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【デジ無印 番外】 危機

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(私ハコノデジタワールドニモ、オ前タチノ世界ニモ住ムコトガ出来ナイ、イワバ存在ヲ持タナイモノダ。ダカラ私ニ住ムコトガデキル世界ヲ用意スル必要ガアルノダ。)
「だからあのデジモンたちを利用して、このデジタルワールドを乗っ取ろうと考えていたんですか?」
(マア、ソンナトコロダ。ソシテ今ノ私ハ私ノ願イヲ叶エルダケノ力ヲ蓄エルコトガデキタ。マズハ邪魔ナオ前達を消シ去リ、負ノ力ガ支配スル世界ヲ作リ上ゲル!)
「そんなこと、させてたまるか!!」
(威勢ハイイガ、出来ルトデモ思ウノカ?サッキオ前達ノデジモンガ究極体ニ進化シテイタヨウダガ、ソレデエネルギーヲ使イ果タシタシマッタダロウ。残リノ子供達ハツイ先程マデ捕エラレテイタカラ、思ウヨウニ力ガ出セナイダロウ。ソノ程度ノ力デ私ヲ止メルコトハ出来ン!)
その迫力に、子供たちは圧倒される。
なんてことはなかった。
「全然そんなことないわ。」
「うん。オイラたち、まだまだ戦えるよ。」
「せや、わてら元気ぴんぴんやで。」
「おそらく、さっきデジモンたちの魂が解き放たれた時の光が、僕たちに力を与えてくれたんです。」
「タケル、僕も元気いっぱいだよ。」
「そうなの?パタモン。」
「オレも大丈夫だ。」
「私も戦える。」
「私だって。」
「太一、ボクたちみんな戦えるよ!」
「アグモン。よし皆、あいつを倒そう!」
「おう!」
子供たちとデジモンたちは、黒い煙と向き合う。
(愚カダナ。アノ世デ後悔スルガイイ!)
煙が一箇所に集中する。そして、それを子供たちに一気に放出させてきた。
「うわっ!あああああ!」
(コレハ黄泉ノ瘴気ダ。大量ニ浴ビレバ、オ前達ノ体ハ消エ去ル!)
「まずい、このままじゃ!」
(消エ去レ!!!)
より一層攻撃が激しくなる。
「うわああああああああああああぁあぁぁあぁ!!!」
「ちくしょう、負けてたまるかあぁ!」
すると、その叫びに応えるかのように、子供たちの心の中にある紋章が光る。
今度はテントモンたちは究極体に進化しなかった。進化したのは・・・
アグモンとガブモンの体が宙に浮かび上がる。そして光となり一つになった。一つになった光は卵の形になる。
そしてその卵の中から、一体の究極体デジモンが現れた。
「オメガモン!!」
オメガモンは、ただその場に姿を現しただけで煙を吹き飛ばした。
(何ダト!?)
「さすがオメガモン、すごいパワーだ!」
オメガモンが左腕からグレイソードを、右腕からガルルキャノンを出現させる。ただ、よく見ると双方の武器から光が伸びている。その光は、子供たちとつながっていた。グレイソードはミミ、ヒカリ、光子郎、太一に。ガルルキャノンは空、タケル、丈、ヤマトに。
「すごい、丈たちがオメガモンとつながっている!」
「ほんまや!」
「二人とも、今みんながどうなっているのかわかるの?」
「すごーい!」
「ううん全然。オイラ難しいことよくわかんないもん。」
「わてもよくわかりまへん。」
(小癪ナ。貴様ラハ消エ去レト言ッテイルダロウガ!!)
その怒りに呼応して、黒い煙の上空が鈍色に染まる。
(ダークネスエターニア!!)
放たれた鈍色の波動は、オメガモンを直撃した。しかし、子供たちとつながっている光が切れることはない。次の瞬間、爆音が轟き、ダークネスエターニアは霧散した。
(エエイ、小癪ナ小癪ナ小癪ナ小癪ナ小癪ナ小癪ナアアアアアアアアアアアァァァッ!!!)
「これで終わりだ!!」
オメガモンが右腕の、愛情、希望、誠実、友情のガルルキャノンを放つ。砲撃は、一直線に黒い煙を貫いた。
(グオオオオオオオオオオオオオオオッ!!)
そして、オメガモンは黒い煙との距離を一気に詰め、純心、光、知識、勇気のグレイソードで斬りぬく。
その一閃は、実体のないはずの黒い煙を真っ二つに切り裂いた。
(ギィ、ヤアアアアアアアアアアアアアアア!!!)
絶叫とともに黒い煙がだんだんと小さくなっていく。
(アアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ・・・)
そして、黒い煙は完全に姿を消した。
静かになった空間に、元気な声が聞こえてきた。
「たいち、たいちぃ!」
「やまとぉ!」
「やったぞコロモン!」
「良くやったな、ツノモン!」
「空、大丈夫?」
「うん、全然平気よ。それどころかとっても気持ちよかったわ。」
「うん!なんか力が湧いてくるようだった!」
「オメガモンの力が、僕らに流れ込んできているようでした。」
「ぼくたちも、なんかあの時より凄く強くなれたような気がしたよ。」
「そうか、きっとあの時俺たちとオメガモンが一つに合体したんだよ。」
「合体した?でも僕らは別にオメガモンと一体化はしていないぞ?」
「いえ、太一さんの言う通りかもしれません。確かに、僕たちはオメガモンと一体化はしていませんが、あの時確かにオメガモンの力が僕たちに流れ込んできました。コロモン達もそれを感じていたということは、僕たちとオメガモンは一つに繋がっていたんだと思います。」
唐突に、やんやと歓声が上がった。驚いて見回すと、今まで隠れていたデジモンたちや飲み込まれていたデジモンたちが喜びの声を上げている。
「これでまた、みんな元の生活に戻れるのね。」
「僕たちもそろそろ帰らないか?特に太一たちは昨日から行方不明ってことになってるから、お母さんたちも心配しているぞ?」
「げっ、マジで?」
「お兄ちゃん。帰ろうよ。」
「そうだな。親父たちにこれ以上心配かけられないしな。」
「よし、帰るか。」
そして一行はゲートが開いている場所まで移動した。
「じゃあ、アグモン。またな。」
「太一たちも元気でね。」
「ああ、もちろんだ。またな。」
別れを告げ、ゲートをくぐろうとしたときそれを呼び止める声があがった。
「丈、オイラかっこよかった?」
「空、私かっこよかったかな?」
「光子郎はん、わてかっこよかったでっか?」
「ミミ、あたしかっこよかった?」
なんだかんだいって、みんな究極体になれたことが嬉しかったらしい。この質問に、パートナーは笑いながら口を揃えてこう言った。
「うん。凄くかっこよかった。」
そして子供たちは帰路へと付いた。
その後、太一とヒカリ、タケルとヤマトは両親から(正確にはタケルとヤマトは母と父から)無事戻ってきたことを喜ばれ、そのあとこっぴどく叱られた。そして丈は塾から出された宿題が明日までだということを思い出して慌てて宿題に取り掛かり、空は最近母から教わっているテニスに打ち込み、ミミはもみじ饅頭を家族一緒に食べ、光子郎は今回起こった出来事について色々調べ始めた。まあ、要は皆それぞれの日常に戻っていったわけである。