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君影

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 夢を見ていることを自覚している夢、を見ていた。これは夢。それを不思議と夢の最初から認知していた関羽は、なんとなくふわふわと浮かんでいるような気分になりながら、今自分がいる場所を見回してみた。
 関羽がいるのは、どこかの部屋の中だった。まどろみを誘うような、仄かに甘い香りがする。関羽の記憶の限りでは知っている場所ではないから、ここがどこなのかさっぱりだった。しかも窓がないせいで薄暗く、部屋がどのくらいの大きさなのかもわからない。窓はなくとも空気の流れはあるのか、幾本かある蝋燭がたまにちらちらと揺れていた。
 蝋燭の明かりに照らされて、いくつかの調度類が見える。どれも緻密な装飾の施された、一目で高級品とわかるものだった。決してうるさくなりすぎない、趣味の良い造り。曹操の屋敷にもこれと似たようなものがあるから、それなりに目が肥えてきたのかもしれない。一体どんな人がここを使っているのだろう。貴人であることは間違いないだろうけれど。
「……?」
 ふと、関羽の耳に何か物音が届いた。とても小さな、衣擦れの音。当てずっぽうで目星を付けて部屋の一角に行ってみる。小さな箱が置かれていた。好奇心から中を覗いた関羽は、あっと声をあげそうになるのをぎりぎりのところで押し止めた。
 箱だと思ったそれは寝台で、中には子供が眠っていた。おそらく一、二歳といったところだろう。関羽が驚いたのは、その子供に関羽と同じ耳があったから。艶々とした黒髪と同じ色のそれ。綺麗な子だと、そう思った。ふっくらと柔らかそうな桃色の頬は、大切に育てられている証だ。
(じゃあここは、猫族に関係するお家なのかしら)
 でもこんなお金持ち、関羽の知る限りにはいない。ますます分からない、そう思ったときだった。
「……誰か、いるの?」
 突然、背後から声がした。扉の開くような音もしなかったから、元々いたのだろう。若い女の声だ。全然気がつかなかったわ、と若干焦りながら振り返り――関羽は言葉を失った。
「あなた……」
 白い紗が、ふわりと揺れる。紗をめくった手を降ろし、彼女がその全身を見せた。静かに佇むその姿は、まさしく貴人のもの。けれどその顔は――関羽と同じ、顔をしていた。



作品名:君影 作家名:璃久