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遊☆戯☆王ZEXAL THE ORIGINAL Ⅳ

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第4話【夢の対決!?No.39 希望皇ホープVS宝石の騎士団!】


この事件は、風香と海里の闘いが終わったその後…家に帰っていた僕に起きていた事件である。

風香を乗せた救急車を見送った僕は、家を目指し歩いていた…途中までは火山洋助も一緒にいたのだが、学校から一番遠い僕の家まで送ってくれるような良心は彼にはないし、僕も送ってほしくはなかった…。

「あれ?」

僕の家に行くためには、僕の両親が運営する宝石店【ジェムナイト宝石店】の前を通らなければならない、時刻は零時、普段なら電気の消えた漆黒の街に成るはずの時間なのだ…。

にも拘らず、非常に街が明るいのである…、僕はもう一度時計を確認する…何度も見たところで、零時は揺るがない。


暫く様子を見ながら歩いていると、次第に明るいのが何なのかわかって来た…。

「…」

それは、沢山のパトカーの赤色灯が織り成す灯りだった…それが何を意味するのか、僕は既にわかってはいた…ただ、認めたくは…なかった。

「なんだよ…これ」

僕が見たのは、朝までは綺麗だったショーガラスがたたき割られ、変わり果てたジェムナイト宝石店の姿であった。

「こら、君は未成年だろ」

周囲を警戒していた警察官が僕の肩を掴んで振り向かせる。

「僕は高等光輝、このお店のオーナーの息子で…騒ぎを聞き付けて飛び出して来ましたっ、何があったのですか?」


我ながら即興の完璧な偽りだ…とはいいつつも、飛び出して来ました以外に嘘はない。すると警察官は気の毒そうに表情を曇らせた。

「高等さんの息子さんかい?なら、速く両親の所に行きなさい」


両親、その言葉に僕の思考が不安で生め尽くされる。
「両親が…どうか…?」

僕は穏やかを装いながら首を傾げて聞けば、警察官は目を反らす。

「お母さんは無事だよ…ただ…お父さんは…」

「両親は何処です!?」

僕は素早く、光がやるように警察官の服を掴んで詰め寄った。


「ご両親ならそこの救急車だよ、速く―」

言われるまでも無く僕は走って店に寄せるように止められていた救急車に飛び込んだ。

「―光輝―」


中では母が椅子に腰掛け、唖然とした様子で僕を眺めていた。

「父さんは!?」

僕は救急車に乗り込み、母の前で横になっている父を見下ろした。

「父さんっ!!!」


僕が詰め寄ろうとすると、母は僕の手を弾くようにして止めた。


「気を失っているだけよ…寝かせておいてあげて?」

そう言われてしまっては、僕も退かざる終えず、救急車内の長椅子に母と向き合う形で腰を下ろした。


「なにがあったの?」

聞いておいて何だが、伊達に色々な事件と立ち会っている僕には、既に見当は付いているのだが…確認したかった。

「強盗…商品全部よ?…信じられる?」


やはり…そうだった、しかも全ての商品を根こそぎやられたのなら、父じゃなくとも気絶したくもなるだろう。

「はあ、これからどうしたら…」

母は顔を手で覆い隠して身体を悲しみと怒りで震わす。

「ねえ…」

僕には疑問だった、何故ならジェムナイト宝石店には自動防衛決闘プラグラムが為されており、決闘アンカーと呼ばれる決闘しなければ外れない手錠が相手を拘束するシステムがある。全ての宝石やアクセサリーを盗むのに、あのシステムが発動しない訳がなく発動した場合、決闘人でなければそのまま御用となる代物なのだ。

「そうね…発動はした筈よ?ダイナマイトや火薬物を使ったような後は無いしショーケースはみんな鈍器で叩き割られてた」

並ば犯人は決闘人であり、アンカーを外したという事は…実力者であるか、あるいわ…。

「そう言えば、手の甲に変な入れ墨があったわね…数字見たいな…」

母は何かを思い出しそうな口振りで呟いた。

「って!母さん犯人と鉢合わせしたの!?」

「ええ…わたしは怖くて動けなかったし…犯人も何もしてこなかったけどね?」


当然の反応といえばそうだろう、後は気になる入れ墨の話である。


「その入れ墨ってどんな感じ?」


聞けば母は不快そうな表情をする。


「あんた…光ちゃんみたいな事を聞くのねえ…将来は探偵かしら?でも光ちゃん見たく見栄えよくないからなあ…光輝は…名前負け?」


ほっとけ!平凡な一中学生と、生まれた時から走り回れた体育会系天才を比較するな!そして名前負けなネーミングはあんたの責任だ!


「酷い事を言うのね…親にたいして」

「真面目に会話を進めよう、単行本二冊もの長編になってしまう」

そうね…と、僕の言葉を真に受けた母は、腕を組む。

「確か…数字みたいな入れ墨だったわ?怪しげに光ってて不気味だったから覚えてる…最近はあんなのが流行りなのかしら…世も末ね…」

数字みたいな入れ墨…それだけで十分だった。海里の時にもそうだったが、それはNo.所持者の証でもあるのだから。

「…光輝?、人の話し聞いてる?」

母は明らかな不快感を露にして此方を眺めていた。

「あ…うん、僕には探偵は無理そうだ〜」

そう言って頭をかいた僕を見た母は、ため息混じりに肩を落とす。

「月明さんに息子と光ちゃんを交換してもらおうかしら…」

ダークだ…しかもかなり深刻そうに言ってる!?

「あんた!風香ちゃんと結婚するんだから確り勉強していい就職先を見つけるのよ?風香ちゃんが仕事出来る訳がないんだからっ!」

風香を養う前提で話が進んでいるようだ…辛いな、それ…僕はそのまま家に帰り、泥のように寝た。

翌朝―何時もより二時間も速く起きた僕は、何時もの日課としている風香を起床させに行ってしまう。習慣とは怖いものだ、例え風香が病院にいようとも構わず来てしまうのだから…当然、風香のご両親に笑われてしまった(殴られると思っていたのだが…)。そうして僕は、とぼとぼと学校を目指して歩き続けていた。

「待ち兼ねたよ…光輝」

交差点を曲がろうとした僕を、突然か細い少女のような声が呼び止める。振り返り見るとそこには顔に似合わず黒い袖無しジャケットにチェーンでゴツゴツに強化された黒いズボンを召した少女のような少年が、壁にもたれかかる様にして腕を組み、地縛霊のようなポーズを決めている。

「闇(あむ)…」

お待ちかね、月明闇(つきあかりあむ)とそんな闇の肩にもたれかかりしがみついたまま天使のような顔で寝ている純白のワンピースドレスにピンクのカバンをたすき掛けしている月明光(つきあかりひかり)がいた…白黒姉弟の登場である。

「…姉さん、来たよ」


闇は律儀にしがみついて寝ている光の肩を掴んで激しく揺らしだす。


「警部…待って…彼は犯人では…ありません…」


どんな夢を見ているのか分からないが、聞いているからには恐らく幸せな夢では無さそうだ。



「姉さん…」

闇は哀れみの笑みを浮かべた直後、光の頭に頭突きを食らわせた。

「いったあい!!」

光は悲鳴に近い声を挙げながら、何故か僕をバシバシ叩いて来た。

「痛いのはこっちだ!」

僕は光の手を弾き返して怒鳴れば、光はぱっちり目を覚まして僕を見る。

「あ…光輝、おはよっ!」


手を頭より高く上げて意思表示を見せ、おはよっじゃねえよ。