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バズーカ部長
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ACⅤ-全てを焼き尽くす暴力-

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【セラー】

穴倉、という意味の言葉だ。いつしかこう呼ばれるようになった地下に住む人々は、劣悪な生活環境の中でどうにか生き延びてきた。

<シティ>に住むことを許されない彼らは、いつか太陽の日差しを浴びることを夢見て、<代表>との決戦に臨んだ。

しかし結果は惨敗。<代表>が雇った<企業>、【ランドロード】の最新兵器による圧倒的物量の前に、旧式装備のレジスタンスでは歯が立たなかったのだ。

特に大きな戦力差となったのは、<企業>が投入してきた<ミグラント>のAC。

<ミグラント>とは別々の<シティ>を渡る行商団の総称だが、取り扱っているのはもっぱら兵器の売買やACを使った傭兵家業で、つまりは死の商人である。

報酬が全てである彼らがレジスタンスに味方するわけもなく、近隣のミグラント達はほぼ<企業>側の味方といっていいだろう。

唯一大きな戦力であったレジスタンス側の切り札、【ヴェンデッダ】。

リーダー自らが操るフラッグシップ機だったが、今回の作戦中に時間稼ぎに残ったまま、戻ってきていない。

我々はどうにか生き延びたが、部隊も3割ほどにまで数が減り、もはや再度の襲撃など絶望的だ。


・・・レオンは黙って話を聞く男に、自分たちの状況を説明し終わった。

「我々の状況は大体こんなところだ。この状況で貴様の要望が聞けると思うのか?」

俺はさっきと同じ事を話す。

「・・・要望じゃない。俺はレジスタンス側に雇って欲しいだけだ。」

「そうじゃない!」

レオンが机を激しく殴った。 隣にいる少女が「ひっ」と小さな悲鳴をあげる。

「我々が貴様を信用できると思うのか?貴様は企業側に雇われていたんだろう。無論我々の同胞を殺していたはずだ。」

「それは間違いない。」

俺が答えると顔面に衝撃が走った。殴られたと認識するのに時間はかからなかった。

「今すぐ殺されてもおかしくない状況だと貴様は分かっているのか?ふざけるんじゃない!」

「俺を殺したら、<代表>には勝てん」

「貴様・・・っ!」

胸倉が掴みあげられ、レオンの腕が振りかぶられる。

「待って下さい!」

その声でレオンの拳が俺の目の前でピタリと止まった。

俺は驚いた。さっき机をたたかれただけでびびっていた少女がこの大男を制止させるなんて。

「この人は何か理由があって私たちの所へ来たはずです。それを聞かずに尋問にはならないのではないでしょうか・・・?」

少女は最初のほうこそ気を張っていたものの、しゃべる音量がどんどん小さくなっていく。相当気弱な性格のようだ。

しかし、この声・・・なるほど、どこかで聞いた声だと思った

「・・・依頼主はレジスタンスのリーダーだ」

俺は黙っておきたかった事実を言った。

周りの人間も一瞬呆気にとられた顔をしたが、その顔がみるみる怒りに染められていく。

無論、俺を掴みあげているレオンもだ。

「貴様・・・我々のリーダーをも愚弄する気か・・・!!!」

リーダーの名を持ち出せば、こうなるのは分かっていたために今まで伏せていたが、この少女だけは・・・

「父さんからの・・・依頼・・・?」

レオンがはっとした表情で少女を見つめる。

「・・・そうだ。 依頼内容を知りたいか?」

「・・・ええ」

「・・・私の娘を守ってやってくれ、以上だ」

その瞬間、少女は悲痛な叫びをあげながら泣き始めた。耳を劈くほどの慟哭。

少女、フランとの出会いは、決して華やかなものではなかった。