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バズーカ部長
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ACⅤ-全てを焼き尽くす暴力-

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フランの必死の説得によってどうにか俺はレジスタンスに雇われることが決まった。

しかし俺が始めて踏み入れたセラーの町は、想像以上のありさまだった。

薄暗い地下道に寄り添うようにして立ち並ぶ背の低い簡素な建物。

商店と見られる店に商品は並んでおらず、たまに見かける人間は皆生気を失った顔をしてうろうろしているだけだ。

「この町は時間がない」

俺をレジスタンスの本部へ案内しながらレオンが話す。

「最近蔓延している疫病によって町の1割の人間が死んだ。今も闘病に苦しんでいるものが大勢いる。我らが生き延びるためには、<代表>を討ち、<シティ>を取り戻す他ないんだ」

俺は<代表>とレジスタンスの戦い自体に興味があったわけではなかった。が、この惨状を見て黙っていられるほど、冷徹な人間でもなかったらしく、俺の心はレジスタンス側へと確実に傾いていった。


そこからの1年。

レジスタンスは別の<シティ>地下の住人をも説得してどうにか戦力を増強した。

レオンはフランを新リーダーに祭り上げ、自分はあくまで参謀とするとした。

無論、年端もいかず実戦経験もほとんどないフランを司令官とするのは反対意見が多かった。

が、レオンは引かなかった。フラン以外、亡き前リーダーの跡取りは務まらないとまで言ってのけた。

どうにか皆を納得させたものの、実質的に部隊を動かしているのはほぼレオンであった。

俺はそのことについてどうこう言う気は無かった。少なくともレオンが指示を出しているのには賛成だったし、前リーダーの娘、フランを形だけでも指揮官にすることによって部隊の士気の向上も期待できる。

だがフランは優しすぎる。 彼女にとって戦場は居てはならない場所なのだ。

俺がそんなことを考えながら、格納庫で自分のACを眺めていたとき、

「あの・・・」

気弱そうな声に話しかけられ、俺が振り返ると、錆びたマグカップを持ったフランが居た。

俺はマグカップを受け取り、湯気を漂わせるコーヒーを一口すする。

「・・・苦いな」

「え・・・あ・・・すみませんっ」

「いいんだ、砂糖の量の事じゃない」

俺がそういうとフランは少しほっとした顔をした。

「・・・明日から<代表>への攻撃が始まるのですね・・・」

「厳しい戦いになるのは明白だろうな」

「ごめんなさい。ACを扱えるのはあなた1人だけで、他のミグラントは企業の味方で・・・」

「俺は依頼を遂行するだけだ」

コーヒーに口を付けようとしたとき、ふいにフランが俺の手を握ってきた

「・・・私からも依頼があります」

俺は驚いた。フランの瞳に力強い意思が垣間見えたからだ。

「この戦いが終わるまで、決して死なずに帰還してください」

俺はフランが、「あの男」の娘であるのを納得することができた。

「・・・全く、無理難題を依頼するのが好きな親子なんだな」

「わっ私はマジメにいってるのです!!」

フランが少し泣き目になって怒っている。少し意地悪だったか?

「分かっているさ。了解した」

戦いの前夜は更けていく・・・静かな夜は、今日限りだろう。