図書館戦争 堂x郁 狙われた宝石
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他愛も無い話しをしていると、堂上がベンチに近づいてきた
「あ!篤さんだ」と言って、郁が立ちあがると「飼い主への反応は凄いわね」と
まだ少し離れている堂上を見ながらニヤニヤしていた
その時、図書館入口付近が騒ぎ出した
堂上は「何だ?」と振り返ると、赤いニットキャップを被った男が黒いリュックを抱え出てきた
「窃盗だ!」と後方から防衛員の声が聞こえる
堂上は走りだそうとした瞬間、背後から凄い勢いで郁が通り過ぎていく
「郁!」と声を掛けたが、郁は振り返らず、敷地入口に向かう犯人を捕らえるべく走っていた
堂上も後を追うように走りだすが
既に犯人に追いついた郁は、後襟を掴み反動で大外刈りを決めていた
そのまま犯人の背中に跨り、右手首を捩り上げ「確保!」と声を上げた
追いついた堂上は、郁に代わり犯人の両手首を拘束し
近づいてきた防衛員に身柄を引き渡した
郁は犯人が落したリュックを開け、本を確認すると
もう一人の防衛員に「無傷みたい。良かった」と言いながら手渡した
堂上は郁の傍に近寄ると
「アホか!貴様は!
病み上がりだということを忘れたのか!このトリ頭が!」
ゴツンと郁の頭に拳骨が落ちる
「いったーーい」と頭を擦りながら、堂上の顔を伺うと
これでもか!というぐらいに眉間に皺を寄せ、仏頂面を装ってはいるが
表情は心配させるな!ということが見て取れた
「あ!堂上教官のレア顔!今情けない顔してますよ?」
と、郁は眉間に人差指をグリグリと押しつけながら「皺取れなくなりますよ?」と
余計なひと言も追加した
堂上は暫く固まったあと、「いーく?」と言って郁の右手を掴んだ
「なんですか?」
「柴崎はどこだ?」
え?と郁は周りを見渡し、捕り物騒動で増えた人混みの中から柴崎を見つけ「あそこですけど?」
と指を示して「柴崎ぃーー」と呼びながら歩き出そうとした郁の右手を再度引き寄せ
「おい。どこ行くんだ?」と聞く
「え?柴崎のところですけど?」なんで?と首を傾げる
堂上はハァーーと深い溜め息を吐くとk
郁の頭を軽く叩き「痛っ!」と声を上げ堂上を睨みつける
「アホか!気付けこの馬鹿!」
お前視えてるじゃないか!と郁に言うと、「あ・・そうですね・・・」とキョロキョロし始めた
「あーーやっぱりちゃんと視えるのって良いですね!」と呑気に答えた後
「・・うん。やっぱり視えるのは嬉しいな。篤さんの顔も視えるし・・」と上目遣いで堂上を見る
堂上は勘弁してくれ!と郁の頭をポンポン叩き耳元で「後でたくさん視せてやる」と言うと
郁は顔を赤くし、「時と場所を選んでくださいね?」と微笑んだ
end
作品名:図書館戦争 堂x郁 狙われた宝石 作家名:jyoshico