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遊☆戯☆王ZEXAL THE ORIGINAL Ⅴ

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第5話【ケーキ争奪デュエル!】

やあ、皆さん…僕は月明闇(つきあかりあむ)こんな名前だが、列記とした男だ。

これから語られるこの話は、あまり話したいものでは無いのだが、まあ…いいとしよう。

結論から言おう、単なる下らない…僕という一人の男が一つの目標の為に戦い、勝つと言うだけの話さ…前置が長いと飽きられる?。

しかたないなでは、語る事にしよう…。


休日の朝―僕は何時ものように10時に起床して我が家のリビングに降りる。

「………」

当然、我が家の両親はいないよ?両親は警察の幹部だ、普段から働き者な彼らは基本的に家には居ないのが普通だ…つまりは家には僕以外はいないのだ。


「と、いいたい所だがね…」

ソファーを見るとそこには光り輝く金髪を乱し、白く輝く純白のネグリジェ一枚という霰もない姿の姉が横たわっている。

「なに格好つけてんのよ…しかも横たわってるって何よ、あたしが太ってて体重200キロ位あるみたいじゃないの…今すぐ修正を求めるわ」


名前は月明光(つきあかりひかり)という。光はそういいながらも足をブラブラさせている、家にいる彼女はゾウガメと言って良い程に鈍くて遅い…スイッチを切り替えてさえいれば僕の敵ではないのさ。


「無理な注文だね…取り敢えず邪魔だ、どけと言いたいんだけどいいかな?」

「お姉ちゃんに何いうんだボケ!」

即座に飛んできた白くて綺麗な足の裏が僕の顔面に突き刺さる。

「ぐはっ…」

僕には避ける事が出来ず、後ろのソファーにぶっ飛ばされた。

「軽い障害だな…」

「家族間だから関係ないわねぇ」

「「…」」

僕と姉は暫し睨み合うと、僕が先に諦めて背もたれに体重を預ける…。

「ん…」

お尻に違和感を感じて手を伸ばし、違和感の原因を掴み取ると、それは今日の新聞だった。眺める為に新聞を広げた瞬間、中からチラシが落ちた。

「…」

僕の新聞を読む時間を妨害する愚かなチラシには、即座に消えて頂こう。その前に一目見てやる…。

僕はそのチラシをゴミ箱に捨てようと指で摘んだ。チラシは片面のみの印刷であり裏は真っ白である。裏返して見ると…それはマドルチェケーキのチラシだった。

「明日の朝から、マドルチェケーキ争奪決闘大会を開催…優勝者には超豪華プディンセスケーキをプレゼント…」

何毛なく声を出して読んでから、僕は正気に戻り立ち上がる。

「特製プディンセスケーキ…だとっ!?」

それは年に一度しか現れない幻のケーキであり、闘いに勝ち残った優勝者にのみ与えられるのだという。

「あ〜…それ?良いよね〜…でもカップルで行かなきゃなんないのよ…交代で決闘しないとならないなんて…冷める展開よね〜」


「決めたぞっ!!僕はこのケーキを手に入れて風香に!!ぷぷぷ!!ぷろっ!!ぷろぽ!!ぷろ」


こういう時程、舌は回らない物である…。

「落ち着きなさいよ…」

光は初めてソファーから起き上がりトドのように動き出し、のっさりとケーキのチラシを僕の手から奪い取る。

「参加者にはケーキ割引券の無料配布かあ…」

光はそう言う言った手前でその唇に手を当てる。僕には興味がないが我が姉である光はそこそこに知名度がある。

「いいよっ!…あたしもケーキ割引券欲しい!」

そうだった…この姉はご飯に苺ジャムをぶちまけるという外道を行う大の甘党である。

「何が悲しくて姉とカップルに成らなくちゃならないのさ…」


「なに!?あたしとじゃ嫌だっての?闇の癖に生意気ね!!」

光は腕を組んで立ち上がり、こちらを流し目を向ける。

「風香は大の甘党よ?プディングケーキを欲しがらない訳がないわ」

僕は同意する、その通りだ…手に入れられれば好感度はうなぎ登り間違いない。

「何が言いたいんだい?」

僕が聞き返すと光は、悪魔の尻尾があるのでは?と思うくらいにいやらしい目付きを向けてくる。

「あんたの恋を実らせてあげようって言ってるのよ?あたしは」


僕に協力的な姉さんは初めてだ…喜んでしまいたい位だが裏がある。


「見返りはなんだい?商品のケーキじゃないよね」

「ないない、風香にあげるんでしょ?」

光はキッパリと否定して胸を張る。

「なら、何が目的かな?」

「…くどいわね…」

あんまりしつこいと鉄拳が飛んでくるとも限らない、格闘技の心得は在るが、普段から戦っている姉に、暴力では絶対に勝てない事など分かり切っている。

「あんたが風香と付き合えば、邪魔者が消えるのッ」

そうか、そういう事か…と、僕は納得し手を差し出した。

「ならば協力を歓迎しよう」


光は迷うこと無く手を握り返した。

「あたしと出るからには!足を引っ張るんじゃないわよっ」

「勿論だよ、姉さんこそ…僕の足を引っ張らないでくれよ?」

こんな形で、僕達は意気投合し1日限りのインヴェルズとヴァイロンのタッグが誕生した。

翌日―朝早くから、様々なカップル決闘人達がマドルチェケーキ屋の前にある大きく開けた公園に設けられた会場に集まっていた。


「凄い人数ね…」

姉は周囲をキョロキョロして身内を探すが、だれもいないようだ。

「洋助あたりが居そうだとおもったんだけれど…」

あの欲求ゴリラに彼女なんているわけがないな、僕はバナナをがっついてむせる洋助を想像しながら呟いた。


「…でも…確かに凄い人数だね…」

そんなこんなしていると、公園に設けられた台座の上に、仮面を着けたロール激しい白銀の長髪に、紫のドレスに身を包んだ貴族風の女性と、黒の制服に金の袖が着いたゴージャスな衣服を纏い同じく仮面を着けた男が、壇上に登る。

「キャア!ミス・マドルチェとナイト・マドルチェよ!」

女性の一人が興奮気味に叫べば、あたりが騒然となる。

「なによ、それ」


情報に疎い姉さんは怪訝そうに肘で僕のわき腹をつついた。


「マドルチェケーキのイメージキャラクターだよ…人気はたいした事は無かったはずだけれど…」

光は途端に興味を失い、腕を組むと、ベンチに腰掛けた。


『みんな!ケーキは好きか!?』



ナイト・マドルチェがいきなりそう叫ぶと、参加者達はこぞって手を挙げ叫ぶ。

『わたしは…今日という闘争の日が来るのを…楽しみにしていた!』

ナイト・マドルチェは、飴玉のサーベルを引き抜き、天に掲げた。

『ルールは簡単!目の前にいる決闘人のタッグをただ片っ端から倒すのみっ!敗走兵は即座に退場!!最後に残ったカップルには…』

サーベルを構え、ミス・マドルチェの押してきた特大の箱を切り刻むと…中からウェディングケーキのようなケーキが現れる。


『この!プディンセスケーキを進呈しよう!!さあ!!諸君!!さっそく闘争をはじめようではないか…』

ナイト・マドルチェがそんな事を言うと、辺りのカップル達の殺気が溢れだす。

『決闘開始ッ!!』


合図と同時に沢山のカップル達が相手を探して動き回り始める。


「最初から手の内を晒すのは美味しくないわね、先ずは待機よ」

光はベンチに腰掛けたまま冷静に待ち受ける。

「待機って…挑まれたらどうする気なんだい?」