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図書館戦争 堂郁 あなたに逢いたい

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図書館の中に入ると、館内は学生で溢れかえっていた
「・・・すごいな・・本が沢山ある・・・」
え?ツッコムところそこなの?と遙は言い、「まぁ普段は電子書籍がメインだからね」
と、特設コーナー近くにあった雑誌を手に取りパラパラとめくる
隆はキョロキョロと周りを見渡した後、「俺ちょっと館内見てくる」と告げると
私この辺で本読んでるわと遙が答えた

館内をゆっくりと廻りながら、途中で本を手に取りパラパラとめくる
本の匂い。紙の質感。そして重さ。すべてが嬉しくなる
「やっぱり本はこうじゃないとなぁ〜」と、本棚に戻すと後から声を掛けられた

長い黒髪の女性
日本人形のような顔立ちで、とても綺麗な女性だった
「何かお探しでしたら、リファレンス致しますが?」と二コリと微笑まれた
・・・のだが、何だかおかしい・・本来ならば高鳴るはずの心臓が違う意味で警笛を鳴らしている
近寄ってはいけない・・・隙を見せたら食われる・・・そんな気持ちが沸々と湧き上がる
「いえ・・大丈夫・・です」と引きつった顔のまま頬笑みがえし「ありがとうございました」と言って
その場を足早に離れた

その後、閲覧室、遊戯室と廻っていると、遊戯室の扉が開いた
保護者だろうか?数人の女性が子供と一緒に部屋から出てくる
「いくちゃんまたあしたねぇー」
「いくちゃんつぎいつえほんほんでくれるのぉー?」
遊戯室の奥に座る女性に向かって一生懸命話しかけている
「んーー次はクリスマスの時かなぁ?」
「うん。わかった。またねいくちゃん!」バイバイと手を振りながらドア付近にいる母親の手を取り
出て行く
残された女性は「よいしょ・・」と呟き、散らばった本を集め始めた
俺は「よいしょって・・・」と呟きクスクス笑う
すると、「え?あら・・聞こえてました?恥ずかしいなぁー」と言って集めた本を持ち出口に向かって来た
「あ・・すみません。つい聞こえたので・・失礼しました」と軽くお辞儀をすると
「いいえ・・そんなご丁寧にどうも・・」と訳のわからない返事を返してきた

あれ?この女性・・・スーツ姿だから気付かなかったが・・・曽祖母さん?
ジッっと見つめると、「なんですか?」と首を傾げて聞いてくる
あ・・・曽祖母さんだ
俺は確信したが、ここで正体を名乗っても意味がない
正直に話しても信じてもらえないだろう
もちろん、最初から素性を明かすつもりもないのだが
「いいえ。知り合いに似ていたので」と手を振り、失礼しますと声を掛け、遙の元へ向かった