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Muv-Luv Alternative~二人の傭兵~

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「シルビア。そろそろ引くぞ。この数を相手にしていたら弾丸が底を尽きる」

「確かにそうですね。それではどうしますか?」

 こいつらの相手をしていても収穫と呼べるものは何もなさそうだ。只此方の弾丸が減ってゆくだけで。

 となれば先程確認した煙がやはり気になるな。あれはどう見ても砲撃によるものとしか思えない。だとすればこの近くに俺達と同じような兵器を使っている人間はいると思うのだが…。

「あのレーザーを放つ奴らは全て撃破したな?」

「しました」

「なら空中から先程の砲撃を行なった奴を探そう」

「了解」

−−−−−

「いました」

 シルビアが此方に送ってきたモニターに映し出されたのはACと似た形を持った人型機械。その数12機。皆が同じ武装で相手の進撃を止めようとするかのように砲撃を行なっているが、武装が弱いのだろうか、その攻撃は相手の甲羅を突き破れていない。

 その内一機の射撃が止まり、その射撃が止まった場所を進行していた敵の速度が上がり、その部分だけ突発して敵がその進行を早めた。

 その部分に対応するかのように一機に機体が前に躍り出る。背中に装備していた刀のようなもので相手を側面から斬り付け、そのまま流れるように突発した相手の存在を殺してゆく。

 見ている限りでは機体の性能はACと比べるととてつもなく低い。

 が、その性能を埋めるかのように刀を持った機械は綺麗な動きで敵の攻撃を回避している。

「大したものだ」

「…援護にいかないのですか?」

「勿論いくさ」

 シルビアの質問に短く答え、そのまま応戦し続けている部隊の背後に機体を降ろし、近付いてゆく。

 そこで外部通信を使い、コンタクトを試みようと思った瞬間に目の前のモニターが白い光りで覆い尽くされた。

 瞬時の判断により難なく俺達二人は避ける事に成功するが、先程まで広い部分をカバーしていた機械の一体が足を破損。その隙をついた敵が瞬時にその機体に群がろうと進軍を進めた。

 その機体を救いにいくかのように先程刀で奮闘していた機体がブースターを吹かし、急ぐが、遠目から見ている限りおそらくは間に合わないだろう。

 実際刀を持っていた機体が追いつくよりも早く、気色の悪い生物が地に倒れた機体の元にたどり着き、その歪んだ腕を高く振り上げた。

「シルビア」

「分かってます」

 ほぼホワイトグリントど同時に腕を振り上げ、051ANNRのトリガーを引いた。シルビアが放った弾丸は相手の振り上げた腕を粉々に吹き飛ばし、俺が放った弾丸は相手の胴のような場所を吹き飛ばした。

「此方ヴァルキリー中隊隊長、宗像美冴だ。あなたがたの援護に感謝する」

「御託はいい。まずは目の前の生物を片付ける」

「は?」
 
 外部スピーカー越しに情けない声が聞こえるが、その声を無視しシルビアとの通信を繋げる。

「今はこの部隊を護衛する。いいな?」

「元よりそのつもりです」

 シルビアの方から通信を切ったかと思えば早くも一人で相手のど真ん中の方に突撃していった。その姿を目で負いつつも先程情けない声をあげた奴の方に向け通信を入れ直す。

「今からお前らを護衛する。どうすればいい」

「此方の弾丸は既に底をつきている。今は残弾を用いて後退しているのだが光線級の存在のおかげで後退出来ない状態だ」

 光線級。あのデカイ目の小さな奴らだろう。小さな奴らだけでなく大きめの奴もいたが。

 つまりはあいつらのレーザーがあるおかげで後退出来ないと言う事か。ならばその光線級とやらを撃破すればいいだけの話か…とは言え俺がやらなくともシルビアが勝手に光線級を撃破してくれるだろう。あの程度の照射ならば一人でも問題はない筈。

 そうなれば…。

「光線級の撃破は先程先行した奴に任せる。その間にお前らは後ろに下がれ」

「馬鹿な!単機で光線級の殲滅など出来る訳がない!」

 そう言われてもACにとってあの程度の照準射撃を避ける事は難しくないのだがな。瞬間的に爆発的な加速を得るQBがあってこその話なのだが。よけれるものには変わりないだろう。

「…お前らの役目は?」

 今此処で光線級が単機で殲滅出来るかなどを話し合っている余裕はない。と言ってもそれは目の前の部隊に言える事だが。

「知らないのか?私達の部隊は陽動の役目だ」

 陽動…つまり、この部隊とは別に動いている本部隊がどこかに存在しているのだろう。となればここはどう動くべきだろうか。

 今間違いなく俺達二人は怪しまれているだろう。とは言えこいつらにとっても援軍は少しでも欲しい筈。それにこいつらと行動すれば上の人間に会えるかもしれない。

「…お前らの上官と話は出来るか?」

「何をいきな「私が上官の香月 夕呼よ」司令!」

 司令、か。これは助かるな。

「司令。俺らがあんたらを援護するにあたって条件があるんだが」

「誰も援護して欲しいなんて言ってないんだけど?」

「…あんたも分かっているだろ?このままではこの部隊が全滅する事は目に見えている。そして俺達が援護に入ればどれ程の戦力増加に繋がるかも、今前線で暴れているあの白い奴を見れば一目瞭然の筈だ」

「…」

「あんたも無闇に自分の部下が死ぬのは嫌だろう?それに此方も少し訳ありでな。条件には最低限の衣食住、そして俺達に関する情報をどうにかしてもらいたい」

 俺達に関する情報。つまりはこの戦場に急遽現れた俺達に関する事を世間から消してもらいたいとの話。明らかに俺達の機体の存在は不自然でもあり、その性能も逸脱しすぎている。今の所接触した部隊はこの部隊だけだが、もし本部隊とやらにあっていたら相当面倒な事になっていたかもしれない。

「いいわ。その条件呑むわよ。その変わり貴方達二人には私直属の部隊に入ってもらう。じゃないと情報の操作も面倒臭いのよ」

「了解した。あんたを信じよう」

 今の俺達二人にとって縋れるものは何もない。今はこの香月と呼ばれる女を信用するしかないだろう。

 最初から感じ取っていた事だが…ここは恐らく俺達二人がいた世界とは全く異なる世界。認めたくはなかったが、そろそろ現実を直視した方がいいだろう。

 そうなれば一番早く確保しなければいけないのは自らの身の安全。その事に関しては今約束を交えたが…相手がそれを守るという保証はどこにもない。まぁ、香月と言う女がどういう行動に出るかは知らないが、俺達二人が結果を残せば悪いようにはしてこないだろう。

「これよりブラック・グリント、ヴァルキリー中隊の護衛に移る」

 ホワイト・グリントと同じ設計の元に作られたブラック・グリント。主な構造は同じだが、その外見は違う所も多々ある。主な相違点を挙げるならば、OB使用時の背面ブースターの形だろう。ホワイト・グリントが四枚の翼を開くならば、ブラック・グリントは二枚の大きな翼を開く。

 そう、ホワイト・グリントが天使と呼ばれるならばブラック・グリントは悪魔と呼ばれる存在。つまりはホワイト・グリントに対を成す機体と言う事だ。
作品名:Muv-Luv Alternative~二人の傭兵~ 作家名:灰音