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ヒバードの並盛めぐり~ひとりぼっちの運命~

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「大丈夫かな?」
あ…ツナ君だ。…大丈夫?って…僕は……

そうだ…思い出した!僕…猫に襲われて…そのまま引っかかれて気絶しちゃったんだ…。
僕は自分の胴体に包帯が巻きついているのに気が付いた。

「もう飛んでも大丈夫だ。羽を引っかかれないで、運が良かったな。」
ツナ君とリボーンさんが手当てしてくれたんだね。
本当にありがとう。

「はぁ…良かった。じゃあそろそろ帰るか。」
そうだ!獄寺君と山本君が待ってるよ!僕のせいで遅れちゃったかな…

「ああ。帰ったらまた修行だぞ。」
「えぇ!?」

「お前、みんなを守るんじゃなかったのか?」

「う…うん…そのためなら何にだって耐えるよ…。
…俺はみんなに傷ついてほしくない。
守護者のみんなも、俺の仲間とか…とにかく誰だって。」

「…容赦しねぇぞ。」

「う…。や…やるさ!俺はみんなを守るための強さが欲しいんだから。」

「良い答えだ。帰るぞ。」
守護者の…みんな…。
じゃあ雲雀さんも入ってるんだよね。
ツナ君は雲雀さんのこと、すごく大切な仲間だと思ってるんだ。

「うん。その前に雲雀さんの鳥を逃がしてあげなきゃな。」
ツナ君は優しく僕を手のひらに乗せて、窓まで運んでくれた。

「パタパタ…」

ちょっと体は痛かったけど、ちゃんと飛ぶことができた。
ありがとう!ツナ君。リボーンさん。
さようなら!
ツナ君は僕に向かってニッコリ微笑んで送ってくれた。

そろそろ雲雀さんの所へ戻ろうかな。


「パタパタパタ…」

僕はゆっくり上昇した。
そして、やっとの思いで屋上に着いた。

「!」

あ!雲雀さんだ。さっき起きたのかな。

「やぁ。」
「パタパタ…」
僕は雲雀さんの手に乗っけてもらった。

「?怪我…したの?」
「ケガ!ケガ!」
「ふうん。…包帯…してあるね。誰かにしてもらったんだ。」
雲雀さんは笑った。
いつもと同じ、優しい笑顔だなぁと思った。
僕はとても幸せな気分になったよ。







すると急に屋上の扉が開いた。

「あ……ひばり…さん…?」
あれは…ツナ君だ!
ツナ君はキョトンとしている。

「雲雀さん…ですよね?」
「…僕以外に誰がいるっていうの?」
雲雀さんの表情はいつものものに変わった。

「!あ、いや、その…なんか…表情が…いつもと違って…」
ツナ君はさっきまでボーっとしていたのが、急にそわそわし始めた。

「…?それより…何しに来たの。」

「え!あ、あぁ…俺…財布落としちゃったみたいで…。
あの…今日屋上でごはん食べたの思い出して…それで屋上に来たんです。
…あ、いやっあの…邪魔なら帰りますから!」

「別に…群れてないみたいだから良いけど。それより…探し物はこれかい?」
雲雀さんは足元にあった青い財布を拾った。
どうやら雲雀さんは僕が来る前に拾っていたみたいだ。

「あ!すっすいません!それです!
あの…ありがとうございます…。」
雲雀さんはツナ君に財布を渡した。


「あ…」
!…その時、僕とツナ君の目が合った。

「あの……その鳥…そんなに深い傷じゃないから…3日もすれば治るそうなので。」
「…この包帯…君がやったの?」

「は…はい。俺とリボーンが…。
あっ…あの!ケガ…してたから…なんですけど。」
ツナ君はたじろいでいる。

「ふうん。…そう。貸しを作っちゃったね。」
すると雲雀さんはまた急に優しく笑った。

ツナ君はちょっとびっくりしているみたいだ。
…実をいうと僕もちょっと驚いたんだ。だって雲雀さんはあんまり人に笑顔を見せないから。

「あ…別に貸しとかは…いいので!
…じゃあ失礼します!」







ツナ君は勢いよく扉をしめて、出て行ってしまった。

雲雀さんは屋上のフェンスにもたれかかって、外を眺めている。

「…あの男…やはり面白い…。飽きないね。」
雲雀さんは不敵に笑う。

「ウレシイ!ウレシイ!」

僕は雲雀さんに教えてあげたんだ。
雲雀さんは今嬉しいんだよって。
雲雀さんは自分の感情に気づくのが下手なんだ。それが最近分かってきた。

「嬉しい…?何が…」
だって雲雀さんはツナ君と話した時笑ったじゃないか。


「…」
雲雀さんはグランドをまた眺めた。
僕も一緒に眺めた。
…そこにはツナ君と獄寺君と山本君が3人で楽しそうに歩いていたんだ。



「群れてる…」
雲雀さんは少し眉をひそめた。
「…僕は群れたりしないよ。だからいつだって1人で生きていく。…僕は誰よりも強いからね。」
雲雀さんは…やっぱり自分の事に気づくのが下手なんだ。

僕は雲雀さんにたくさん友だちがいて、すごくうらやましかったんだよ。
だから…間違ってる。
…ただ、『1人』っていう所だけだけど。










−ひとりぼっちの運命






運命なんて、もうとっくに変わっているのに。







…群れないけど、

1人ではないんだ。









end.