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【デジ無印 番外】 危機

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「ずっとあそこにいたら一生悲しい気持ちのままでいないといけないなんて。そんなの嫌よ!」
「そうね。もしかしたら魂が解き放たれたら、また新しく生まれ変われるかもしれないわよね!」
「そうだな!やろう!」
「でも、ここからどうやって抜け出せばいいのでしょうか?」
「そら、光子郎はんらが願えばええことですわ。」
「願う?」
「そう、今皆さんが心に強く持ったその思いを果たせるように願うんです。」
「私たちの思いを強く願う。」
「ここはあいつの心の中の世界だから。そうすればきっと、元の場所に戻れるよ。」
「あなたたちのその気持ちは、どんな力よりも強いものだから。」
「わかった!」
そして子供たちは願った。
「あたしたちは、あのデジモンを倒して、デジタルワールドを助けたい。そして、あのデジモンを、デジモンたちの魂を解き放ってあげたい!!!」
すると、視界に再び霧がかかった。そして暗転し、気がつくと元の場所に戻っていた。
(い汰い、差ビシ位、弩牛テ、くる司イ。多寿・・・。)
(クッ照遣ル。世ン分喰ッテヤル!オ前ラモ、此ノセ界モ全部!)
デジモンたちの魂は、大きく吠えながら突進してきた。それでも子供たちはひるまない。正体がわかった以上、そして、自分たちが為し得たいことが見えた以上、もう恐れることはない。
「いくらデジモンワールドの歪みが正されても、死んでしまうデジモンがいなくなったわけじゃない。」
「シェイキングパルス!!!」
プレシオモンの口から放たれた強力な超音波が、相手の体を貫いた。
「世界の時間が進んでいる以上、それは仕方の無いことなのかもしれません。でも、幸せなにれないことは、仕方のないことではありません!」
「ギガブラスター!!!」
ヘラクルカブテリモンのすべてを粉砕するエネルギー弾は、過たず胴体に直撃する。
「私たちが、あなたたちの辛い思いを受け止めることはできないけど、あなたたちが生まれ変わって幸せになることを願うことはできるから!!!」
「スターライトエクスプロージョン!!!」
ホウオウモンが大きく広げた四枚の翼。そこから放たれた光の粉を浴び、デジモンの体が淡く光りだす。その背後からは黒い煙のようなものが上がった。
「だからお願い!!その悲しみを、苦しみを失くして!!!」
「フォービドゥンテンプテイション!!!」
どこからともなく現れた無数のバラの花。その花に囲まれ、デジモンの腕が、足が、少しずつ消滅していく。やがて消滅した体は塵となる。
(ウォ、おオォォぉオオぉぉオお・・・!)
塵は一箇所に急速に集まる。そして次の瞬間、豪音と共に爆散した。
目を開けていられないほどの閃光が消え、子供たちは目を開けた。するとそこには・・・
「あれ、ここは・・・」
「俺たち一体どうなってたんだ?」
「ここどこ?」
「テイルモンたちは?」
気がついて起き上がった太一、ヤマト、タケル、ヒカリ、アグモン、ガブモン、パタモン、テイルモンの姿を認め、丈、ミミ、光子郎、空、そして成長期に戻ったゴマモン、ピヨモン、テントモン、パルモンは駆け寄った。
「太一さん!」
「アグモンはん!」
「ヤマト!」
「ガブモン!」
「タケル君!」
「パタモン!」
「ヒカリちゃん!」
「テイルモン!」
辺りを見回すと、太一たちだけでなく他にも飲み込まれていたデジモンたちの姿があった。
「よかった、みんな元に戻れたのね!」
喜ぶ四人の子供たちとデジモンたちに対し、事情がよくわからずきょとんとしている四人の子供たちとデジモンたち。
「元に戻れた?」
「どういうことだ?」
「何も覚えていないのかい?」
「ううん。ほんのちょっぴりだけど覚えてるよ。」
「確か、急に暴れだしたデジモンを倒すために俺たちはデジタルワールドへ行って・・・」
「ボクたちが進化して戦ったけど、全然かなわなくて。」
「それでなんとか完全体に進化しようと思ったけどできなくて。」
「僕たちが負けちゃったあと、あいつがこっちに近づいてきて。」
「それからは何も覚えていない。ただ闇の中を漂っていたような感じは残っているけど。」
「それだけしか覚えていないの?なんか、無意識のうちにあたしたちを応援していたとか、そんな記憶はないの?」
「いや、無いな。」
「そうかい。じゃああの時聞こえてきた声ってなんだったんだ?」
「さあ、僕にもよくわかりません。」
「それより、あいつはどうなっちまったんだ?」
「あいつらならもういないよ。オイラ達が倒したからね。そうだよな?丈。」
「ああ、聞いてくれみんな。なんと、ゴマモンたちが究極体に進化したんだ!」
「ゴマモンたちが究極体に進化した!?」
「すごい!!」
「どんなデジモンだった!?」
「みんなすごくかっこよかったわよ。」
「ちぇ~、見たかったな。」
「あとで、デジモンアナライザーで見ることはできますよ。」
「デジモンアナライザーよりも生で見たかったぜ。」
「でも究極体に進化したのに、今は成長期に退化しているのか?なんか不思議じゃないか。」
「あ、そういえばそうね。」
「確かに、どうして幼年期じゃなくて、成長期に退化したのかしら。」
「エネルギーをそんなに使わなかったとも思えないしなあ。」
「オイラ達にもよくわからないけど、あいつが爆発した時に出た光を浴びたら、疲れがなくなったんだよ。」
「そうそう。あたしたち疲れてたはずなのに、今は元気なの。」
「あの光になんか力があっとんとちゃいますか?」
「きっと、魂が解き放たれた時に出た光だからよ。」
「魂が解き放たれた?一体、なんのことだ?」
「そっか、太一さんたちは事情を知らなかったんだ。実はね・・・」
(オノレ子供タチ、ヨクモ器ヲ破壊シテクレタナ!)
「誰だ!?」
「あ、あそこ!」
ヒカリが指差す方向を見ると、黒い煙が集まり顔のような模様になっている。
「あの黒い煙!」
「私が必殺技を出した時に出てきた煙!」
そう、それはホウオウモンがスターライトエクスプロージョンを放った時に出現した、あの黒い煙だった。
(今マデ器ノ中デ成長シテキタトイウノニ!)
「成長してきた?」
「器って、まさかさっきのデジモンのこと!?」
(ソウダ。アレハ負ノ怨念ガ集マリ生マレタモノダ。私ニトッテコノ上無イ器ダッタ。)
「ひどい。」
「ちょっと!あんたには良識ってもんがないの!?」
(馬鹿カオ前ハ。私ニ良識ナドアルワケガナカロウ。ソレニ勘違イスルナ。私カラアレニトリ憑イタワケデハナイ。アレガ私ヲ呼ビ寄セタノダ。)
「あのデジモンから呼び寄せた?」
(ソウダ。アレカラ湧キ上ガッテイタ、恨メシイ思イガエネルギートナリ私ヲ呼ビ寄セタノダ。)
そこで黒い煙が動き出し、顔のようなものが出来上がる。
(アノ器ハトテモ居心地ガ良カッタ。ソレヲヨクモ破壊シテクレタナ!)
突然、豪音と共に子供達とデジモンたちが吹き飛ばされた。
「うわぁあ!!」
(ダガ、私ハ今完全ニ成長ヲ遂ゲルコトガデキタ。今コソ、私ノ願イヲ果タス時ガ来タ!)
「お前の願いってなんだ?」
(私ノ願イハ、私ノ住マウ場所ヲ作ルコトダ。)
「住む場所を作るだって?」