あとがき集
FT epi.1~3
Fairy Tales episode.1 ウサギとカメ
張遼って本当に誰よりも優しいと思うんですよね。そんな彼が【競争しなきゃならない、それも誰よりも大切な関羽と】っていう状況になったらどうなるかなあ、と思いながら書いたお話。結果はご覧の通りでしたが。この連作を書こうと思いついたのも、実はこれがきっかけだったりします。
ちなみに張遼がちょっと的外れなことを言って、それに吹き出す関羽、っていうのもすごく好きな構図なので、書けて満足です。
Fairy Tales episode.2 牽牛と織女
コンセプトは「おせおせ夏候惇」……ではなくて「仕事しろ夏候惇」です。曹操の命令も一時忘れるなんて、すごくらしくない(笑) それだけ関羽に夢中なんですね、きっと！ 夏候惇の猪突猛進、もとい一本気なところと、上流階級らしくちょっと俺様なかんじが出したくて、関羽には突っ込みを頑張ってもらいました。
お気に入りは「答えてないじゃない！」 ……ごめんね関羽。
Fairy Tales episode.3 胡蝶の夢
童話の類をモチーフにした物語を書こうと決めたとき、もちろん張遼はすんなり決まって、夏候惇もわりとすぐ決まり、じゃあ張飛はどうしようかな、と思ったところで浮かんだのが胡蝶の夢。もうこれしかないだろう、とこれに決まりました。夏候惇のときみたいにこの逸話はいつ生まれたのかな、と思ったんですけど、漢代より前だったのでたいへん安心した思い出があります。
張飛は不憫ですね。ヤンデレ全開の彼より、それに振り回される部下よりもストレートな不憫だと思います。そんな不憫な彼に愛の手を！ とか思って書いたわけじゃないんですけど、でもそれなりに「恰好いい張飛」が書けたかな、と。ただ関羽がそれ以上にイケメンすぎてもうどうしたらいいのとはなりました。
何度も書き直しの憂き目に遭っているのも、今のところこのお話だけだったりします。「義弟」感の抜けない張飛だったり、最後まで夢か現実かわからない、夢を見ていたのは関羽の方、等色々考えたんですけど、なんだかつまらなくてボツに。
実は、今でもあのお話は「胡蝶の夢」じゃないかなと思ってます。……それじゃ張飛が可哀想すぎるかな。