図書館戦争 堂x郁 狙われた宝石
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その日から少しずつ、まだ視界はぼやけているが、輪郭を捕らえる程に郁は回復を見せた
堂上が病室に入れは、郁は少しふらつきながら、部屋の中を歩いており
身体に受けたキズも、ほぼ完治していた
郁は堂上に気付き「そこで待っててくださいね!」と言って、覚束ない足取りで歩み寄った
傍まで来ると「えへへ、すごいでしょ?」と言ってニコニコしている
堂上は郁を抱きしめながら 「ああ。すごい回復力だな」と言ってギュッと力を込めた
「あっ篤さん・・痛いです・・・///」
「すまん。可愛い婚約者が、可愛いことをするから、つい力が入った」
やだ・・恥ずかしい・・と言って、郁は堂上の背中にまわした腕に力を込めた
「今日は外出許可を貰った。久しぶりにデートに行こう
最近は結婚準備でろくなデートも出来んかったしな?」
何処か行きたいことろはあるか?と郁に尋ねると
「篤さんと一緒なら、私はどこでも良いんですよ?」とサラリと恥ずかしいことを言う
とは言っても・・・・と郁は話しを続けた
「映画は・・・まだ無理ですし、食事もポロポロ零すし・・外食は厳しいですね・・・」
うーーん と悩んでいると あっそうだ!とニコッと笑い堂上に提案した
「図書館に行きましょ!本は読めませんけど、皆にも逢いたいし!」
久しぶりだからなぁー柴崎カウンターに入るかなぁーとワクワクした表情を見せる
堂上は「分かった」と言って郁の頭をポンポンとすると「支度しろ。着替え手伝うか?」とからかう
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腕を組みながら武蔵野第一図書館館内のエントランスに入ると、丁度巡回中の小牧と手塚に逢った
「笠原さん、大分良くなったみたいだね」
俺のこと見えてる?と言いながら方手を郁の前でヒラヒラと振るので、郁は二コリと笑う
手塚はお前まだ良く見えてないんだろ?大丈夫か?と心配そうに郁を覗き込む
「え?あーー結構大丈夫!それより、手塚スーツ大丈夫だった?」
は?と手塚が呆けると、ほら!私結構血だらけだったでしょ?あんたのスーツって高価そうだし!
と言って、郁は手塚の姿をぼやける眼で見上げる
「あーそれは問題ない。堂上一正に経費で処理して頂いた」
よかった。気になってたんだ。と郁は告げる
「堂上、後で事務室寄る?毬絵ちゃんから笠原さんのお見舞いの品預かってるからさ」
「ああ、後でな」
「それでは、堂上一正失礼します」と手塚は堂上に一礼し
また後でね、笠原さん。と言って小牧も巡回に戻った
貸出カウンターに向かうと、「笠原ぁ〜」と柴崎が近づいてくる
元気そうね?教官と仲良くリハビリ中?と郁に抱きつきながら堂上の顔を伺う
「要らんこと言うな」堂上は耳を赤くし、郁はえへへと笑い柴崎と楽しげに話していた
「丁度私休憩なのよ。立ち話しもなんだから外のベンチに行く?」
「そうだね。篤さんいい?」
「ああ。俺は隊室に顔を出してくる。隊長も要るだろうしな
柴崎、郁を頼むな」
「りょうーかいでぇーす」と答え、郁に自分の腕を絡ませ「行きましょ」と郁を引っ張って歩いた
図書館を出てすぐにある広場のベンチに腰を掛け
「どのぐらい見えてるの?」と柴崎は郁の目の前で手をヒラヒラさせながら尋ねた
「んーー動いてるなっていうのは分かるよ。
ハッキリと姿は捕らえられないけど
知り合いなら、何となく雰囲気で”誰”って判断できるかな」
「野生ね・・・流石笠原犬。匂いとかで判断出来てるんじゃないの?」
「何よ!バカにしてるでしょ!」
「いいえ。特技だと思うわ」
立派なものよ。自慢してもいいんじゃない?と柴崎が言うと、郁は口を尖らせぶーと唸る
作品名:図書館戦争 堂x郁 狙われた宝石 作家名:jyoshico