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ネイビーブルー
ネイビーブルー
novelistID. 4038
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いいからさっさとおかえりって言わせろ!

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 ぱしっと帽子をかぶった頭をはたくと、彼は「痛っ」と言ってグリーンを軽く睨んだ。グリーンは鞄の口をあけ、シロガネ山を出た時に入れた緑色のマフラーを取り出すとレッドの首にぐるぐる巻きながら「じゃあ、分かった」と言った。
「電気玉を手に入れたら、一度マサラに戻って来い。そしたら、一緒にポケギアを買いに行ってやる。お前どうせ、一人で買いに行ったってどれを選べばいいのか分からず手ぶらで帰ってきそうだしな。ありがたく思え、オレさまが選んでやるよ。タマムシまで行けば、かなり質のいい奴が買えんだろ。どうせオレのピジョットとお前のリザードンなら一瞬で行けるしな」
「……うん」
「だから、さっさと手に入れてさっさと帰ってこいよ。オレはジムか家にいる」
「分かった」
 首に巻かれた合わない色のマフラーをぎゅっと押さえて、レッドが微かにはにかんだ。
 おかえりはまだ言わない。そう、グリーンは思う。
 おかえりは、彼がマサラに帰ってきたときに、何年間も変わらないあの穏やかな町で言うから。だから、早く帰ってこい。


 数日後、突然かかってきたグリーンの電話を取ったヒビキは、グリーンの「レッドが帰ってこない」という恨み節を聞かされることとなった。
「おい、お前今すぐレッドに電気玉返せ。それで、あいつをマサラに呼び戻せ」
「え……でも、ぼくのピカチュウも、かなりこの電気玉を気に入っちゃったんですけど……」
「トキワの森で探してこい!」
「ええっ、嫌ですよ! だってそんなの、何日かかるか分からないじゃないですか!」
「レッドが現在進行形で電気玉捜索してんだよ! あいつ、さっさとしろっつったのに、まだ見つからねえのか帰ってこねえ。本当にノロマだな!」
「ぼくに言われても……」
「いや、お前のせいだ、お前が悪い!」
「えええっ!?」
 八つ当たりしないでくださいよ、と言い返したところで無駄なことを知っているため、ヒビキはその後レッドが戻ってくるまで、グリーンの愚痴に毎日付き合ってやる羽目になったという。もし欲しい道具があっても泥棒は駄目だよ、絶対後悔する。そう道端のトレーナーに話していたヒビキの姿を、コトネが見たとか見ないとか。