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図書館戦争 堂郁 あなたに逢いたい

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三日目の朝、手荷持つが殆ど無い二人は、ホテルをチェックアウトし
待ち合わせ場所に向かった

駅に着くと、眉間に皺を寄せ、八割増しの仏頂面の堂上が既に待っていた
恐る恐る声を掛け、「笠原さんは?」と聞くと
堂上は腕時計を確認し「そろそろ来るだろう」とポツリと答えた
暫くすると、人混みの中を猛スピードで走ってくる郁をとらえる
「すっすみません!!お待たせしました!!」肩で息をしながら堂上に頭を下げる
「大丈夫ですよ。俺達も今来たところですから」
隆が声を掛けると、チラリと堂上を見て不安げな表情を作る
「俺も大して待っとらん。いくぞ」と言い、3人に切符を渡す
「切符代・・」と声を掛けると「構わん」と言いスタスタと改札口に向かって歩き出す
郁は「教官待って!」といい後をついて行く
隆達も郁の後を追うように歩き出した


吉祥寺の駅から10分程度歩くと、井の頭公園についた
園内を散策するもヨシなのだが、
朝から堂上の機嫌はすこぶる悪く、移動中も一言も話さない
このまま一緒に行動するのはとても気まずい・・

−−−何か逃げ道はあるか?

井の頭公園の向かいに、井の頭動物園があった
「折角なので、動物園に寄ってみませんか?」
隣にいる堂上に声を掛けたあと、郁と遙にも「どう?」と尋ねる

四人は動物園の中に入り、モルモットやリス、鹿や狸を見て廻った
郁と遙は可愛いぃーとはしゃぎながら喜んでいる
隣の堂上をチラリと見ると、先程までの仏頂面から一転し、とても優しい表情になっている

つい、隆はクスッと笑ってしまった
「何だ?」
「いいえ、気にしないでください」
堂上は怪訝な顔をしたが、郁が「教官!こっちにサルが沢山いますよぉー」と手をぶんぶん振って呼ぶ
堂上は近づきながら郁に話しかけた
「お前も混ざりたいのか?山猿だからな」
「ひっどーーーい!!」
「そう怒るな。お前の声でサルが吃驚してるぞ!」
頭をポンポンとすると、単純に機嫌は直りサル山を見ながら遙と話している

その後も野鳥やアライグマ、ベンガル山猫を見て歩いた
一通り見終わると、お昼近くなり「そろそろ昼食にしませんか?」と郁がお腹を触りながら問いかける
「少し離れるが、駅近くに人気のベーカリーショップがある。行くか?
 買った後、園内で食べてもいいだろう」
「はい!!」

四人はパン屋でクリームパンやらキーマカレーパンなどを購入し、園内に戻った
横隣に空いていたベンチに郁と遙、堂上と隆がそれぞれ座り、購入したパンを食べながら「おいしいぃーー」と大喜びの郁
遙も郁と同じように喜び、パンを頬張る

隆は堂上に小声で話しかける
「堂上さん、この後ボートに乗りたいんですけど、いいですか?」
「ん?構わんが?」
そんなに楽しくないと思うがな・・と堂上は隆を見て答える
「・・・笠原さんと一緒に乗ってもいいですか?」
「・・・・・・」
「堂上さん?」
「何故俺に聞く?笠原が良ければいいんじゃないか?」
堂上は缶コーヒーをグビッと飲み干した

食事も終わり、次はどこに行く?と遙が郁に纏わりつきながら聞いている
隆はボートに乗ろうと提案し、乗り場まで歩いた
ボート乗り場入口は売店があり・・と言うより、売店がボート乗り場の入口になっており
外では美味しそうな匂いが広がり、先程食べたばかりなのに、郁は「美味しそう・・・」と眺めている

隆は郁に近づき、一緒に乗ってもらえませんか?と聞くと、私で良ければと快い返事を受けた
手漕ぎボートとサイクルボートの二種類から選べるようだが
天気が良いと言っても、若干寒いので、サイクルボートにした

ペダルをパタパタと漕ぎ、池の中心付近までたどり着いたところで、隆は郁に話しかけた
「笠原さん、図書隊になる切っ掛けは何だったの?」
「え?!」
郁はキョロキョロと廻りを見渡し、落ち着きが無く、暫くすると顔を赤くし答えた
「学生の頃、地元の本屋さんで良化隊と遭遇して、たまたま居合わせた図書隊の方が本を守ってくれたんです///」
「それで?」
「私も助けてくれた図書隊の人みたいに、本を守りたいと思って、入隊を決めました///」
「その図書隊の人には逢えたの?」
「・・はい///」
郁は顔を下に向け、モジモジしながら「逢えたというより、他の人から聞かされたと言うか・・・」とシドロモドロになった
「私、助けてくれた図書隊の方の顔を全然覚えてなくて
 それでも、入隊すれば逢えると思ってて・・・その人に逢ったら「あなたを追いかけて来ました」って伝えたかったんですけど・・」
「・・・・・まだ言えてないの?」
「・・・言える状況じゃなくて・・」
「ふーーーん」

隆はチラリと堂上達のボートの位置を確認した
距離は左程離れていないが、大声で話さない限り会話は聞こえてないだろう
「その図書隊の人って堂上さん?」
「えぇぇぇぇ!!!!!」
郁が大声で叫ぶ
隆は耳を塞ぎながら「笠原さん落ち着いて!」と言って郁を宥める

「ごっごめんなさい///」
しゅんと肩を落とし、項垂れながら上目遣いで「どうしてわかるんですか?」と聞く
「当ずっぽうだよ。俺が知ってる図書隊の人は小牧さん、手塚さん、堂上さんしか知らないからね
 消去法で考えると、堂上さんか小牧さんでしょ?
 さらに俺の観点から絞り込んで堂上さんだと思っただけだよ」
郁は目をパチクリさせながら隆の顔を伺う
「それにさ、笠原さんは・・堂上さんの事どう思ってるの?」
首を傾げて郁に問いただすと
「上官として尊敬してます。教官の背中を追いかけていきたいって思ってます」
まだまだ未熟で、手間のかかる部下ですけどね。と苦笑いする
「うーーん。じゃさ、一人の男性としてはどう見てるの?」
ボンッと郁の顔が茹でたこのように赤くなる
「え?あっ・・そのぉー」
「ん?俺誰にも言わないよ?教えてよ、笠原さんの気持ち」
「・・・カッコ良くて・・素敵な方だと思います///」
でも何でそんな事聞くんですか?と隆を見て言う
「興味があっただけだよ。
 人の恋路にチャチャ入れると、馬に蹴られるけどね」
クスクスっと笑うと、郁は「恥ずかしい・・・」と両手で顔を覆いモジモジしている

そろそろ戻ろうか?と言って、まだ顔の赤い郁に声をかけ、ペダルを漕いだ