二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

こらぼでほすと 厳命10

INDEX|2ページ/2ページ|

前のページ
 

「まあまあ、教官殿。」
「ニールの容態は? 報告からするべきでしょ? ロックオン。キラから聞いたけど、実際は、どうだったの? 」
 さらに、フェルトからマトモな注意だ。普通は、その報告が先にあって然るべきなのは事実だ。
「元気とは言いがたいけど、まあ、元気だと思う。・・・フェルト、悪いんだが、お茶を淹れてくれよ? バウンドケーキを切り分けるからさ。」
 ロックオンは陽気に、キャリーケースを開ける。そこには、満杯のお菓子だ。それも、クッキーや焼き菓子は、一人分ずつラッピングもされている。
「とりあえず、こっちは各人、一つずつな。ケーキは切り分けるぞ。」
 はい、と、刹那にも袋をひとつくれた。これを作れるということは、それなりに体調は安定しているのだろう。チョコチップのクッキーを一枚取り出して、パクリと齧る。それほど甘くない上品な味だ。それを味わうと、ふわっと刹那も頬が緩んだ。
 それを見て、アレルヤも一枚取り出して、カプッと齧ってみる。いつものニールの味に、ほんわりとした気分になる。
「やっぱり、ニールのお菓子はおいしいね。」
「アレルヤ、それを味見させろ。」
 半分になったチョコチップクッキーを持っていたアレルヤの手が強引に、ティエリアの前に移動させられる。カプッと齧ると、ティエリアも上品に微笑んだ。ささくれていた気分が消滅する。
「さすが、ニール。」
「ティエリア、それ、ずるいよ? 」
 フェルトは、自分の分を食べないティエリアにツッコミをひとつして、当人はお茶を淹れている。
「刹那、俺の分はやるよ。俺、味見してきたから、もういいや。」
 ロックオンは、自分の分を刹那に渡す。地上で、プリンだのクッキーだのは食べてきたから、それほど甘いものは欲しいと思わない。
「それなら、ティエリア、これはミレイナに渡してやれば、どうだ? 」
「そうだな。後で渡してやろう。」
「あ、ちょっと待って、それなら、このケーキもお裾分けしてあげればいいじゃない? ちょっと呼んでみるよ。」
 ケーキは、三本あった。他のスタッフにも分けてやればいい、と、ニールが多目に用意したものだ。ミレイナは甘いものが好きだから、ロックオンがいらないというなら、そちらに差し上げればいい、と、アレルヤが携帯端末を開く。すぐに、お茶は用意されて配られた。それとケーキもだ。
「とりあえず、兄さんは無事だ。・・・・この通り、差し入れを作れるぐらいには体調は安定している。」
「予定より早くダブルオーは完成できそうだ。キラたちが手伝ってくれたから助かった。」
 キラとアスランとハイネというハイスペックな助っ人たちが、数日、手助けしてくれたので予定より仕上がりは早くなる。それを刹那が、口にすると、全員がほっとした顔になって笑った。
「久しぶりに、ニールと宇宙で逢えるんだね? トレミーが新しくなってて、びっくりするかな。」
「それよりも、スメラギやイアンが五月蝿いぞ? ミレイナにも紹介しなければならないな。」
「二人、並んだら見分けはつかないよね? ちょっとびっくりさせられるかも? 」
 そんなことを言い合っていたら、てってけてっとミレイナがブリーフィングルームに走りこんできた。きゃあーと眼の前のお菓子に、声をあげる。その様子を眺めて、ロックオンは微笑んだ。どうして、今まで誰も気付かなかったんだろう、と、不思議に思う。この光景が、何よりニールの癒しだというのに。
 実は、この模様をハロに録画させている。映像をデータにしてティエリアに暗号通信で、キラ宛にでも送ってもらえれば、ニールに見せてやれるのだ。これが、ニールには何よりのクスリで、きっと体調は安定するはずだ。





 後日、ハイネが仕事が終わって寺へ戻って来た。手には、ディスクに落としたデータがある。
「ただいま、愛しのママニャン。」
 声をかけつつ、居間に顔を出したら、坊主が手を挙げた。その手は、指し示すように形を変える。卓袱台から少し離れたところで、寺の女房は午睡している。
「おや? 紫猫もどきは? 」
「散歩に出かけた。・・・・終わったのか? 」
「まあ、なんとかな。」
 オールセルフサービスなのて、ハイネは勝手に台所から缶ビールを運んでくる。プラントへ戻って、スケジュールギリギリでダミーと交代した。地球に降下して、ようやくキラは添付ファイルの入ったメールに気付いた。データを確認して、キラは穏やかな顔で、それをディスクに焼き付けて、ハイネに託した。
「今月末のイベントの後ぐらいで、ママニャンは拉致るぜ? 」
「おう、早かったな。」
「そりゃもう、あんた。あっちで突貫工事さ。俺ら、ほとんど不眠不休で働いてきたんだから、それぐらいは短縮される。」
 ヴェーダの作業を終わらせて、組織のラボまで遠征した。いつになくキラが、真面目に働くので、ハイネも休んでいられなかった。プラントからの帰路なんて、護衛をするどころか、三人が爆睡したまま大気圏降下したほどだ。
「俺は死体の第一発見者にされるとこだった。」
「・・・あー、それも大変だったな。」
 どっちも詳しい話はしないが、それで通じる。ぐびーっと缶ビールを飲み干すと、お代わりを運んでくる。今度は、坊主の分も配達だ。
「目処は立った。今年の年越しは大騒ぎができそうだ。・・・ママニャンは、どうだ? 」
「多少、動きは制限している。生きてるぞ。」
「それなら助かる。あんたんとこの上司様には、重ね重ね、お礼を申し上げたいところだ。」
「サルには甘いからな。」
「あんたにもじゃないか? 」
 ゲラゲラと笑いつつ、缶ビールをコチンと坊主のと合わせて乾杯する。卓袱台にあるディスクを見せたら、寺の女房は嬉しそうに笑うだろう。それを予想すると、ハイネも顔が緩むのを止められない。
作品名:こらぼでほすと 厳命10 作家名:篠義