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Fate/Zero ~MAKAISENKI~

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「改めて誓われるまでも無い!当然であろう?貴様は私に聖杯をもたらすと契約したのだ!それを高々セイバーとバーサーカー二人に必勝を誓うだと?いったい何を履き違えている!」

ケイネスはエリートだ。
エリート故にプライドも高く、失敗などしてこなかった。
だが、今夜は違った。自分の思惑通りに行かなく、あまつさえシンギに場の主権を握られ、ランサーを動かされる羽目になった。
それが、ケイネスには許せなかった。そして、この怒りをランサーにぶつける事で晴らしているのだ。
様は八つ当たりである。

「履き違えているのはあなたではなくて?ロード・エルメロイ」

「ソラウ・・・」

そのケイネスを戒めたのは彼の婚約者ソラウ・ヌァザレ・ソフィアリだ。
ケイネスはこの地に彼女も一緒に連れてきていたのだ。

「ランサーはよくやったわ。間違いはあなたの状況判断じゃなくて?」

「セイバーは取り分け強力なサーヴァントだ。あの場で着実に倒せる好機を逃すわけにはいかなかった」

「治癒不可能な手傷を負わせたんだもの。捨て置いた所でいつでも倒せたでしょう?そこまでセイバーを危険視していたのなら、どうしてあなたセイバーのマスターを放って置いたの?ただ、隠れているだけで情けないったらありゃしない」

ソラウの言うとおり左手が動かないセイバーなどいつでも倒せたはずなのだ。
むしろ、あの戦局を見ればシンギの方がよっぽど強力なサーヴァントだ。
面妖な術を用いてランサーを苦戦させていたのだ。
令呪をセイバー妥当に使うぐらいなら、よっぽどシンギをセイバーと倒したほうが効率がいい。
しかし、プライドの高いケイネスがここまで言われて黙っているのは彼自身ソラウに惚れているからだ。
この婚約こそ魔術師の家同士の政略結婚ではあるものの、ケイネスはソラウに一目惚れをしたのだ。
だからこそ彼はソラウには頭が上がらないのだ。

「ケイネス・・・あなたが他のマスターに対してどういうアドバンテージを持っているのか理解してないわけではないでしょ?本来の契約システムに独自のアレンジを加えたサーヴァントとマスターの変則契約。あなたが令呪を宿し私がもう一人のマスターとして魔力の供給をするさすが降霊科随一の神童と謳われたことだけは在るわ。」

そう、それがケイネスが天才と言われる所以だ。
彼は魔術の才能に溢れ、どんなことも容易く成し遂げた。
だが、それで戦いにそれが反映されるかと言うとNOといわざるを得ないだろう。
戦いは才能だけでは成り立たない。
努力、情報、洞察力その他もろもろの物を兼ね備えた者が勝利へと近づくのだ。
いくら魔術の才能があろうとも他が伴っていなければどうしようもない。

「だが、序盤の内は慎重に」

「あら、そう。なのにランサーだけに結果を急がせるわけ?」

「そこまでにしていただきたい」

なおもケイネスを攻め続けるソラウの言葉を遮ったのは今まで黙っていたランサーだ。
彼は生前、自分の仕えていた主を裏切ってしまった。
だから、今回の戦争において主と決めた者は最後まで守り忠義をはたすと誓ったのだ。
それこそ、ランサーが今回聖杯戦争の召喚に応じた目的でもあり、願いでもあるのだ。

「それより先は我が主への侮辱だ。騎士として見過ごせん」

「いえ!そんなつもりじゃ…ごめんなさい、言い過ぎたわ」

ソラウは急に態度を一変し、ケイネスに詫びを入れた。
ソラウのランサーを見る目はどこか熱っぽく、顔も少し赤くなっている。
それもそのはず彼女はランサーに惚れているのだ。
ランサーの魅惑の魔貌にソラウは虜になっているのだ。
当然、ケイネスにはそれが面白くない。
魔貌の元凶たるランサーの右目の下の黒子を睨み付けている。
すると…

「何!?何事!?」

突如として、火災警報器の音が鳴り響いた。
非常時にしかならないその音はソラウを同様させるには十分だった。
そして、部屋に備え付けてある電話も同時になり始めた。
ケイネスはそれをとる。相手はフロントだ。

「ああ、分かった…下の階で火事だ。まぁ、間違いなく放火だろうな」

「放火?よりによって今夜…」

「人払いの計らいだよ」

「じゃあ、襲撃…!!」

「セイバーのマスターは早急に槍の呪いを解消したいところだろうからな」

そう、セイバーにはランサーから受けた傷がある。
それは必滅の黄薔薇(ゲイ・ボウ)によって受けた傷で治癒が不可能だ。
それを解消するにはランサーを倒すか、必滅の黄薔薇(ゲイ・ボウ)を折るしかない。

「ランサー!下の階に下りて迎え撃て!無碍に追い払ったりはするなよ?」

「承知しました!」

「御客人にはケイネス・エルメロイの魔術工房を徳利堪能して貰おうではないか。フロア一つ貸しきっての完璧な工房だ」

魔術工房は魔術師が自らの技術を秘蔵する為に幾重にも技が仕掛けられている。
無理に突破しようとしても並の魔術師なら、すぐにその罠にかかるだろう。
故に魔術師は他の魔術師の工房に攻め入るという事はしない。

「結界二十四層、魔力炉三機、猟犬代わりの悪霊、亡霊数十体、無数のトラップに、廊下の一部は異界化させている空間もある。フハハハハハ!!お互い秘術を尽くしての競い合いが出来ると言うものだ。私が情けないと言う指摘、すぐにでも撤回してもらうよ」

「ええ、期待してるわよ」

自慢げにケイネスは魔術工房の仕組みを語る。
確かにこれは普通の魔術師は一溜まりも無いだろう。
ケイネスは魔術師同士の戦いで相手を打ち負かす。そうする事によって自分の評価を上げようとしているのだ。
語り終えたケイネスはソラウの言葉に満足そうにワインを口へ運ぶ。
このケイネス・エルメロイに楯突いた愚か者は今夜、命を落とす。そう思って
ただし、それは…

相手が普通の魔術師であった場合のみだ。

「ん!なぁ!!」

「何!?」

突如として爆音が響き渡った。
そう、ケイネスのいる部屋の階下、そして階上のフロアが爆発されたのだ。
これでは、魔術工房も意味を成さない。
ケイネス達は浮遊感に襲われ落下していく。
このままでは命が危ないと思ったケイネスは自分とソラウを守るため魔術を行使した。

―――――――
――――
――

「ふぅ」

倒壊していくホテルを見て、一息吐く男の姿が合った。
男の名は衛宮切継。「魔術師殺し」と名高いこの男は、魔術師としては異常で近代兵器や機械を好んで使う。
そして、セイバーの本当のマスターでもある。
このホテルを爆発したのも彼である。
切継は勝つためには手段を選ばない。
自らを機械とし、どんな方法を用いても相手を必ず殺す。
それこそ、周りの犠牲も厭わない。シンギが出会えば真っ先に嫌うタイプの男である。

「舞弥」

『最後まで標的に動きはありませんでした。ホテルの外には脱出していません』

「150m.からの自由落下…どんな魔術結界で防備を固めていようとも、助かるすべは無い」

切継は自分の相棒である久宇舞弥に電話を掛け、対象の生死を確認した。
切継は助かるはずは無いは言ったもののケイネスとてこれで死んでいないとも限らない、相手は魔術師だ。
だが、拠点を潰したというのは大きい。
作品名:Fate/Zero ~MAKAISENKI~ 作家名:魔戒