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凌霄花 《第三章 身を尽くしても …》

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「そんなことありません。あの子は江戸であなたの帰りをずっと待っています。
早く身も心も元気にして、江戸に戻りなさい。わたしの夫と違って、助三郎は生きている。これからいくらでもやり直せるのだから」

「義母上さま……」

「わたしみたいになってはダメ。夫と喧嘩別れして、ずっと後悔していたわたしみたいには……」

 早苗は驚いていた。
姑が初めて自ら夫の話をしたことに。

「最後に見たのは怒った顔。最後にかけた言葉は、『貴方なんか大っ嫌い』最悪でしょう?」

 驚いて言葉を発しない早苗を見て、美佳は笑った。

「あら、ごめんなさい。夫について何も話していなかったわね。話さないとね、貴女にも、今後の為にもなると思うから……」

 彼女は髪から簪を抜き取ると、そっと握った。
そして、ゆっくりと話し始めた。