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ローゼンメイデン異伝 「水銀燈の灯り」

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 突然の残酷な宣言に、妹達は抗議した。涙を流す者もいた。

 しかし、水銀燈の感情の無い顔を見て、まず、蒼星石が立った。
「もう、どうしようもないんだね? 姉さん…いや、水銀燈」
「ええ」
「なっ! 蒼星石、なにを言ってやがるですか! こんな横暴、受け入れられんです!
 断固、抗議するですよ!」
「翠星石、お父様の決めた事なんだ。行こう」
 翠星石は蒼星石にむりやり連れて行かれる形で去った。

 赤子のように泣き叫ぶ雛苺と金糸雀に対して、水銀燈は黒い羽を飛ばし、威嚇した。
もう姉妹では無く、殺しあう敵である、と。

 時が立ち…真紅だけが残った。水銀燈がなにを言っても、無反応のまま、
子犬を抱いたままうつむいていた。黒い羽を飛ばして威嚇しても反応は無かった。

 水銀燈は真紅の前に立った。真紅は顔を上げて叫んだ。
「…いや。わたしは嫌ですわ! 姉さまと殺しあうなんて…」
 その言葉を止めるように、水銀燈の手が真紅の頬を叩いた。やさしく。

「闘いなさい、真紅! 闘って生き抜いて、お父様の望む「アリス」になりなさい!」

 そして…水銀燈は真紅の抱く子犬に手を触れて、その命を吸った。
 やがて、子犬は動かなくなった。

「私は「アリス」を目指すわぁ。今度、出会うときは…覚悟しなさぁい」

 呆然と崩れるように座り込んだ真紅を見ながら、水銀燈は飛び去った。

「そう、長い年月が…きっと…私達を憎むべき敵同士へと変えてくれるわ…」

-6

「首を切れ!」
 角谷道満の声に応じ、彼岸花の匕首の刃が水銀燈の喉に触れた。
 しかし。
 水銀燈の羽が瞬時に広がり、無数の黒い羽が宙を飛んだ。
 角谷道満と彼岸花は一瞬にして黒い羽が突き立ち並ぶ森と化した。
 瞬間、水銀燈から閃光が走ると、巨大な大鎌を手にしていた。
 水銀燈を縛る数珠は切断され、もう彼女を縛る物は無い。

「私の羽は的をはずさないわぁ。人間、私達姉妹への無礼、死して償いなさぁい」
 いつのまにか水銀燈は角谷道満の前に移動していた。
 そして、手を触れた。やさしく。
「うぐあああああ!?」
 道満は苦鳴をあげながら、急激に生気を失っていった。

「お父上!」
 彼岸花は黒い羽をはらい、走った。父の元へ。滑るような高速移動であった。
 しかし、水銀燈から十字に閃光が走ると、彼岸花の首が宙を舞った。長い黒髪を
まとわせながら。
 身の丈以上の大鎌をまさに閃光のごとき速さで振るう水銀燈の一閃。
「…ほんとに…おばかさぁん…」
 水銀燈は切断された彼岸花の体を創造者である道満の遺体の上に寝かせた。
 親娘で休めるように。

「ホーリエ!」
 水銀燈の声にさそわれるかのように、ホタルのような輝きが宙を舞った。
 ホーリエとは真紅が使役し、また、真紅を守護する人工精霊である。
「なさけない! 真紅の眠りを守る役目を放棄してなにをしていた!」
 水銀燈の怒りに、ホーリエはペコペコ謝るように飛び、真紅の鞄の鍵を開けた。
 鞄を開けると、真紅が体を丸めるようにして横になっていた。
 安らかな眠りであった。
 ローゼンメイデンは長い眠りに入ると、ネジを回されるまで起きる事は無い。

 水銀燈は真紅の体に異常が無い事を確認すると、安心したように一息ついた。
 そして、真紅の寝顔をやさしく指で触れて、微笑んだ。

 あの別れの時から幾星霜…長い時の中で、この真紅とは争いを繰り返してきた。
 そこには数々の死があり、別れがあった。
 そう、水銀燈が真紅に関わる人間の命を奪ってきたのだ。
 この可愛い妹から憎まれるために。

 微笑む水銀燈の目から涙が溢れた。
 それは闇夜を照らす、水銀燈の放つ灯りのようだった。

 これより未来、真紅は「桜田ジュン」という少年と出会い、水銀燈は心臓を患い、
死を望む「めぐ」という少女に出会う。
 そして、ローゼンメイデンの姉妹による殺し合い「アリスゲーム」が本格的に
はじまってしまうのだが…それはまた、別のお話。

        ローゼンメイデン異伝「水銀燈の灯り」 -了-