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図書館戦争 堂郁 あなたに逢いたい

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ボートを降りた後も、郁の顔は赤いままで、堂上に「何した?」と聞かれ「別に何もしてません!」と
答えるものの、挙動不審な動きを見せていた

「兄貴さ、郁ちゃんに何か言ったの?」
「いいや?別に何も」
「だって郁ちゃん戻ってきたからおかしいよ?」
「世間話をしただけだよ」
そかなぁー絶対何か言ったハズだよね?と疑いの眼差しで見る遙の頭をポンポンと叩き
「そろそろ時間じゃないのか?」と話題を逸らす

懐中時計を見ると、14時30分だった
滞在期限は後30分
自分の意思で戻ることも出来るが、折角ならば”お迎え”が来るまギリギリまで一緒に居たい
後にいる堂上と郁に向かって振り返り、園内を散歩しませんか?と提案する
四人は林の中を歩きながら、紅葉を楽しんだ

残り時間は五分
隆は立ち止り、堂上と郁に頭を下げた
「今日はありがとうございました。楽しかったです」
「礼を言われることはしとらん」
「いいえ。折角の公休を俺達の為に割いてもらいましたから」
「別に構わん。予定も無かったしな」
「はい・・あの・・そろそろ俺達帰らないといけないので、ここで解散でいいですか?」
「?駅まで一緒にいくぞ?」
何時の新幹線で帰るんだ?と堂上は腕時計で時間を確認する
遙も郁と最後の挨拶を交わし、「郁ちゃん、私のこと忘れないでね!」と抱きつく

隆は遙をペリッと引っ張がしながら、小声で「いくぞ」と声を掛ける
もう一度、二人に軽く会釈をし
「貴方達のことは忘れません。いつか・・どこかで逢えたら・・声を掛けてください」
ふにゃりと笑い、遙の手を取り歩き出す

堂上が「オイ!」と声を掛けるとの同時に、突風が吹いた
枯れ葉が舞い、砂埃がたつ
落ち着いた頃合いで堂上が目を開けると、目の前を歩いていたハズの二人の姿が見えない
郁もキョロキョロ廻りを見渡しながら、「あれ?走ってったのかな?」と首を傾げている

堂上は空を見上げた後、ふぅーと深い息を吐き、「帰るぞ」と郁に声を掛け歩き始めた



現代に戻ってきた二人は、予想通り膝詰め説教二時間コース&謝罪文を作成し
ヘロヘロになりながら、帰宅した

キッチンから出迎えた母親が「どうだった?逢えた?」など遙に向かって話しかけている
隆は冷蔵庫からビールを取り出し、リビングのソファーにドカッと腰掛け、ゴクゴクと飲み始める

ふとサイドテーブルを見ると、隆宛の郵便物があった
「ん?」
裏を見ても差出人の名前が書いてない
戸棚の引き出しからペーパーナイフを取り出し封筒をを開けると
中にはもう一通の封筒が入っていた
「何だ?」
中に入っていた封筒を引き抜くと、宛先は「本田隆様」とあり、裏面には「堂上篤」と記述があった
「えっ!えぇぇぇぇ!!」
急に隆の叫び声が聞こえ、キッチンの方から母親と遙が「どうしたの?」と声を掛ける
隆は封筒を手に持ちながら、「いやっ何でもない」と言ってソファーから立ちあがり
「俺、着替えてる」と声を掛け、自室へ慌てて入った

部屋の鍵を掛け、もう一度封筒を見る
1枚目の封筒には、手紙が一枚入っていた
恐る恐る開くと、几帳面な字で同封の封筒について説明が記述されていた

−−− 遺言により、本田隆様宛に送付致します −−−

もう一通の封筒を丁寧に開け、便せんを取りだす
中からは手造りだろうか?カミツレの栞が入っていた

−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 本田隆様
   逢えて良かった
   逢いに来てくれて、ありがとう
 堂上篤
−−−−−−−−−−−−−−−−−−

太く力強い文字で、たった二行だけだが、隆は嬉しくなり目頭を押さえた
「俺も逢えてよかったよ・・曽祖父さん・・」
隆はカミツレの栞を握りしめ、青い童話の本に挟んだ

end