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新生勇者戦記 ブレイヴ・サーガ・ディザスター 第55話

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  第55話 「闘い続ける者達」


  状況は芳しくない。そう一言で言うしかなかった。要である4体勇者達が窮地に立たされていた。

  ファイバードとキングエクスカイザーは瀕死の重態。キングエクスカイザーは尚も攻撃を受け続けていた。マイトガインも著しく機体を損傷させ、傷ついたジェイデッカーに運ばれながら対策本部に到達する。それに続くようにJトランスポーターが一時的に帰還した。

  Jトランスポーターのエンジンで巻き起こる風の中、ジェイデッカーがマイトガインを横に寝かせる。  

  ジェイデッカー 『さぁ、着いたぞ!!マイトガイン!!』

  マイトガイン 『あ・・・・ああ。お、おんに・・・・キル・・・じぇい・・・でっかー。』

  ジェイデッカー 『マイトガイン!!?・・・・何を言うんだ・・・恩に切る方は私の方だ!!君が私をかばってくれなければ、間違いなくやられていた!!』

  マイトガイン 『・・・・キニスルナ・・・・わた・・・しも・・・なかま・・・はやくまいとをたのむ・・・・。』

  マイトガインの口調が妙に片言調になっている事に気づくジェイデッカー。同じ超AIを持つものとして、それがいかに危険な状況にあるかがわかった。早速要と藤堂を呼ぶ。

  ジェイデッカー 『これは・・・危険な状況かもしれん!!隊長!!!藤堂さん!!!』

  駆けつけた要が舞人を救出し、藤堂達技術チームがマイトガインの状態を見る。建造先が違えど同じ超AIロボット。何が危ないかは直ぐにわかっていた。

  超AIシステムそのものが非常にシビアな代物だ。慎重に専用自己診断機を接続して調べる。

  藤堂 「やはりな・・・・超AI自体に問題が起きている・・・いますぐにデータを別にインストールする必要があるな!!!そのままにしておけば最終的にデータが消えかねない!!!おい!!今すぐに旋風時の技術部に連絡するんだ!!!」

  整備班 「は、はい!!」

  慌しいまでの状況がマイトガインを取り巻く。その光景を見て心配する舞人と要。ジェイデッカーも胸を熱くさせて見守る。  

  ジェイデッカー 『マイトガイン・・・大丈夫でしょうか??』

  要 「ああ!!きっと大丈夫だ!!藤堂さん達が今、急ピッチで診てくれている!!」

  舞人 「・・・・くっっ!!!」

  要 「あ!!舞人!!!」

  舞人はその場にいても立ってもいられなかった。自らの傷にかまうことなく駆け出して、再びコックピットに乗り込む。そして薄れ行く意識のマイトガインに必至に呼びかけた。

  舞人 「なあ、マイトガイン、お前はまだ闘えるよな?まだ斃していないヤツだっているんだ・・・・・俺達に痛手を負わせたヤツ・・・斃したいよな?な?」

  マイトガイン 『ま・・・・まいと・・・・ワタシハ・・・。』

  舞人 「そうだ!!まだ連絡取れないけど、紬さんだってきっと応援してくれてるぜ!!!ダメになりそうなときこそ勇気で補おうぜ!!!」

  必至に呼びかける舞人。舞人もここへ来るまでの間にマイトガインの超AIに支障が出ていたのがわかっていた。しかし、刻々と状態が悪くなっていく。

  マイトガイン 『ツムギ・・・・??はたしてソレハダレナノデスカ?』

  舞人 「な?!!紬さんだ!!!俺の彼女だ!!!っく・・・・・記憶がなくなりつつある!!!マイトガインッッ・・・・死なないでくれぇっっ・・・!!!」

  苦痛な思いで叫ぶ舞人。もはやデータが消滅するのは時間の問題だった。ジェイデッカーをかばった際に頭部から地上へ激突した事が致命傷に至っていた。

  かけがえのない相棒が今、死のうとしていた。悲しみの気持ちは抑えきれるものではなかった。

  要はこの時、勇者達の試練をひしひしと感じていた。この状況を乗り切れるのか否か。憂いにも似た想いを何とかポジティブ・シンキングで埋めようとする。

  要 (ジェイデッカーやマイトガイン達にも手に負えない敵が現れたというのか・・・?!!それにエクスカイザー達との連絡も取れない・・・俺達は超えられない何かにぶつかろうとしているのか・・・・・??!)

  葉山 「マイトガイン・・・大丈夫っすかね?」

  要 「今、急ピッチで見ているようだが・・・・喋り方が急激にぎこちなくなっている・・・。」

  葉山 「それってやばくないすか?!!」

  要 「おそらく・・・・。」

  ジェイデッカー 『くっ・・・私が不意を突かれたばかりに・・・!!!こうしている間に新手のデストリアン達が・・・・!!!』

  悔やみの念に駆られて隣に立ちそびえるジェイデッカーを見上げる要。ジェイデッカーもまた複雑な心境で見守るしかない。

  その時、後ろからさわ子と吉崎が駆け寄ってきた。

  さわ子 「誠人君!!」

  要 「さわちゃん!!」

  要に駆け寄ると同時に、彼の両肩に手をかけて頭をうずくめた。要は顔を赤くしながら、あわてて戻って来た訳を話した。

  さわ子 「よかったぁ・・・無事に帰ってきて・・・。」

  要 「あ、いや・・・まだ解決できたわけじゃない。一旦状態を立て直しに戻ったんだ。ちょっと劣勢になったんでね。」

  さわ子 「ええ?!劣勢って・・・そんな・・・あのロボット達でも太刀打ちできない事になったの?!!」

  ただでさえ不安な状況下、勇者達が劣勢と聞いて更に不安にかられてしまうさわ子。要は補うようになだめた。ジェイデッカーも合わせて答える。

  要 「あ・・・・それでも大丈夫だ!!今に反撃できるチャンスが手に入るさ!!」

  ジェイデッカー 『そのとおりです!!必ずや現状を打破して見せますよ!!』

  さわ子 「うん・・・だといいんだけど・・・それに、生徒達が無事でいるのかも心配・・・みんな無事でいてくれればいいのだけど・・・。」

  要 「・・・・!!」

  要は、はっとなった。彼女も一教師。初めて持ったクラスの生徒達の安否が気にかかるのは至極当然だ。要は一刻も早く、事態の収拾を急がねばと改めて思わされた。  

  吉崎 「あ・・・えーと・・・お取り込み中失礼!一時的な帰還とはいえ、よくぞご無事で、隊長!!」

  吉崎が失礼を承知で要に敬礼をしながら挨拶をうかがった。

  要 「ああ!!吉崎、この後もさわちゃんを頼むぞ!!俺達も一刻も早く事態を沈静化させることに奮闘するっ!!!」

  吉崎 「了解です!!サワちゃんは責任持ってお守りします!!」

  さわ子 「お、お守りってレイナ・・・なんだかまるで私が保護された子供みたいじゃない!」

  吉崎 「あはははは、一応警官として言っただけ!葉山、あんたはちゃんとやれてたかぁ?!」

  ばしっと葉山の肩を叩く吉崎。葉山はヘコヘコして答える。  

  葉山 「あ、ういっす!!なんとかやれてまっす!!」

  その時。彼らの前に冴島が立った。だがいつものように熱いトークをする雰囲気ではない。真剣そのものでジェイデッカーと要を呼び出した。