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Fate/10 Bravery

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母部伽羅子は、森宮の大企業で働くOLである。毎日毎日遅くまでの残業と、上司のセクハラに耐えたあとは、必ず幸楽園に通うことにしている。

あそこの中華料理、特に麻婆豆腐は絶品なのだ。1から10まで辛さを調節することができ、伽羅子は4が好みだ。ちなみに10は、フラッと現れたガタイのいい神父が無言で完食して以来、注文者は現れていないシロモノである。

今日は何を頂こうか。そういえばまだのパフェ食べたことないや。無心で歩き、たどり着いた幸楽園の扉を開けた。

「どーもー大将・・・!?!?!?!」


伽羅子の目に見えたのは、地獄だった。スーツ姿のサラリーマンや、腹巻姿の中年オヤジ「だったもの」が、真っ赤な何かに毒々しくペインティングされた店内に無造作に、まるで食い散らかされた獲物のように転がっている。その中には、いつも談笑している幸楽園の大将の姿もあった。

「・・・ぇ・・・?」

あれ、ここは幸楽園だよね?間違ってないよね?と思い、伽羅子は店内の奥に目を向けて「しまった。」

先ほどのが地獄なら、今度のはなんだろう?処刑場、拷問べや、異界、いろいろ浮かぶものの、さっぱり「それ」に該当する言葉が浮かばない。

だってそうだろう?そこにあったのは、壁に串刺しにされて、裸に剥かれて、その体に人類が思いつく限りの残虐な陵辱を加えられたうえで、気違いのような表情で死に絶えた女性たち、そして、それを目を輝かせて見ている金髪の青年。そして、まるでシャンデリアのように天井からぶら下げられて、おぞましい悲鳴を上げながら血を滴らせる女性の血を浴びる、返り血で白いドレスを真っ赤に染めた少女。

あぁ。これはそうだ。きっと悪夢なんだ。とりあえずここから出て、ほっぺでもつねれば元に戻るんだ。そう思った束の間、どう考えても死んでいるとしか思えない、壁に貼り付けられた「何か」が動いた。

それは、まるで命を欲する亡者のように肉をそがれた真っ赤な腕を、届かないだろうに伽羅子に伸ばし、はっきりとこう言った。

「タスケテ…」

伽羅子の全身に鳥肌がたった。これは夢なんかじゃない。早く、早く逃げなきゃ。でないと…

「あ、お客さんだよ。お嬢さん。歓待してあげなきゃ。」

金髪の青年がそう言った。まるで脚を縛られたかのように体が動かなかった。すると、血を浴びていた少女がゆっくりと振り返る。

血を浴びながらも、なお美しさを失わぬ長い銀髪。まるでお人形のようなその顔は、とてもあどけなく可愛らしいものだったが、伽羅子には、それが人肉を喰らう鬼の形相にみえた。

「ようこそ、客人よ。妾の鮮血の宴へ。」

残酷な死刑宣言の後、足元の血だまりがワッと盛り上がり…



「あの時妾の手には、血がかかった。それをぬぐい去った時、老いさらばえた妾の手が美しく蘇っていた…。その時じゃ。妾が『人体を流れる大河とその赤き水』に興味を持ったのは…」

「お客さん」を彼女なりの最大の流儀で「おもてなし」した後、その「お客さんの■■」を片手で弄びながら、銀髪の少女…キャスターは懐かしそうに目を細める。金髪の青年…雨泉蝶之介は、まるで新世界に来たかのように、壁一面を彩る「それ」を眺めていた。

「それからの妾の人生は、まるで暗き洞窟を抜け、開けた楽園に来たようであった。「興味」というものは、灰色の人生に彩りを与えてくれる。ちょうど、血を浴びた妾が、さらに美しくなれたようにのう…」

そういって振り返ったキャスターは、雨泉の目からは、この世のものとは思えないくらい美しく映っていた。まるで、童話の中のお姫様が、この血だまりを介して現世にあらせられたようだ。実際そんな感じではあるのだが。

「のぅマスターよ。其方が妾を今一度呼び生け、共に往く事を望むのならば、まずは『人体を流れる大河への興味を持つこと』の素晴らしさを知らねばなるまい。もっとも、其方の集めた刀剣の数々を見れば、妾は特に心配は…のわわっ!?」

突如、キャスターは雨泉に押し倒された。キャスターははっきりいうとそういう系のことは血を浴びるのと同じくらい大好きなのだが、何分心の準備が出来ていない。目を白黒させながら、自分を押し倒した男を見ると、その眼はまるで新しいおもちゃを見つけた子供のように輝いていた。

「最高!最っっ高だよお嬢!いや、むしろ姐さんと呼ばせてくれ!俺もいろいろ剣とか魔術とか調べてきたけど、こんな身近にこんな素晴らしいものがあるなんて!あんたに出会えてよかったよ!!」

ああ、とキャスターは呻いた。自分の行為に付き従った従者たちはたくさんいた。しかし、自分の行為にこれほど心酔した男がいただろうか。自分の夫は、戦にあけくれ自分には見向きもしなかった。

雨泉蝶之介。彼こそ、私の待っていた人物なのかもしれない。

「そうか、マスター…チョウノスケよ。其方の理解を得られたのは全く嬉しきことよ。さて…少しそこを退いて貰えぬかの?事を致すのは妾も歓迎だが、楽しんだ後は片付けぬと、痛い目を見るぞ?」

あっ、といって、顔を染めた蝶之介を優しく退かし、キャスターは立ち上がって人差し指を血だまりに付ける。すると、周りにぶちまけられた血が、一滴残らずキャスターの指に集まり、吸われていく。全ての体液という体液を吸い尽くした後には、蹂躙され尽くされた■■のみが残った。

「あとはこの絞りカスよな。妾が生きていた頃はツルコに片付けさせていたが…足労だが妾がやるしかないかぁ。それチョウノスケ、其方も手伝え。」

キャスターの流し目が蝶之介を捉える。彼は転がっている■■を嫌そうに見ていたが、彼女の視線を感じるとそちらに釘付けになる。

それを確認したキャスターは、血染めのドレスの裾を掴むと、まるで何かを暗示するかのようにたくし上げてみせる。病的なまでに白く美脚が膝まで蝶之介の目に触れる。釘付けになった彼の目がその上にまで伸びようとすると、キャスターはパッとドレスを離し、いたずらっ子のような笑みを浮かべる。

「手伝ってくれたなら、褒美を遣わすぞ?」

「はいはいやります!ヤらせてください姐さん!どこまでもついて行くぜ!」

テキパキと片付けを開始した蝶之介を眺めながら、エリザベートは血を吸った人差し指を口に含みつつ考える。この聖杯戦争とやらは、自分の他にも英霊やマスターがいるのだそうだ。もちろん、美しい処女の魔術師や英霊もいるのだろう。

耽美な想像が彼女の胸を膨らませる。孤高なる魔術師達の血の色、味はどんななのか。猛く、美しき英霊たちの悲鳴はどれほど甘美なのか、想像するだけで天国が見れそうだ。

戦に明け暮れた夫もこんな気持ちだったのか、とキャスターは思いを馳せる。無論、そんなことがあるわけがないが、血の匂いと暖かさに酔いしれた彼女が、それに気づくわけもなかった。

こうして、森宮に恐怖の殺人アヴェックが誕生したのである。

作品名:Fate/10 Bravery 作家名:AsllaPiscu