながら答えた。

「お主、一つ我が軍門にくだり聖杯を余に譲る気はないか?余は世界の征服を目指しておる。その為にはお主の様な強者が欲しいのだ。お主の剣技、まことに見事であった。」

世界征服だと!?
これは流石のシンギも驚きを隠せなかった。
世界征服など物語の中の頭のネジが外れている者しか考えないものと思っていたからだ。

「フッ、おもしろい。世界征服などを考えるものがいたとはな。だが、断らせてもらう。俺は誰にも付き従うつもりはないし、世界征服などには興味がない」

シンギには忠誠心などというものは存在しないし、人を殺すことになるだろう世界征服になど手を貸すつもりは毛頭無いのだ。
ふと気づくと、あの衝動は止まっていた。
ライダーの攻撃に驚いた拍子に衝動から気を離したことで止まったようだ。

(結果的には、この男に助けられたということか…)

「ふむぅ、それは残念だ。ああ、もったいない」

心の底から残念がるライダーを見てシンギは何とも言えない気持ちになった。

「だが、礼は言わせてもらう。お前のおかげで暴走が止まり、助かった」

「おお、急におかしくなっていたな。そういえば…あれは何なのだ?」

「時折起こる病気のようなものだ。しばらくは起こらんから気にするな」

その言葉に満足したライダーは大声を上げランサーとセイバーに呼びかける。
作品名:Fate/Zero ~MAKAISENKI~ 作家名:魔戒