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遊☆戯☆王ZEXAL THE ORIGINAL Ⅲ

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第3話【因縁の戦い!ガスタVSリチュア!!】




「えっ?…えみりー?」


…助けて…そんな言葉を残し通話が途切れたことに、風香は心配そうに顔色を曇らせた。


「海里、なんだって?」

風香の顔色を伺うように聞けば、風香は首を傾げる。

「雑音が酷くてよく聞こえなかったけど…なんか…助けてって…言ってた気がする…」

助けて…その言葉に、僕の胸のデッキケースが震えだす。

「ジェムナイトが…恐がってる?…」

僕はジェムナイトから恐怖を受け取った恐怖をデッキを掴んで握る事で、風香に知らせると、風香はDゲイザーとデュエルディスクを掴み取り、走って部屋から出ようとする。

「待てよ!何処に行くんだ!?」

僕は風香の腕を強く掴んで止める。

「放してっ!!」


風香にしては、珍しく強い口調で僕の手を弾こうとした。が、風香は見掛けどおりに非力だ…そんな非力な手がいくら振るおうと、僕の手は放れない。

「待てって!訳が分からないよ!落ち着けって!!」

「なんで光輝は落ち着いてるの!!?海里がピンチかも知れないんだよ!!?」
海里がピンチ?、僕の脳裏にいやな予感が過る。

「……だからって何処に行くんだよ!!?」

「海里の家に決まってるじゃん!!」

「こんな夜にか!!?」

「決まってるじゃんそんなのっ!!」

このまま風香の手を離しちゃいけない…僕はそう感じていた、しかし風香は、そんな僕の股関を強烈に蹴り上げた。

「ぐほっ!!」


「海里は友達なんだよっ!!友達が危なかったら!!直ぐに助けに行くのが友達なんだよっ!!時間なんて関係ない!!学校なんて関係ない!!それが大会だって!!関係ないんだよ!!」

そんな事を喚きながら行こうとする風香の足を、僕は必死に掴んだ。

「駄目だ…まっ…回りの迷惑を少しはっ…」


「友達一人の命が危ないってのに!回りの迷惑なんていちいち気にならないよっ!」


強くいいながら僕の顔面に何度も何度も蹴りをお見舞いしてきた。


「光輝はいつもそう!!いつも正義正義口にするけど!!それで何が守れたの!!光輝は!!事故満足にジェムナイト達を振りかざして!!自分が強いって示したいだけなんじゃないのっ!?あたしはね!!光輝のそういうところっ!!大っ嫌いなの!!正義正義いうんなら!!まず身近な友達から!!助けるために動いてみなよっ!!!」

こいつ…言いたい放題言いやがって…僕の頭の中で切れる音が聞こえる様だった。

「風香!!!」

瞬間、俺は弾けるように立ち上がり、行こうとする風香のフードを掴んで引き寄せ、その頬を思い切りたたき飛ばした。


「んあっ!!」
華奢な彼女の身体は軽々とぶっ飛んで壁に激突し、すぐに壁に弾かれて倒れた。それからゆっくりと起き上がった風香は、僕の手形がついた頬に触れると、その瞳からジワジワと涙が溢れてくる。

「助けないなんて誰もいって無いだろうが!!!状況が分からないんだから動き様がないだろ!!!冷静になれよ馬鹿っ!!!!!」

頭が真っ白になった僕は心配で見に来た彼女の両親の前でも構わずに、思いっきり怒鳴り付けていた。そして怒鳴られた風香は、ボロボロ涙を溢しだし嗚咽を漏らす。

「っ…だって…だって!…海里が…海里がぁ…」

今にも声を挙げて泣き出そうとした風香の口を掴んだ。

「泣いてる暇はないだろうが!、先ずは一番家が近い洋助に電話だっ…殴って悪かった…」


そこで僕の胸元でジェムナイト達が光り輝き俺に力を与えてくれる。



俺は即座に胸元からDゲイザーを取出して耳に付けながら、風香にハンカチを押し付けるように差し出し、洋助に電話を発信する。


『光輝!ちょうどよかった!!』

掛けた筈の洋助からの焦った声が耳を突き抜ける。

「?…どうかしたのか?」

『あぁっ?…あっ…ああっ!海里の家が燃えてるんだよ!!』

「えみりー!!」

その声が風香の耳に届けば、風香は素早く行こうとする、が、俺は風香のフードを掴んだ。


「はなして!!!…お願いはなしてよー!!」

「いいから!少し落ち着け!!」


オレは、叫ぶ風香の身体を床に押し倒して覆い被さる事で身動きを封じ、洋助の声に耳を傾ける。


「海里は無事なのか?」


『ああ…それが、幸いお手伝いロボが近くにいたお陰で軽いボヤで済んで、大きな被害は出てない…聞いた話によると家の中には海里どころか人っこ一人いないんだってよ…』

洋助の息遣いが荒い所をみると、洋助は走りながら電話をしている事が自ずと理解できた。


「そうか…海里は無事か…俺は光に連絡を取るから、お前は海里の行きそうな場所を探してくれ」


『分かってる!ダチの命がかかってんだ!!燃えろ!!ラヴァルファイヤーッ!!』
洋助は、オレの耳を突き抜けそうな程の叫びと共に、通話を断ち切った。オレは耳鳴りがするのも気にせずに風香に視線を落とす。


「海里は無事だ、だが消息が分からない…」


それを聞いた風香は、泣き崩れそうに安堵の息を漏らす…しかしその表情は不安から途切れない。

「なら!直ぐに探しに行かなくちゃ…」


当然の反応ではある、風香は再びバタバタと暴れだすが、オレは覆い被さる姿勢から馬乗りに跨る形に変えそれを制止させる。


「待ってろ、俺達が動くのは最後だ…光に連絡すればあいつの事だから何か情報をえてる可能性があるだろ?下手に走り回るのは体力馬鹿の洋助に任せておけ…」


「…あう、そ…そうだね…」


不思議な体型で説得されている風香、だが、別に気にならないのか…素直だった。オレは直ぐに光に発信する。


『やあ、光輝君…久しいじゃないか…』

幼い女の子のようなか細く弱々しい声が耳から響いた。


「その声は闇(あむ)か?、なんでお前が光のDゲイザーを?」


『姉さんは先にお休みさ…多忙なんでね、だからこれからは僕の担当さ…そろそろ君からかかって来る頃合いだと思って、大好きなアニメを見るのも我慢して待っていたんだよ?感謝したまえ?』


奥歯にものが詰まったような偉そうな物言いは闇そのものだ…声変わりもしてないガキがっ!、とは言わず…。

『えみりーの家が燃えたって話だろう?…ハッキングした近くの監視カメラの映像を見るに…えみりーが家に火を付けたとみてまず間違いはないな』

「えみりーが?…また…なんでそんなことを?…重い!…光輝重い…」

僕の下で一緒に聞いていた風香が怪訝な顔をする。とともに、僕をペチペチと叩いてきたので、僕は風香を解放しDゲイザーをディスプレイモードに切り替えると、青白い仮面の少年が浮かび上がる。



『おや?風香もいるのかい?…光輝、君は本当に羨ましいなぁ…』


ディスプレイ越しに僕と風香を見ると、コホンと咳払いした闇は、気を取り直す。

『まあ、冗談はさておき…僕の目には彼女が何かに付かれているように見えるな…これが君たちの言っていたNo.というカードの能力なのかも知れないね…』


「カードが…人を操るっていうのか?」


そうだとしたらえみりーは…僕は改めて闇を睨んだ。