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遊☆戯☆王ZEXAL THE ORIGINAL Ⅳ

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「姉さんも起きたし、歩きながら話そう…遅刻は嫌だからね」


闇は時計を見ながら歩きだす、見ると闇も光も、学校指定のカバンを手に下げていた。


「お前等、学校来るのか?」

「それはなんだい?学校に来るなって?どんな虐めだい?出るとこ出るぞ、弁護士の名刺を渡したまえ」


中学生程度のいざこざでわざわざ裁判沙汰にするな…とはいわずに僕は首を横に振る。


「ちがうわよ、あたしら中学生になってから初日から3日位しか出席してないもん…席があるのかも問題だわ…」


「席はあるぞ…」


物置になっているという事は伏せて告げれば、光も闇も安心そうにため息を吐き出す。


「で?昨晩の件で何かわかったのか?」

僕は歩きながら横目で光を見れば、光は闇に身体を向け、闇は手提げカバンから一枚の紙を取り出して差し出して来た。


「…なんだこれ」

それはぼやけた監視カメラの映像だった。


「昨夜の監視カメラの映像を印刷したのよ…そこに映ってる奴、覚えてる?」

光は小型で綺麗な顔を無防備に寄せて来て紙を指差してくる。

「…キスするか」

「はあっ!?馬鹿じゃないのっ!?死ねぇっ!!」

光は僕の鳩尾に光の速度で拳を叩きつける。

「ぐふぁッ!!!」

肺の息を無理矢理放出する感覚を知っているだろうか?、肺の息を無理矢理放出させられた時、人間は必ず頭が重く…

「いいから…見なさい」

光は僕の顔を鷲掴みして、その紙をまじまじと眺めさせる。

「…ん」

それはよく見ると、漆黒のコートを身に纏った青年だった。

「……カイト……」


僕は、ロボットが言っていた名前を思わず口にしていた。

「カイト?…あんた、こいつの知り合い?でたらめじゃないでしょうね!」

吊り上がった眉毛が大きな瞳を鋭く尖らせる。

「知り合いじゃない、オービタルって名前のロボットがそいつをそう呼んでたんだ…」

光は闇に目を向けると、何かを確かめ合うかのような意志疎通をし、僕の手にしていた紙を奪い取る。

「コードネームみたいなものかしら、本名なんかじゃないわよね…」

「名前にはピンと来ないけど…オービタルっていうロボットの出所はわかる。姉さん…どうやら僕達はこれ以上踏み込めそうにないようだ…」

闇はすっかりと諦めると、手元から携帯を取出し、調査していた内容を除去しはじめた。

「どういう意味だ?…No.ってのを突き止めるんだろ?」

そうして聞いてみれば、光も首をすくめる。

「そうよ、なんで諦めるのよ!」

「ルールは破れない…姉さんなら意味が分かるだろ?」

ルールは破れない、その一言を受けた光はギョッと目を見開いて、それ以上の追求を取り止めた。


「僕達が出来るのは表面上に浮き出るNo.の被害を軽減するのみだ…」


「ええ、そうなるわね…」
光と闇は互いに意志疎通をして理解しあうが、僕にはさっぱり理解が出来ない。

「風香や海里にも被害が出てるんだぞ!?…僕の家だって…」


僕は今になって浮き彫りになる怒りで拳を握り締めて身を震わせた。


「君のご両親の店が強盗の被害に逢ったのはテレビで聞いたよ…悔しいだろうが、我慢してくれ…」


闇は僕の意図を汲み取りながらも、目を伏せ…光もそれについては何も言わなかった。

「まあ、カイトって男の事は無理でも、No.について調べる事くらいは出来るんだろうから…気を落とすんじゃないわよっ」

光はそういって僕の背中を全力で打っ叩いた…かなり痛かった。そうして僕達は、学校へ向かった。

「ちょっと!!あたしの席が物置になってるわよ!!!」

「僕の机に花を置いたのはだれだい?苛めだな…出るところに出ようか?弁護士の番号を教えるよ?」

二人は学校に到着するなり物置にされた自分達の机を見ていきなり激怒し、僕のクラスメイト達に怒鳴り散らす。

「まあ、怒んなよ光に闇!」

バスケット選手のような屈強な少年、火山洋助が現れれば、光と闇の注目を浴びる。

「なら、この物置になった机を使えるように片付けなさいっ!」

光はビシリと指示を飛ばして洋助を睨めば、洋助は頭をかく。

「いや…まあ、いいけど…」


一瞬反論しようとした洋助だったが、珍しく素直に物置机に歩み寄り…。


「貰ったぁ!!!」

光の白いワンピースドレスのスカートを振り向きざまにめくり上げおしゃれでゴージャスな純白の下着が曝される。

「おおおおおっ!!」

クラスにいた男子達が絶叫に等しい声を張り上げる。当然だ…わがクラスの女子ランキング2位の月明光(1位は風香だったりする)のパンツを見て興奮しない奴などいないのだ…ナイス洋助!。

「ぎゃああああっ!!」
光は下品な悲鳴を挙げてスカートを両手で押さえ、即座に勝ち誇っていた洋助の膝にローキックをかました。

「ぐほあ!!」

洋助はそのまま床を転がり、そんな洋助に無慈悲なく光の踵が降り注ぐ。

「このドグサレがぁっ!!死ね!!死んで償え!!!」

洋助…君はいい人間だった。

「席に着きなさい」


そこへ、我がクラスの担任である、二十歳後半の女教師【聖国印歩】(せいこくいんあゆみ)が…音もなく入って来る。

「月明姉弟…来るなら連絡くらい入れろ」

歩はあまり感情の起伏の無い教師であり、じっと見つめられているだけで大人でも震え上がる威圧感を持っている。

「は…はい!でも机が物置になってて…」

「なら、空いてる机に座ればいいだろう?」


その一発で光は黙ってしまう、びびっているのだ…いや、僕でもビビるわ…。

「わかったなら早くしろ…わたしに二度言わせるな…」

歩は、はっきり言ってかなり怖い。流石の光も大人しく海里の席に座り、メモリースティックを机に差し込むと教材フォルダを開く。

「闇、お前は私を手伝え」

「わかりました…」


闇と歩は無口同士で通じる所があるらしく、闇が来るときは授業を手伝わせる。

「そうそう…」

歩は自分のデバイスメモリーを闇に渡して思い出したかのように声を出した。

「昨日の昼から、停電や電波障害による被害が相次いでいる…帰宅の際は信号機に注意しろ…」

それだけ呟くと、言うと、授業が開始された。


昼休み―僕達のたまり場である屋上に集まり、それぞれ思い思いの食事を広げていると、ドーナツ屋の箱を開けながら闇が呟いた。


「今日の放課後、風香のお見舞いがてらに海里に会いに行くんだけど…君たちもどうだい?」

それは、唐突であった。


「元々お見舞いになら行く予定だったぜ?」

洋助は呆れた様子で呟けば、僕も…光ですらも頷いていた。


「だから…行くなら一緒にどうだい?って思ってね、海里はともかく風香は重傷だ…互い違いにやってきて負担をかけさせるのも可哀想だろう…」


闇は至極正論を述べてピンク色のチョコがかかったドーナツを取出し口に持って行く。

「あ、イチゴはあたしのよっ!」


光が目ざとく言えば、闇は舌打ちしながら光に差し出す。

「でも珍しいな、お前がわざわざ行こうとするなんて…」

闇は重度の人間不信であり、僕達や姉に対しても歴然とした事実が無いかぎり勘繰るのだ。