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和弓と矢

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するりと足袋を履いた足を滑らせ、的前へと摺り足で行く。

『足踏み』

左足を位置に置くと右足を左にくっ付けるまで近くまで寄せて円を描く様に肩幅まで広げた。
しゅっ、と床すれすれの袴が擦れて鳴る。

左手には弦を外に向け、弓先を床ぎりぎりまで倒した黒い梓弓を、右手には男性用の少し太めの地味な羽色をした矢を弓先と弓尻を結んで三角形になるように(羽が高くなるように)矢先を持つ。

『胴造り』

ふ、と軽く息を吐いて重心を爪先にやる。
しかし踵は上げずにあくまで体重を爪先へとかける。
それだけでも下半身の筋肉はかなり消費する。

『弓構え』

弓先を床に静かにつけると、くるりと手の中で半回転させ弦を内側に持ってくる。
そして弓先で三日月を描くように弓を持ち上げる。
その弓に右手に持っていた矢を持って行き、左手の人差し指と中指で持つと、カチリと弦に矢を嵌め込む。
そして一旦右手を腰に戻すと弓先から矢先、そして的を目で追い、確認する。

『打ち起こし』

右手に嵌めた弓懸を弦に引っ掛け、親指と人差し指と中指で矢を軽く固定すると顔を的に向けた。
首筋が出るほどに的を見る。
でなければ矢を放った時に耳を持っていかれるから。
そのままの体勢で腕を上げる。
矢先は下げて。

『引き分け』

弓を持つ左手だけをぐっと前に出すと軽く弓が引く。

『会』

ぐっと弓と矢を引いて弦を張り、耳の横まで持ってゆく。
矢先を的に狙わせる。
ギ、と弓がしなる。

『離れ』

今だ、と刹那思い弓懸を弦に外す様に右手を矢から離す。
ヒュンっと軽快な音が鳴り、スパンと紙製の的に見事命中した。

『残心』

離した右手と弓を持った左手も伸ばし、そのまま数秒静かに息を整える。

再び息を吐くと顔を正面に戻し、弓を倒し弓先を床につけるとくるりと回し弦を外に向けた。
右手も腰に会て、弓を持った左手も腰に会る。
そして摺り足で両足をくっ付けるとそのまま的前から退いた。

作品名:和弓と矢 作家名:菊 光耀