僕と彼女とストレンジャー
「ふう…」
二人の姿が部屋に入るのを確認し、とりあえずは安堵するキヨテルの服の裾を、お父さん、と外に出てきたユキが遠慮がちに引いた。
「ミキちゃん、ここにいてもいいの…?」
良い訳がない。やはり警察に行くべきだろうか?だが不審人物を残して家を空ける訳にはいかないし、警官に来てもらって騒ぎになるのも…。
考え込むキヨテルの服が、再び引かれる。
「お父さん、お腹すいた…」
服を掴んでキヨテル見上げるユキの隣では、自称アンドロイドの少女が、捨てられた犬みたいな哀れっぽい表情で、お腹に手を当てるジェスチャーをしていた。
「大変空腹です、キヨテル。早く食事にして下さい」
「……」
何か、どっと疲れた。
そして腹も空いていた。
「……とりあえず……ごはんにしようか」
何事も、とにかくここは夕飯を食べてからにしよう。そうしよう。
キヨテルはそう決めると、三人で家に入って、玄関のドアを後手に閉めた。
作品名:僕と彼女とストレンジャー 作家名:あお