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Fate/10 Bravery

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Amagi VS Difencers Mastar
茂みに飛び込んだ天城の周囲に、渦を巻くような殺気が満ちる。刺すようなそれではなく、ねっとりと絡みつくような、狂気を感じる殺気。指を弾く音と共に、茂みから、さきほど大量に襲い掛かってきた黒い獣が6匹飛び出してくる。

「グルルルルゥ…」

その獣は本物の狼さながらゆっくりじわじわと包囲網を狭めていく。それに構わず天城は不敵に笑い、指をピストルの形にする。

「Das Licht Uchinuke!(撃ち抜け、光よ!)」

その指先から一条の光線が放たれ、正面の獣の額を打ち抜く。獣が倒れた音を合図に、残り5匹の獣が一斉に牙を剥く!

「おおっと!」

まずは最初の一匹の突進を飛んで回避、そのまま獣の背を足場に、更にもう一匹飛び掛ってきた獣を指先から放たれた5本の光線で空中で迎撃。更にそれを足場に上空へ飛び上がる。

残り4匹が四方を固めて同時に飛びかかる。空中で静止状態の天城に逃げ場はない。

しかし、これこそ天城の思うツボである。

「Vollständige Belagerung, zielen schießen(包囲完成、狙い打て!)」

高らかに金属を撃ち合わせるような、清廉な音が6つ、周囲に響く。獣がそれに気を取られた時にはすでに遅く、

四方から飛んできた光線が、獣達の急所という急所を射抜いていた。

さらに音は止まらない。6本の光は縦横無尽に戦場を飛び回り、その度に音が鳴る。通りがかられた草は例外なく炎もあげずに灰となり、その周囲を照らす。その光の中に一瞬だけ、忠実な使い魔を一度にサーヴァントでもない相手に6匹打ち倒され、呆然とする魔女の姿を天城は捉えていた!

「目標は見えた!erfassen…(捕捉…)」

魔女がみじろく。それはそうだろう。自分の周囲360度で、突如あの金属音が鳴ったのだから。

天城の魔術礼装は二つ、そのひとつが現在用いている、12の水晶の礼装、「LichtKristall(光曲晶)」これは天城の思考により地空問わず動き、光線系の魔術を敵味方関わり無く、威力を増幅させた上で屈折、反射させる。

そして、大量の光線を互いに反射させ、威力を増幅した上で、光曲晶を相手の周りに配置し、全方位からの一斉射撃を加える。これこそが天城の必殺技。

「Völkermord Des Lichts!!(光の大虐殺!!)」

反射的に、魔女は杖を構えて呪文を唱える。先ほどの茨が「彼女の周りに大量に生え、絡み合って城壁となす。

「Ich Dornen zu schützen, die Prinzessin, und die Wände öffnen Knäuel!!(姫を守る茨よ、絡まり合いて城壁と化せ!!)」

「んっ・・・!」

魔女の姿が茨に隠され見えなくなり、天城の位置から確認できなくなる。全方位から放たれた光は難なく茨の城壁をうち貫くものの、それが致命打かはわからない。

続いて、茨の城壁が内側から炎を上げて爆発する。同時にスモッグのような煙がぶちまけられ、たまらず目をつぶって手でかばう。防風の中、不意に相手の気配が消えたのが見えた。

「!・・・Licht!!」

先ほどまで魔女がいたところに三発の光線を撃つ。ついでに反射させて周囲に飛び散らせてみるが、手応えは得られない。

「ふむ。どうやら奴らは退いたようだ。」

いつの間にかアーチャーがそばに戻ってきていた。彼の体には、あまり傷らしい傷は見えないが、それでも渋い顔をしている。

「すまんな、小僧。危うかったのでな、『王の掃射』を晒してしまったわ。」

むぅ、とあごヒゲを撫でながらアーチャーは唸る。その真名発動を、確かに天城は間近で見た。しかし、大英雄たるアーチャーの起源ともいえるであろう宝具にしては、随分しょっぱかったのが気にかかる。

「アーチャー、お前自身は、問題あると思うか?」

アーチャーは少しキョトンとするものの、直ぐににやりと笑う。そこに現れているのは、絶対なる自信。

「何、あの程度の『王の掃射』と、我が真名を晒したところで、采配にも依ろうが問題はなかろう。むしろ、『王の掃射』があんなものと油断してくれるば、それに越したことはない。」

アーチャーはふと、何かを思いついたような表情で手を叩くと、天城の手をむんずと掴む。

「よし小僧。ここは引き上げぞ。明日早朝に、『みりたりーざっし』とやらを持て。『王の掃射』を強化せねばなるまい。」

「はっ!?ミリタリー雑誌!?そんなの魔術師の読むものじゃ・・・痛い痛い引っ張るな!せめてケースの回収はさせろ!」



On the other hand at that time…

「よう彼女、今晩幸楽亭で合コンやるんだけど、どうよ?」

「え、マジで?いいねいいねー!」

いわゆる、ナンパというヤツだろうか。サングラスをかけた金髪の青年が、街中で派手な服装をした、どうも身持ちの悪そうな女に次々と声をかける。なかなか青年のルックスがいいせいか、成果は上々。今夜の合コンには、4,5人が集まるそうだ。

キャーキャーやかましい女たちの様子に、その人ごみを抜けた白い服の青年が、ため息を履く。そして、ひとりごとのようにボソッとつぶやく。

「ホントにこれでいいの?ホンットに、すっごいモノが見れるの?」

『ホホ、其方には少々刺激が強いかも知れんがのぅ。まぁ妾に任せておくのじゃ。其方も妾の隣に立つのならば、真の好奇心というものに目覚めておくのが筋よな。』

ホホ、と青年にしか聞こえない声は嗤う。青年は、頭を抱えながら考えるが、よくわからないので頭の中からもやもやした考えを抜き去ることにした。

しかし、見えない声以外のものは知らないだろう。幸楽亭が、第二のチェイテ城となることを。

作品名:Fate/10 Bravery 作家名:AsllaPiscu