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夜恋病棟・END

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「…辛い、思いをさせたな。」
「……。」
「俺が、あの時気づければこんな事には…」
「…っもういい!」


通信機の電源が完璧に切れてはいなかったらしく、菊の襲来から耀が悪魔だった事を全て天界で聞いていたフランシスはいてもたってもいられなくなり急いで人間界へと続く穴に飛び込み物凄い速さでアーサーの元へ飛んでいった。
耀と菊は既に居なくなったのだろう、静かになりその後アーサーの悲痛な泣き叫ぶ声だけが通信機越しに聞こえていた。
こんなにアーサーが悲しんでいるのは聞いたことが無い。
風を切り、耀のアパートへとたどり着くとパトカーが数台留まっていた。
まずい、アーサーが警察に連行されたらどう言い訳をすれば良いのか…。
割れた窓から部屋に入り込むとアーサーが俯せで泣き叫んでいた。

「アーサー!」

フランシスが名前を呼ぶが微動だにしない。
仕方なく通信機を拾い、アーサーの片腕を肩に回し、そのまま羽を広げた。

「気持ちはわかるけど、今は逃げるのが先だ。早く羽を出せ。」

俯き、自由なもう片手で顔を覆って泣くアーサーはゆっくりと羽を広げた。
広げても飛べないらしくずっとそのままの状態で声を殺していた。
ため息を吐き、仕方なくフランシスはアーサーを抱えて天界へと飛び立った。

作品名:夜恋病棟・END 作家名:菊 光耀