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こらぼでほすと 厳命3

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「「・・・ママ・・・・」」
 ニールの言葉に、二人して驚いた。今まで、ニールは先の約束をしたことがなかったからだ。刹那とはしていたかもしれないが、『吉祥富貴』のスタッフにはしていない。なんとなく、体調がおかしいから先のことは諦めていた節があった。それが、先の治療が終わった後の約束をしてくれた。それだけで、リジェネも歌姫様も表情が明るくなる。
「ママ、リジェネだけ贔屓するつもりですか? 私は? 」
「一緒に行けばいいだろ? どうせ、レイもついてくるだろうし・・・みんなで遊びに行けばいい。」
「あのね、あのね、僕、自然の景色ってのを見たい。映像としては見ているけど、実際は知らないんだ。ティエリアが見てくるんだから、僕も行きたい。」
 ティエリアは、ヴェーダでの作業が終わったら、アレルヤと旅行する予定だ。さすがに、そこにくっついていくことはできないが、リジェネだってやってみたいと思っていた。
「自然の景色っていうと、オーヴの珊瑚礁が綺麗だって、トダカさんが言ってたな。そういうのでよければ。」
「それは、よろしゅうございます。カガリの別荘なら私も付き合えます。」
 天下の歌姫様は、普通の景勝地に出かけるには警護の問題がある。カガリの別荘なら、人の出入りもないから、存分に遊べるはずだ。
「珊瑚礁か・・・うん、いいね。そういうのがいい。」
「フェルトがシュノーケリングしてましたが、あれもよろしいですわ。海の中は、地上と違う景色なんです。」
 きゃあきゃあと盛り上がっている二人に、ニールは笑う。こういう約束なら叶えられるはずだ。フェルトも行きたいだろうから、予定をあわせなければ、とか、言い出しているが、先のことだろうと、一応ツッコミはしておく。
「でも、こういう予定は早めに決めてスケジュールを抑えませんと。」
「俺の治療が終わらないと、特区から出してもらえないんだぞ? ラクス。」
「もちろんですわ。ですから、来年の春ぐらいに予定を。」
 歌姫様の予定は、年間で決められるから、半年以上先の分まで入っている。それを調整させる必要があるから、と、ツッコミ返しがやってくる。
 そこへ、メイリンが新たな書類を携えて入室してきた。はしゃぎたおしている二人に、かなりびっくりするが、それを見て笑顔になる。以前は歌姫様は女神様と、崇拝していたメイリンも、素のラクスを知ってからは、同じ人間だと認めている。だから、多少の我侭を歌姫様から言われても、スケジュールの調整をやってくれるようになった。普段からストレス一杯生活なんだからたまには羽目を外せばいいんです、と、いうのがメイリンの意見だ。ニールのダウンで、顔色を変えたラクスを、無理に外出させる必要はない、と、さっさと予定をキャンセルしてくれた。だから、笑って騒いでいるのは、メイリンにも気分が高揚する光景だった。
「何か楽しいことでもあるんですか? ラクス様。」
「ええ、メイリン。来年のスケジュールを変更しないといけませんの。」
「メイリン、おまえさんも行こうぜ? 」
「え? ニールさん、どこへですか? 」
「俺の治療が終わったら、その打ち上げをカガリの別荘でやろうって話だ。」
「いいですねぇ。マリンスポーツは初体験です。」
 プラント生まれのプラント育ちだったメイリンも、自然の中で遊ぶという経験は少ない。人工の海というのはプラントにもあったが、それと本物の自然とは違うものだ。
「来年の春ぐらいに。」
「了解です。じゃあ、その前に、こちらをチェックしてサインをお願いします。後、グリーティーングカードは、こちらの文面を用意しております。もし、変更があれば、教えてください。」
 細々とした事務仕事はあるから、それには従事してもらわなければならない。知り合いやら関係者への季節ごと、イベントごとのグリーティングカードや挨拶状には、歌姫様の直筆サインが必要になる。
「ラクス、さっさと仕事すれば? メイリン、他のチェック関係は? 」
「リジェネさん、お願いします。」
 メイリンは、リジェネにも仕事を手渡す。細かいチェックが必要な書類は、ある程度、メイリンもチェックしているが、最終的には歌姫様のチェックが必要だ。その部分をリジェネが手伝っている。
「すまないな? メイリン。このバカわんこが我侭言って・・・」
 で、この大幅予定変更の当事者であるニールは、ベッドに横になったままだが、メイリンに謝ってくれる。
「今は、それほどスケジュールも立て込んでいません。それに、ラクス様だって休養は必要です。」
「いや、そうだけどさ。」
「大丈夫です。来週、どうしても出席しなければならない会議がありますが、それまでは休んでいただいて問題はないです。」
「ママ、また、私を犬に例えましたね? 」
 そして、そのニールに、歌姫様がツッコミだ。
「だって、おまえ。いきなり、『明日から休む。』って・・・おまえの場合は大変なことだろ? あっちこっち、頭下げてくれてるのはメイリンなんだぞ? 少しは考えろ。」
 そして、唯一、その我侭を叱れるのもニールだけだ。至極真っ当な意見で叱るのだが、普通は天下の歌姫様をバカわんこ呼ばわりしたら、殺されるはずだが、その心配もない。おかんだから許される暴言だ。
「いいんです。私は病気です。ね? メイリン。」
 で、歌姫様も、ニールには我侭放題言いたい放題だ。
「ええ、ラクス様は病気です。スケジュールの調整は、あたしの仕事ですよ? ニールさん。そんなことは大したことじゃありません。」
「甘やかしすぎないでくれよ? メイリン。こいつ、際限なくやるぞ? 」
「あははは・・それはないです。ラクス様が、こんなことをおっしゃるのは、キラさんとニールさんのためだけですから。」
 キラに危険があれば、スケジュールなんてすっ飛ばして駆けつけるだろう。だが、キラも、それほど無茶はしない。どちらもが並んで立っていなければ、『吉祥富貴』は維持できない。それを自覚しているから、歌姫様に負担のかかるようなことはやらないからだ。もちろん、歌姫様も同様だ。だから、何かしら我侭なスケジュール調整を頼まれるとすれば、ほぼニールに関することだけということになる。それぐらいなら、メイリンも朝飯前だ。
 特に今は、新たな連邦成立に向けて世界が動いているから、歌姫様を招聘しての会議やイベントも少ない。新しい連邦が成立すれば、そこからは平和の使節としての歌姫様の活動も増えるだろう。
作品名:こらぼでほすと 厳命3 作家名:篠義