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図書館戦争 堂郁 あなたに逢いたい

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「兄貴!ちょっと・・・待ってよ!」
「煩いなぁ〜」さっさと着いて来い!と妹の遙に言うと
バカ兄貴!懸賞当てたの私なのに!!とブツブツ言いながら着いてくる

正化33年12月
俺達兄妹は武蔵野第一図書館に向かっていた
滞在期間は三日間
遙の一生分の運を使い切ってしまったのではないだろうか?

『トラベラーズチャンス』という記事をネットで発見し、早速応募した結果
珍しく当ててしまった・・・

まだ研究段階で、実運用までは辿りついていない技術だが
被験者として募集されていた為、条件をクリアしていた俺達はすんなりとパスし
今・・この時代に居る

「大体さぁーなんでこの時代なの?」
どうせなら正化37年ぐらいの方が見ごたえバツグンじゃない?と遙は兄の隆を見ながら言う
「お前本当に馬鹿だなぁーこの時代は丁度ジレジレの時じゃないか?」
傍から見てて楽しいだろ?とニヤリと笑う
「うっわーー最低!お母さんに言いつけてヤル!」
どうぞどうぞと手をヒラヒラさせながら、図書館の門を潜った



切っ掛けは、引っ越し準備中に発見した1冊の青い本
表紙は破れたのか、丁寧に貼りあわされ、少し黄ばんでいたが、丁寧に保存されていた
俺は「こんなのあったか?」と思い、その本を開いた
すると、1枚の写真がヒラリと落ちた
女性と・・一緒に写っているのは隣の女性より少し背の低い男性
戦闘服を身に纏っており、なにやら女性は説教されている様子だった
写真の裏を見ると、にじんだ文字で『正化33年 堂上教官と一緒に』と書いてある

「堂上?正化33年って2021年?130年前か?」
俺はその写真を手に、母親の元へ行った
「お袋!この写真見憶えある?」そう言って渡すと、「あら。こんなところにあったの?」と言って
大事そうに受け取った
「この写真はね。私の曽祖母さんの若い頃の写真よ」
これと一緒に本が無かった?と聞かれ「あったよ。青い童話の本」と答えると
「その本はね。曽祖母さんと曽祖父の出会いの本なのよ」
うふふと笑って何やら思い出している素振りを見せる

「ふーん。そんな大事な本なのに、どうして俺の部屋にあるんだ?」
「あーーー多分、隆が小さいときに寝る前に読み聞かせをしてたから、その時から置きっぱなしだったのね」
「随分といい加減だな・・・」
「んーーーそう?」と言って天然の母は見つかったならいいじゃないとニコニコしている

「良く見ると、隆って曽祖母さんに似てるわね・・隔世遺伝?」と言って両手で隆の顔を挟みジッっと顔を見る
「近い!近いよお袋!」
「なぁーーーにしてんのぉーー?」と呑気に遙がリビングへ寄ってきた
「あら。遙は曽祖父さん寄りなのね」
「何が?」
これよ。と言って、古びた写真を遙に見せると
やっだーーこの子可愛い!!って言うかこっちの男性もカッコいいじゃん!と興奮気味で話す
オイオイ妹よ・・・この二人は曽祖母さんと曽祖父だぞ・・・
相変わらず素っ頓狂な妹を、隆は呆れながら見ていた